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表面処理

高硬度、高密着性の立方晶窒化ホウ素cBN膜コーティング技術

神奈川県

株式会社片桐エンジニアリング

2021年2月17日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 高性能窒化ホウ素膜のプラズマコーティング技術を用いた革新的切削工具と製造装置の開発
基盤技術分野 表面処理
対象となる産業分野 航空・宇宙、自動車、産業機械、半導体、工作機械
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)
キーワード cBN、硬質膜、プラズマ、切削工具、窒化ホウ素
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 平成29年度~令和1年度

プロジェクトの詳細

事業概要

切削加工は製造業の基幹技術であり、特に焼入れ鋼や高合金鋼などの難加工材の超高速加工や超精密加工、加工に用いる工具の長寿命化が強く望まれている。そこで、従来の切削工具を凌駕する高硬度、高耐熱性、低反応性の立方晶窒化ホウ素膜をコーティングした革新的な切削工具とそれを量産する製造装置を開発する。

開発した技術のポイント

・切削工具とcBN膜コーティングの最適化
-刃先エッジなどの微小領域における硬度やcBN比率の評価方法を確立することができた。
-平坦部においてであるが、高硬度で密着性の高いcBN膜コーティング技術を開発した。
-cBN膜コーティング時の温度制御技術を開発した。
-工具と治具等の重ね合わせによるシース制御により、工具(バイト、ドリル、リーマ)に対して、cBN膜の三次元コーティングの見通しが得られた。
・大量コーティング装置の開発
-ロードロックチャンバー、搬送機構、ゲートバルブ、回転昇降機構、及び約500mm角のプロセスチャンバーを備える自転軸10本の大容量処理装置を開発し、カスプ磁場技術による200mm範囲の均一膜厚のcBN膜コーティングを実現した。
・切削特性の評価と改良
-切削特性の定量的評価のための動力測定系と高速度カメラによる観測系の構築を行った。
-cBN膜のコーティング特性を活かした工具としてバイトとドリルへの応用を行った。

具体的な成果

・膜厚0.5μm以上、ナノインデンター硬さ50GPa以上、密着力60N以上のcBN膜コーティング技術を確立した。
・工具(バイト、ドリル、リーマ)に対して、cBN膜の三次元コーティングの見通しが得られた。
・約500mm角のプロセスチャンバーを備える自転軸10本の大容量処理装置を開発し、200mm範囲の均一膜厚のcBN膜コーティングを実現した。
・cBN膜のコーティング特性を活かした工具としてバイトとドリルへの応用を行い、TiN膜やTiAlN膜コーティングとの比較を行った。

cBN膜コーティングドリル
大容量処理装置
知財出願や広報活動等の状況

cBN膜コーティング時の温度制御技術を開発し、特許出願した。
特願2019-29844 「cBN膜の製造方法」

研究開発成果の利用シーン

開発したcBN膜コーティング技術を適用する際の条件をより最適化することで、サイズの大きな切削工具や従来のcBN焼結体では製作が不可能であったドリルやエンドミルなどの三次元複雑形状の切削工具を開発し、鉄系の難加工材の高速切削加工や超精密加工を実用化することができる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

事業化に向け、継続研究を実施している。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、素材・部品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

開発したcBN膜コーティング技術を適用する際の条件をより最適化することで、サイズの大きな切削工具や従来のcBN焼結体では製作が不可能であったドリルやエンドミルなどの三次元複雑形状の切削工具を開発し、鉄系の難加工材の高速切削加工や超精密加工を実用化することができる。これは切削加工分野の革新となるものである。

今後の実用化・事業化の見通し

・現状のcBN膜のコーティング特性を活かした工具候補を見出すことができたため、継続して研究開発を進め、cBN膜コーティング工具の商品化を行う。
・平坦部へのcBN膜コーティング技術を活用できる新たな応用先を探索し、切削工具に限らない事業化の検討を行う。

実用化・事業化にあたっての課題

・刃先エッジでの硬度と密着性の定量評価ができていない
-評価方法は確立できたので、今後データを蓄積する。
・任意形状の刃先エッジへのcBN膜コーティング技術の確立が必要である。
-各工具の形状・大きさに合わせた治具の開発で解決できる。
・大容量処理装置において、十分な硬度のcBN膜コーティングが実現できていない。また、目標に掲げた数量の工具処理に至っていない。
-ヒーターによる大容量温度制御により、実現できる。
・バイト、ドリル・エンドミルにおいて目標の性能には至っていない。
-切削試験のデータ蓄積とコーティング条件の最適化により、実現できる。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社片桐エンジニアリング
事業管理機関 公益財団法人名古屋産業振興公社
研究等実施機関 株式会社イワタツール
国立大学法人名古屋大学 大学院工学研究科
公益財団法人名古屋産業振興公社 工業技術振興部産業応用課
アドバイザー オーエスジー株式会社
国立大学法人名古屋大学
国立大学法人岐阜大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社片桐エンジニアリング(法人番号:2020001016982)
事業内容 産業機械、及び真空装置機器の開発・設計・製造・販売
社員数 40 名
生産拠点 横浜市鶴見区尻手3-5-34
本社所在地 〒230-0003 神奈川県横浜市鶴見区尻手3-5-34
ホームページ http://www.kk-eng.co.jp
連絡先窓口 株式会社片桐エンジニアリング 名古屋事業所 所長 山川 晃司
メールアドレス k_yamakawa@kk-eng.co.jp
電話番号 052-739-2628