研究開発された技術紹介

近年の医療費増加を防ぎ、生活習慣病を防ぐための検査や在宅ケアにおける体調管理のために、安価で使いやすいポータブル血液分析デバイスが求められる。本事業では、業界初の3項目同時測定可能なポータブル血液分析デバイスの開発及び社会実装を目的とする。バイオ、ナノテク、電気電子工学の先端技術を組み合わせ、ネットワーク接続で健康管理を可能にする新製品で社会的課題解決(医療費削減、生活習慣病の患者の抑制)を図る。

本事業では、血液を化学反応させるための分析カートリッジ、カートリッジ内部で化学反応を定量的に測定するための分析デバイス、分析デバイスのデータを保管・閲覧するためのウェブサーバーの下記3点を開発対象とした。
①分析カートリッジ開発
②分析デバイス開発
③ウェブサーバー開発

①分析カートリッジ開発
血中ヘモグロビン、グルコース、クレアチニン等に対して生化学反応による発色を確認。また、血球分離が必要な項目(グルコースなど)に対しては、カートリッジに内蔵された血球分離機構が正常に作動し、全血から血漿に分離、生化学反応を起こすための試薬と反応し、発色を確認した。
②分析デバイス開発
光センサなどを実装した制御基板を試作、分析デバイスに組み込みチューニングを行った結果、分析カートリッジの発色をRGB値で測定できた。また、時系列変化における発色変化も測定が可能となった。得られたデータと臨床検査装置の血液実測データを比較し、計算シートを作成することで、分析デバイスでの検査が可能になった。またWi-Fi等からサーバーに自動転送が可能。
③ウェブサーバー開発
ウェブブラウザで閲覧できるよう通信プロトコルの検討やサーバー、データベースの構築を行い、分析デバイスに内蔵された通信アンテナとWi-Fiを通じてサーバーへ自動転送が可能となった。そのデータをブラウザで閲覧できることを確認した。

要望医療として、生活習慣病を防ぐための検査や在宅ケアにおける体調管理

量産などの手続きを進めつつ、販路の開拓を行っている。
A社は本キット実用化の際に日本国内と東南アジアを中心に販売協力を行う予定。

本事業成果をアピールすることで技術力などのアピールができており、研究開発を実施した企業において東証1部上場企業、アメリカ企業、中国企業、インド企業からの提携や技術開発委託のオファーが増えている。

■国内
試作：本事業でほぼ完了見込みのため、量産に向けた準備を実施予定。
認証取得：量産版キットを用いた試薬の準備が必要なため、血液検体を数百検体程度集めるための準備を進める。PMDAの事前相談の準備中。
量産：医療機器製造認可を受けた工場への委託準備を行う予定。量産コストや品質管理に関する書類整備を実施予定。
販売：販売企業A社と相談し、販売数やスケジュール管理を協議予定。
■海外
試作：各国の規制に応じて、必要な変更点の確認を行う。変更が必要であれば、修正変更を行う予定。
認証取得：日本のPMDAで申請するデータ等を用いて、各国の申請に対応する予定。
量産：海外での量産を検討。
販売：インド、中国、その他海外はA社を中心に展開委託予定。

本事業終了後、分析カートリッジや分析デバイスなどハードウェアでの量産におけるコストダウンや不良率低下に関する研究を進める予定。
ソフトウェアに関して、セキュリティの強化やサーバーに多数のアクセスがあった場合に備えた対策が課題となるため、今後開発期間と連携して対応を行っていく予定である。