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バイオ

国産トウゲシバの認知機能に対する作用の解明とサプリメント事業体制構築に向けたトウゲシバ増殖技術の確立

岐阜県

アピ株式会社

2022年1月23日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 神経伝達物質に直接働きかける作用機序を有する国産有用植物を活用した新認知症発症抑制サプリメント(食品)の開発
基盤技術分野 バイオ
対象となる産業分野 医療・健康・介護、農業、食品
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)
キーワード 認知機能改善、サプリメント、トウゲシバ
事業化状況 研究中止または停滞中
事業実施年度 平成30年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

現在市場に流通する脳機能の改善を訴求するサプリメントのほとんどは、脳内の血流を改善し、脳を活性化する事で脳機能改善させるものであり、効果としては弱い。我々は神経伝達物質であるアセチルコリンを保護する作用を有するヒューペルジンAを含む国産のトウゲシバに着目し、ヒューペルジンAおよびその他有効成分の認知機能に対する効果を更に解明して、より効果が実感できるサプリメントを開発する。

開発した技術のポイント

・国産トウゲシバ中のヒューペルジンAの認知機能に対する作用の確認とそれ以外の成分の解明
-国産トウゲシバエキスの認知機能に対する作用機序を確認した。
-国産トウゲシバ中のヒューペルジンA以外の認知症対応新規成分を見出した。
・トウゲシバの生産システムの構築
-露地試験栽培地や人工環境下などで、トウゲシバの成長速度を速める要因を検証した。
・トウゲシバエキスの生産性の向上
-粉砕工程、固液分離工程、濃縮工程、乾燥工程の見直しを実施することで、トウゲシバエキスの生産性向上のための製法を検討した。
-検証結果から製造コストを算出したところ、目標を大きく上回るコストダウンを達成できた。

具体的な成果

・国産トウゲシバ中のヒューペルジンAの認知機能に対する作用の確認とそれ以外の成分の解明
-国産トウゲシバエキスはアセチルコリンエステラーゼ阻害活性に加え、NMDA受容体阻害作用によって認知機能障害抑制作用を示すことを明らかにした。
-ヒューペルジンA以外の有効成分としてカフェ酸を特定し、フェルラ酸周辺のピーク(新規物質)の存在も明らかにすることが出来た(図1)。
・トウゲシバの生産システムの構築
-施肥試験から、トウゲシバの必須栄養素の必要量が低いこと、環境データの解析からは、栄養成長期には一時的には25000lx以上の光が射すところに自生している事が明らかとなった。
-人工環境下の栽培では、目的の増殖器官の誘導、植物体収量の増量が可能であることがわかった(図2,図3)。
・トウゲシバエキスの生産性の向上
-トウゲシバ抽出液の固液分離方法を検証し、抽出液の回収液量を上げることが可能となった。更に濃縮設備の変更により濃縮効率が上がり、乾燥プログラムの見直しで目的のコストダウン額を達成する事が出来た。

トウゲシバエキスのクロマトグラムと同定された化合物
各試験区で栽培されたトウゲシバの形態
各試験区の年間伸長量
研究開発成果の利用シーン

今回開発した技術により、海外産のトウゲシバを使用した認知症サプリメントよりも機能性が多角的に評価された、エビデンスで裏付けされた認知症サプリメント(機能性表示食品)の原料として活用できる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

厚生労働省によるトウゲシバの食薬判断が決定された時点で、販売計画の立案や営業活動、臨床試験の計画などを実施する予定である。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価

製品・サービスのPRポイント

現在市場に流通する認知症予防を目的として開発されたサプリメント(機能性表示食品)に配合されている素材の効果は、脳内の血流を改善し、脳を活性化するものであり、医学的なエビデンスとしては乏しいと言わざるを得ない。
認知症治療薬と同様なアセチルコリンエステラーゼ阻害作用やNMDA型グルタミン酸受容体阻害作用を有する「ヒューペルジンA」を含むトウゲシバを配合したサプリメントの開発は、認知症患者の増加という日本が抱える大きな社会問題の解決に資するものである。

今後の実用化・事業化の見通し

・国産トウゲシバエキスに含まれる認知機能障害抑制作用を示す新たな成分として、カフェ酸を特定し、フェルラ酸周辺のピークの存在までは明らかにしたが、成分の特定には至っていない。更に成分特定、機能性研究を進め、先行して上市されている海外産のトウゲシバエキスとの差別化を図っていきたいと考えている。
・2019年5月、厚生労働省はセンソウトウ(トウゲシバ)を含む複数の成分本質(原材料)を医薬品への移行が望ましいとしてリスト化した。臨床試験については、食品に留まることが明らかになった時点で、機能性表示食品の届出を目指し、臨床試験を計画していきたいと考えている。

実用化・事業化にあたっての課題

トウゲシバの安定供給に向けた大量増殖技術の確立に関しては、内生菌が原因で、トウゲシバを無菌的に培養する事が難しい状況にある。当面は天然のトウゲシバを採取し、トウゲシバエキス末を製造しながら、今回明らかとなった増殖器官誘導条件下で人工栽培する等、効率的に個体数を増やす取り組みも進めたいと考える。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 アピ株式会社 研究開発本部 製品開発部
事業管理機関 公益財団法人岐阜県産業経済振興センター 技術振興部 開発支援課
研究等実施機関 岐阜薬科大学 薬学部 薬効解析学研究室

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 アピ株式会社(法人番号:7200001000245)
事業内容 ハチミツ・ローヤルゼリー等蜂産品、健康食品、医薬品の製造販売、養蜂指導と養蜂器具の販売、健康食品に関する研究
社員数 1488 名
生産拠点 食品:岐阜県内に4工場、 医薬品:岐阜県内に3工場
本社所在地 〒500-8558 岐阜県岐阜市加納桜田町1-1
ホームページ https://www.api3838.co.jp/
連絡先窓口 研究開発本部 本部長 河野 宏行
メールアドレス sapoin-inquiry@api3838.co.jp
電話番号 058-232-0838