表面処理
次世代半導体基板のエピ膜の平坦化と欠陥除去による性能向上とトレンチ壁面への応用
三重県
東邦エンジニアリング株式会社
2024年12月5日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 自動運転社会に向けた半導体界面仕上技術の研究開発 |
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基盤技術分野 | 表面処理 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、航空・宇宙、自動車、産業機械、情報通信、半導体、エレクトロニクス、光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、環境配慮 |
キーワード | SiC、GaN、平坦化、CARE法、ナノ加工 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
次世代半導体基板は欠陥のない単結晶を製造出来ないため、半導体製造工程においてバルク基板の表面に同種もしくは異種のエピ膜を作り試作されているが、従来技術では目標とする性能が得られていない。これまでバルク基板の平坦化技術として開発してきたCARE法をエピ膜の仕上げに適用することにより、膜厚をナノレベルに均一化し、かつ欠陥を除去できる技術を確立し、次世代半導体の性能向上と普及を目指す。さらにこの技術を応用してトレンチ壁面の仕上げについても基礎技術を開発する。
開発した技術のポイント
SiC基板ではエピ膜表面の平坦性が悪い。特に車載用では、エピ膜厚をナノレベルに均一化しないと安定した特性が得られない。
従来の平坦化技術CMPでは、十分な平坦度を得ることが難しく、エピ膜内部に潜傷などの欠陥を生じる恐れがある。
またGaN基板でも、表面にAlGaN膜を数10nmエピ加工して用いる方法が開発されているが、表面の膜組成を原子レベルに平坦化できれば膜下を通過する電子の流れが改善され、究極のデバイス性能が得られる。本開発では、半導体製造工程においてエピ膜厚をナノレベルで制御できる技術の確立を行った。
具体的な成果
・エピ膜平坦化技術の開発
SiCやGaNの半導体は、デバイスがバルク単結晶基板上のエピタキシャル成長膜 (以後、エピ膜とする)に作製される点が特徴である。
しかし、高温プロセスではエピ表面に凹凸が発生し、デバイス性能に悪影響を与える。
凹凸を原子スケールで除去するため、CARE法を適用するための技術確立を行なった。
・エピ膜加工量制御技術の開発
空間電荷層の深さと紫外線の侵入深さの大小関係によって、表面に誘引されるホール数に違いが生じることを明らかにした。
バイアスを1.5V印加することで、酸素不純物濃度が1018/cm3程度までは、通常の紫外線ランプ (波長 220~360nm)の使用が可能である。
それ以上の濃度では、波長の短波長化(250nm 以下)によって対応可能である。
・トレンチ壁面仕上げに向けた基礎技術の開発
トレンチ壁面を表面にした基板にCARE加工を施した結果、従来と同レベルの加工ができることを確認した。
次に、トレンチ内で微粒子を動かしてトレンチ内壁の加工する方法を検討した。
直線トレンチに対象を絞り CARE処理の効果を確認できた。
知財出願や広報活動等の状況
①特願2018-163882(被加工物の加工方法及び加工装置に関するもの)
②特願2018-163883(被加工物のクリーニング方法及びクリーニング装置に関するもの)
③特願2018-163884(触媒層の破損を抑制できる触媒基準装置に関するもの)
④特願2018-163885(被加工物の表面を加工するために使用される光照射触媒基準エッチング装置に関するもの)
⑤特願2019-80658(光化学反応を利用して加工速度を向上させた表面除去加工に関するもの)
⑥特願2020-11631(触媒基準平坦加工装置に使用する触媒パッド、その製造方法および製造装置に関するもの)
研究開発成果の利用シーン
次世代半導体基板材料として注目されているSiCやGaNなどは、Siのような無欠陥の結晶を作ることが現状困難であり、必ず同じ材質のエピ膜を付けて利用が進められている。本事業の開発技術はこれまで仕上げが難しかったこのエピ膜を原子レベルに平坦化して、各基板材料本来の性能を実現できるため、次世代半導体の基板製造工程での利用が期待される。具体的用途は次世代自動車用パワーデバイス、殺菌用途の深紫外線LEDなど。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
エピ膜の平坦化加工技術の研究開発を行った。CARE法の特性を生かして研究開発した結果、従来に無い良好な結果が得られている。
加工レートについても、新触媒や紫外線照射と温水の併用により実用レベルを達成した。
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理、素材・部品製造、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・CARE法を適用することで、SiCやGaN表面に誘起される凹凸の原子スケールでの除去が可能である。
Pt (白金)と比較して加工性能が良く洗浄も容易な Ru(ルテニウム)触媒を開発し、小振幅揺動型CARE装置に適用した。
・ルテニウム触媒と紫外線照射を併用することで目標の従来比10倍以上の加工量を達成できた。
この成果を基に、6インチ基板に対応できる高剛性の装置を試作した。
・トレンチ壁面仕上げに向けて、アドバイザーよりトレンチ壁面を表面にした基板を提供して貰いCARE加工を施した。
その結果、従来と同レベルの加工ができた。
今後の実用化・事業化の見通し
今後は評価の対象をパワーデバイス以外へも広げて事業化を図って行く。
さらに、トレンチ溝へのアプローチは今後の研究開発への指針が得られ、アドバイザーからも高い評価を受けている。今後はSiCやGaN基板について試験を行い、実用化を目指す。
実用化・事業化にあたっての課題
価格と品質に課題があり、次世代半導体基板の普及が遅れている。
事業化に向けた提携や連携の希望
次世代半導体基板等の開発企業や公的機関、大学との連携を希望する。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 東邦エンジニアリング株式会社 |
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事業管理機関 | 東邦エンジニアリング株式会社 国立大学法人大阪大学 |
研究等実施機関 | 東邦エンジニアリング株式会社 国立大学法人大阪大学 |
アドバイザー | 株式会社ミライズテクノロジーズ 国立大学法人名古屋大学 国立大学法人名古屋工業大学 |
参考情報
- 参考サイト
- http://www.tohokoki.jp
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 東邦エンジニアリング株式会社(法人番号:2190001015670) |
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事業内容 | 製造業 |
社員数 | 15 名 |
生産拠点 | 本社工場 |
本社所在地 | 〒512-8041 三重県四日市市黄金町38番地 |
ホームページ | http://www.tohokoki.jp |
連絡先窓口 | 代表取締役社長 鈴木辰俊 |
メールアドレス | suzuki@tohokoki.jp |
電話番号 | 059-365-4381 |
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