測定計測
定量的且つ高精度な検査機器「デジタル振動覚計」の
製品開発
京都府
株式会社衣川製作所
2021年2月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 糖尿病性末梢神経障害の新たな診断方法を実現する「デジタル振動覚計」の 開発 |
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基盤技術分野 | 測定計測 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上) |
キーワード | デジタル振動覚計、デジタル音叉、音叉、振動覚計、アナログ音叉 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成29年度~令和1年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本開発では定量的でかつ高精度な検査機器「デジタル振動覚計」を開発製品化し、糖尿病性末梢神経障害の発症前の診断介入を可能とする先制医療の新たな手法を確立し、広く医療現場に普及させ「救肢」を目指す。
開発した技術のポイント
・音叉振動特性検査機の開発
・振動特性の再現
・加振機とその制御の開発
・振動特性の再現
・加振機とその制御の開発
・小型化の開発
具体的な成果
アナログ音叉の振動データを取得して、音叉を複数回たたいた時のデータを客観的に取得し解析する過程で、これまで知られていなかった、振動覚検査の問題点や改良点が浮き彫りになり、糖尿病性末梢神経障害や足壊疽の日常診療に貢献できる情報が得られた。
小型省電力化に対し、アナログ回路をマイコン回路に置換え、電源回路を集積化する事で小型省電力化を達成する事が出来た。
振動覚計のコントロールユニットをプラスチックで形成し、そのモデルに電子回路を組み込む設計を実施し、電池も内蔵する事が出来た。
解析ソフトを購入し、合わせて、エクセルマクロも作成したことで、「デジタル音叉」の性能検査が出来るようになった。
本開発で設備導入した直流安定化およびデジタルオシロスコープは電子回路開発の実験および設計検証に使用、パワーメータは安全規格の検証、電池の充放電特性評価に使用、小型低温恒温恒湿試験機は、使用環境における振動覚計の機能、特性評価に使用する事で、医療機器安全に関する事前評価および信頼性評価に活用し、試作評価を重ねて振動覚計を商品化に近づける製品開発を行うことができた。
知財出願や広報活動等の状況
広報活動については、学会等のガイドラインを基本に、実際の現場ドクターが診断に必要な確認項目と医療従事者(看護師・検査技師)が事前問診で必要な項目を纏める作業を行ない、タブレットで利用可能な問診内容と振動覚計でのデータ連携について開発できた。
また同時に患者に対し糖尿病による末梢神経障害の重要性をイメージや動画によって、理解を深めてもらうことで、医療現場でのドクターによる説明時間短縮に繋がる可能性がでてきた。
今回のプロジェクトに参加している糖尿病の専門医の助言により、KOL(キーオピニオンリーダ)5名の選定を行い準備出来次第、順次評価実施を行なう予定である。
研究開発成果の利用シーン
振動覚計測機器を販売される、病院・クリニック等の医療機関で糖尿病及び末梢神経に纏わる医療行為や検査をおこなっている機関をターゲットとしている。又医療分野は、一般企業とは異なKOL(キーオピニオンリーダ)の意見や評価及び学会等の順序があるため、一定の日数が必要であると考えている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
医療機器としての申請を行い、認可を受けるステップに至ることが重要である為、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構との簡易面談を行い、指導を受けながら開発を進めてきた。
第3者の認証機関へ薬事に関する申請書を提出し、今回開発の「デジタル振動覚計」について、審査及び認証へのステップを実施した結果、令和2年10月に「指定管理医療機器製造販売認証書」認証番号「第302AFBZX00094000号」の許可が降りた。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、製品製造
製品・サービスのPRポイント
糖尿病専門医に本事業で開発される振動覚計のニーズがあることが示されたのみならず、神経内科医等にも強いニーズがあることが明らかになり、市場の広がりに期待が持たれる。又モニター評価を含め実際の医療現場で、医師、及び事前問診を実施する看護師等の医療従事者からヒアリングを行い、ニーズの変化や課題に対応可能な体制を整えた。特に、アナログ音叉の振動検査データをモデル化して内蔵することを目的として、熟練した糖尿病専門医5名の振動データの取得を行い、振動加速度を計測した結果を減衰特性モデル化を行った。 このことは、患者間の差や、臨床検査技師、看護師や初心者でも安定して精度の高い検査結果が得られる様になった。
今後の実用化・事業化の見通し
試作した製品について、規格評価・展示会・学会・マーケティング調査等で得た情報を元に、商品化に近付けた製品開発を行なった。具体的には、1次試作で製作したモデルに対し、マーケティング調査の結果、液晶画面が小さいとの指摘を受けて2倍の画面サイズに変更し、見やすくすると同時に電磁残量表示を付けた。又、振動レベルの設定も、振動覚診断プロトコルに沿った設定に変更した。医療機器安全規格に適合評価も実施し、プローブのバラツキを考慮した調整ができるようにした、その結果を反映することで商品化に近い試作機の製作を行い、同じくマーケティング調査で得た情報を元にコントローラ部が机の上に自立している事、操作ボタンの配列距離を少し離した方が操作しやすい等の内容について取り込み、上記の様な形で、KOLの意見や評価を反映させて行き完成度の高い製品製作を行なえた。又医療従事者向けの末梢神経障害に関する知識を、専門医の確認を何度も受けてシナリオを作成し、動画作成まで行なった。これにより、末梢神経障害の検査の重要性を周知し、専門医以外にも検査の必要性を知らせ振動覚計で簡単に検査される可能性を見出せた。
実用化・事業化にあたっての課題
診療科目別や看護師等の医療従事者や病院の規模等の状況に応じたモニター評価をおこない、医療現場の効率化の枠組みを、引き続き調査及び評価をおこなう必要性がある。アナログ音叉の価格には及ばないため、最終的には今後の開発の経緯により、どこまで構造・機能・価格のバランスをとっていくかが課題である。医療現場での業務効率化を行なう為にIOTにて連携するソフトウェアーを構築しているが、今後医療従事者の業務内容を集める事で、新たな診療補助としての環境整備が構築できる可能性がある。研究段階では専門医の意見を聞き実施しているが、診療形態はクリニックや専門医が不在な医療機関が多い為、ニーズへの対応が課題である。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社衣川製作所 株式会社リバース・フィット・デザイン |
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事業管理機関 | 公益財団法人京都高度技術研究所 |
研究等実施機関 | 国立大学法人京都大学病院 株式会社関西メディカルネット 株式会社ミップ |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社衣川製作所(法人番号:3130001013811) |
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事業内容 | 半導体・FAメカトロニクス系生産装置、検査装置の精密機械部品、冶具の製作及び医療機器、手術器具、リハビリ機器等の開発・試作・製造 |
社員数 | 24 名 |
生産拠点 | 株式会社 衣川製作所 生産技術センター |
本社所在地 | 〒612-8436 京都府京都市伏見区深草新門丈町106番地4 |
ホームページ | http://www.kinugawa-fact.co.jp |
連絡先窓口 | 株式会社衣川製作所 代表取締役 衣川隆文 |
メールアドレス | tk@kinugawa-fact.co.jp |
電話番号 | 075-645-0213 |
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