立体造形
HIP-NNS
東京都
金属技研株式会社
2022年1月28日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 石油・天然ガス海洋開発プラント向け超大型複雑形状粉末焼結部品のHIP-NNS工法の開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、低コスト化 |
キーワード | HIP、ニアネット、二相ステンレス、バルブボディ、粉末 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 平成29年度~令和1年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
石油・天然ガス海洋開発産業では、開発井戸の高深度化により掘削部品の強度、耐食性の向上及びメンテナンスフリー化、さらに溶接レス部品の大型化も進んでいる。そこで、品質、耐久性、省部品材料の観点から加圧焼結法の一つであるHIP-NNS工法のニーズが高い。本事業では、世界最大のHIP装置を用い、超大型複雑形状粉末焼結品のHIP-NNS工法を確立し、カプセル設計技術、粉末充填技術、熱処理技術の高度化を図る。
開発した技術のポイント
・二相ステンレスのHIP-NNS処理条件の確立
‐腐食試験(ASTM G38)を満足し、引張強度が750MPa以上になるHIP処理条件を確立した。
・カプセル設計手法の確立
‐HIP処理後の目標寸法との差を±2%(1,000mm に対し±20mm)以内にした。
・粉末充填方法の確立
‐カプセル内部全体が安定して65%以上の充填率が得られる手法を確立する。
・超大型二相ステンレス焼結材の熱処理条件の確立
‐出炉から水冷開始までの時間の最適化
・超大型実製品の開発
‐フランジの機械的強度、耐食性に関する性能評価
引張試験、衝撃試験、腐食試験等の確性試験を行い、NORSOK 規格値を満足する。
・バルブボディのユーザによる性能評価
‐実使用環境に耐えられる性能を確認。
具体的な成果
・二相ステンレスの HIP-NNS 処理条件の確立
‐小型カプセルで、引張り試験および腐食試験を実施し、腐食量0及び引張強度750MPa以上を満足する処理条件を確立した。
・カプセル設計手法の確立
‐FEM解析を利用し、シミュレーション模擬サンプルの焼結後の寸法差と観測結果をフィードバックし、カプセル設計した。結果、設計値と焼結後の寸法差を±2%(1,000mmに対して±20mm)以内を実現し、その設計手法を確立した。
・粉末充填方法の確立
‐小型振動機での予備試験の結果、充填率が70%以上を達成。超大型カプセルに充填される大容量粉末に対しても、65%以上の充填率を達成。複雑形状のフランジ形状とバルブボディ形状で70%前後の均一な充填率を得ることができた。
・超大型二相ステンレス焼結材の熱処理条件の確立
‐試験片による出炉から水冷開始までの時間経過によるシグマ相の析出挙動を確認した。
結果、最適な冷却時間を得ることができ、シグマ相が析出しない熱処理条件を確立した。
・超大型実製品の開発
‐HIP-NNS工法で試作した粉末焼結フランジに対し、引張試験、シャルピー衝撃試験、腐食試験を行い、NORSOK規格値を満足することを確認した。
・バルブボディの性能評価
‐フランジ同様評価を行い、NORSOK規格値を満足した。また、実使用環境に基づく製品評価としてヒューイ試験を実施し、メーカー基準値を満足することができた。
知財出願や広報活動等の状況
シモダフランジ殿のHP上に論文を掲載
シモダ技報№6、論文名:粉末HIP処理を適用した二相ステンレス材バルブボディの製造プロセスの開発、著者名: 浦川博史, 塩川豊人
研究開発成果の利用シーン
本事業により開発した技術は、海洋掘削部品において超大型複雑形状の一体成形及び高耐久性かつメンテナンスフリー部品の製造で活用される。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
現時点、事業として実績ないが、日本メーカーとして参入を目指して技術開発を行っている。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
本事業により開発した技術は、海洋掘削部品において超大型複雑形状の一体成形及び高耐久性かつメンテナンスフリー部品の製造で活用可能である。
日本の二相ステンレスの製造技術は欧米諸国と比べて遅れをとっている。
しかし、将来日本においても排他的経済水域内のメタンハイドレートや海底鉱物資源開発を睨み、国策として深海開発をAll JAPANで対応できる体制を作る必要に迫られている。
従来よりも製品の機械的性質及び耐久性が向上し、大型であらゆる複雑形状で高度化した製品が製造可能となり、日本メーカーの参入が可能となる。
今後の実用化・事業化の見通し
成熟していない東南アジアやアフリカの海洋開発市場は他の市場と比較して参入障壁が低く、日本企業の参画を歓迎しているため、本事業により従来よりも製品の機械的性質及び耐久性が向上し、大型であらゆる複雑形状で高度化した製品が製造できれば、ユーザに採用される可能性は高い。
2020年4月にOil&Gas業界へNNS製品の設計・販売を行っている北欧大手エンジニアリングメーカ子会社を買収し、Oil&Gas業界への展開を図っている。
実用化・事業化にあたっての課題
コロナの影響により参加を予定していた展示会や学会が延期されているため、国内外へのアピールの機会が減り、販路開拓が難しい状況になっている。
そのため、製作できる鋼種を増やすことで、少ないチャンスを生かせるように準備している。
事業化に向けた提携や連携の希望
Oil&Gas以外で尿素プラントなど別業界への適用を拡大すべく関連プラントメーカとの連携を模索中。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 金属技研株式会社 |
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事業管理機関 | 金属技研株式会社 |
研究等実施機関 | シモダフランジ株式会社 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 金属技研株式会社(法人番号:4011201010452) |
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事業内容 | 金属の熱処理及び機械加工、金属同士及び金属とセラミックスの接合、金属及びセラミックスの接合、金属の積層造形、HIP処理、超塑性成形 |
社員数 | 466 名 |
生産拠点 | 群馬工場(群馬県)、茨城工場(茨城県)、神奈川工場(神奈川県)、土岐工場(岐阜県)、滋賀工場(滋賀県)、姫路工場(兵庫県) |
本社所在地 | 〒164-8721 東京都中野区本町1-32-2 ハーモニータワー27階 |
ホームページ | https://www.kinzoku.co.jp/ |
連絡先窓口 | 金属技研株式会社 姫路工場 技術係 塩川 豊人 |
メールアドレス | tshiokawa@kinzoku.co.jp |
電話番号 | 079-269-1331 |
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