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測定計測

イムノクロマト技術を利用して、臨床現場で測定可能な5-FUの濃度測定キットと至適投与量調整システムを開発し、臨床現場への導入を目指す。

大分県

アドテック株式会社

2023年2月13日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 がん患者一人ひとりに最適な抗がん剤が投与できることを目的に、イムノクロマト技術を活用した抗がん剤5-FUの濃度測定キットおよび至適投与量調整システムの開発
基盤技術分野 測定計測
対象となる産業分野 医療・健康・介護、環境・エネルギー、情報通信、スマート家電、食品、光学機器
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、デザイン性・意匠性の向上
キーワード イムノクロマト法、競合法、クロマトリーダー、抗がん剤、5-FU
事業化状況 実用化間近
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

今日、2人に1人はがんにかかり多くの貴重な命が奪われている。がん治療の中でも進行がんの大半で使用される抗がん剤5-FUは、患者個人で至適量が大きく異なるが、いまだ普及した測定キットがなく、半数以上が効果なく投与されている。そこで、当社が持つイムノクロマト技術を活用して、臨床現場で測定できる5-FUの濃度測定キットと至適投与量調整システムを開発し、一刻も早い臨床現場への導入を目指す。

開発した技術のポイント

・イムノクロマト法による5-FU測定キットの開発
‐コントロールライン(C)とテストライン(T)との比(T/C)を用いることにより、定量性に優れた性能を有する測定キットを開発した。
‐本研究で開発した測定キットは、体外診断用医薬品としての品質管理規格を満たしている。
‐本キットを用いることにより、血漿中の5-FU濃度0~601ng/mL(定量範囲 217~601ng/mL)の測定が可能となった。
・クロマトリーダーの開発
‐5-FUの定量測定結果の算出に加えて、Wifi環境下で、測定データを転送するシステムを装備したクロマトリーダーを開発した。

5-FU測定とデータ転送システム
具体的な成果

・市販抗体と自社製金コロイド標識体を用いたイムノクロマト法5-FUキット(アドテスト5-FU)を開発した。
・競合法による血漿中の5-FUについて、0~601 ng/mL(定量範囲 217~601 ng/mL)の濃度範囲で測定可能であった。
・血漿を10 倍希釈し、100μL をサンプル口に滴下するだけの簡単操作で、血中の5-FU濃度を10分で測定可能であった。
・3ロットの試作品は、感度、正確性、同時再現性のいずれも、品質管理規格値を満たすことが確認された。
・5-FU濃度が測定可能で、安価なイムノクロマトリーダー「アドテストChromato-Reader」を開発した。
・本クロマトリーダーは、Wifi 環境下でクラウドの利用や医療機関とのデータ共有システムへの利用を可能にし、QR コードの読み取り機能を付与した。
・本クロマトリーダーは、大分県内の医療機器メーカーによる100台規模の量産検討を行い、量産機が正常に機能することを確認した。

知財出願や広報活動等の状況

大分県内の医療機器メーカーにイムノクロマトリーダー「アドテストChromato-Reader」の製造と医療機器としての届出を委託した。それによりイムノクロマトリーダーは、医療機器としての販売が可能となった。
クロマトリーダーに関して、2件の特許を出願しており、いずれも公開されたので、それぞれ審査請求の作業を進めている。
(特開2021-87541,特開2022-163843)

研究開発成果の利用シーン

5-FUを使用したがん治療において、臨床現場で安価かつ迅速に測定できる5-FUの濃度測定キット「アドテスト5-FU」を提供する。
濃度測定キットと同時に開発したイムノクロマトリーダー「アドテストChromato-Reader」により、5-FUの定量測定結果の算出を行う。また、Wifi環境下で、測定データを転送する。

臨床現場での5-FU測定キットとクロマトリーダーの利用

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

5-FUの濃度測定キット「アドテスト5-FU」の体外診断用医薬品としての薬事承認を前提に、医薬品医療機器総合機構(PMDA)との全般相談を実施。
イムノクロマトリーダー「アドテストChromato-Reader」は、大分県内の医療機器メーカーから医療機器製造販売の届出が行われ、医療機器としての許可を取得した。

提携可能な製品・サービス内容

製品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

・抗がん剤5-FUの迅速測定キットおよびイムノクロマトリーダーは、これまでにない簡便な製品であり、安価である。
・本研究で開発した迅速測定キットおよびイムノクロマトリーダーを使用することで、患者一人一人の医療の充実と医療従事者への負担軽減をもたらすことが期待できる。
・クロマトリーダーについては、1台10万円程度の安価に提供でき、5-FUの測定だけで無く、新型コロナウイルスや歯周病判定にも応用が可能である。

今後の実用化・事業化の見通し

PMDAとの全般相談により、臨床現場での5-FU治療時に、5-FU濃度を測定し、有効濃度を調整するシステムは、日本では、関連学会がその有用性を認めるに至っていないので、本システムの臨床的有用性について、関連学会との連携と日本における大腸癌治療ガイドラインへの掲載が必要であることが示された。
従って、5-FU測定キットを体外診断用医薬品して申請するには、関連学会のエビデンスを得るために、研究用試薬としての臨床現場に提供することから始めることを検討する。まずは、無償サンプルの提供等で、本製品の周知作業から始める計画である。
本プロジェクトで開発したクロマトリーダーは、販売レベルにあり、汎用性があるので、5-FUの測定に限定せずに、他のイムノクロマト法による他疾患の測定キットや歯周病測定キットへの展開を試みる。

実用化・事業化にあたっての課題

開発した技術成果の事業化に向けて、大学病院や研究機関での実用化研究を検討中。5-FU以外の用途開拓のために、医薬品卸会社との連携を検討する。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 アドテック株式会社 新規事業部
事業管理機関 公益財団法人大分県産業創造機構 地域産業育成課
研究等実施機関 公益財団法人東京都医学総合研究所
東京バイオマーカー・イノベーション技術研究組合
アドバイザー 東京都立小児総合医療センター
シンセラ・テクノロジーズ株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 アドテック株式会社(法人番号:6320001007584)
事業内容 人体用及び動物用体外診断用医薬品の製造及び販売
社員数 40 名
生産拠点 本社工場(大分県宇佐市)
本社所在地 〒879-0453 大分県宇佐市上田1770番地の1
ホームページ https://www.adtec-inc.co.jp/
連絡先窓口 アドテック株式会社 新規事業部長 小林行治
メールアドレス y-kobayashi@adtec-inc.co.jp
電話番号 0978-34-7770