複合・新機能材料
次世代ディスプレイ用カドミウムフリー量子ドット蛍光体の新合成法の開発と量産技術の確立
福岡県
NSマテリアルズ株式会社
2023年2月4日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 超高画質(高精細・広色域)次世代表示装置を実現する為の新規合成技術による使用制限特定有害物質を含まない高特性新開発QD(量子ドット)蛍光体、及び、その量産化技術の研究開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | スマート家電、エレクトロニクス、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、環境配慮 |
キーワード | 量子ドット、Cdフリー、ナノ蛍光体、高色域、QD |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和1年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
家庭用テレビや産業用表示装置の超高画質を実現させる新材料QD蛍光体は、有害物質カドミウムを加えないと特性が出ないため、欧州のRoHS指令等の環境規制への適合が難しい。本事業では、当社独自技術である連続元素交換合成法を応用し、次世代有機ELを含む次世代型表示装置を狙う川下事業者が要求するカドミウム無・半値幅・量子効率を満たす、新しい高特性のQD蛍光体とその量産技術を開発する。
開発した技術のポイント
・連続元素交換合成法の確立
-各色のQD蛍光体に対する精製手順と精製条件(溶媒の種類、溶媒の量、遠心分離回転数、遠心分離時間など)を決定。
-青色QD蛍光体で、結晶構造を考慮して数種類の原料材料、反応温度、反応時間から選定。欠陥のないシェル構造を付与し、それを緑、赤にも展開。
・QD蛍光体及び用途展開のための評価技術の開発
-QD蛍光体の評価システムの構築と低温測定用光学系の構築、測定用試料フォルダの製作。
-QD 発光層へ向けて細かな階段状のエネルギー準位の材料を積層する事の重要性を明確化。
・連続元素交換合成法によるQD蛍光体の量産技術確立
-実験室レベルでは顕在化しなかった大容量合成の品質を左右する重要要素の抽出と最適値の設定。
具体的な成果
・連続元素交換合成法の確立
-前駆体の絞り込みを達成し、青、緑、赤色QD蛍光体の精製手順を決定。
-青:QY:85%、半値幅:13.8nm、緑:QY:84%、半値幅:29.4nm、赤:QY:85%、半値幅:28nmで事業化可能。
・QD蛍光体及び用途展開のための評価技術の開発
-未交換原子の残留を評価する方法の確立、特定元素の残存量が許容残存量を大幅に下回っていることを確認。
-外部量子効率は赤:4.3%、青:10.1%で発光の半値幅は、赤:55nm、青:15nmを達成。緑は膜質の改善が必要。
・連続元素交換合成法によるQD蛍光体の量産技術確立
-量産設備の検討を行い、仕様決定、装置ブロック図完成、品質管理項目決定、製品在庫条件の決定、代表的物性管理項目決定を達成。
・カドミウムを含まないQD蛍光体では世界最高レベルを達成。
知財出願や広報活動等の状況
・特願2019-153204「超高画質(高精細・広色域)次世代表示装置を実現する為の新規合成技術による使用制限 特定有害物質を含まない高特性新開発QD(量子ドット)蛍光体、及び、その量産化技術の研究開発」の国際出願及び指定国移行:PCT/JP2020/029529、17/257,074(米国)、20 827 961.2(欧州)10-2020-7036976(韓国)、109128172(台湾)、特願2020-568360、特願2021-009482}
・特願2019-170996「超高画質(高精細・広色域)次世代表示装置を実現する為の新規合成技術による使用制限 特定有害物質を含まない高特性新開発QD(量子ドット)蛍光体、及び、その量産化技術の研究開発」の国際出願及び指定国移行:PCT/JP2020/035058、17/257,101(米国)、20 824 407.9(欧州)、10-2020-7036969(韓国)、109132330(台湾)、特願2020-568359、特願2021-009481}
■書籍
・宮永昭治、石田壮史、”量子ドット蛍光体の光学特性とディスプレイへの応用展開”、
「次世代ディスプレイへの応用に向けた材料、プロセス技術の開発動向」, 技術情報協会, 第8章第1節 p.353(2020)
・宮永昭治、”量子ドット蛍光体による色変換技術”、「マイクロLEDディスプレイ」、サイエンス&テクノロジー, 第2章第4節 p.68(2021)
■雑誌
・宮永昭治、”量子ドットのディスプレイデバイスへの応用と展望”、機能材料 Vol.41 No.4 p.28(2021)
・宮永昭治、”量子ドット(ナノ粒子)蛍光体のディスプレイ応用と展望”、粉体技術 Vol.13 No.12 p.41(2021)
研究開発成果の利用シーン
RoHS指令による使用禁止物質であるカドミウムを含まないQD蛍光体を開発したことで、既存のテレビでは満たせていないBT.2020の色域を満たすテレビの実現と普及が実現可能である。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
QDシート事業化パートナーシップに基づき、QDシート事業を通じて第一顧客であるテレビ、表示装置関連セットメーカーへの営業活動を行う。また、第二顧客であるLED関連メーカーや第三顧客である表示装置メーカーに対してもサンプル提供などを行い、事業化へ繋げていく。
学会発表や展示会へ積極的に出展することでPRを行い、令和3年度後半での販売開始を目指す。
提携可能な製品・サービス内容
共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・カドミウムを含まないQD蛍光体では、世界最高レベルのQYと半値幅を達成
・高特性をQD蛍光体を量産レベルで供給可能な量産技術の開発
今後の実用化・事業化の見通し
・テレビ、表示装置関連セットメーカー向け
-QD蛍光体を塗工メーカーでQDシートへ加工し、販路開拓を通して販路開拓
・LED関連メーカー、表示装置メーカー向け
-サプライチェーン内のメーカーへQD蛍光体のサンプル提供などにより販路開拓
実用化・事業化にあたっての課題
現時点の性能で、事業化は問題ないレベルに達していることを確認済みだが、今後テレビ表示装置関連セットメーカーやLED関連メーカー、表示装置メーカー向けに販路開拓が必要。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | NSマテリアルズ株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団 ロボットシステム開発部・ロボットシステム開発グループ |
研究等実施機関 | 国立大学法人九州工業大学 准教授 小田 勝 公益財団法人 九州先端科学技術研究所 研究グループ長 八尋 正幸 |
アドバイザー | シャープ株式会社 日本電気硝子株式会社 九州大学 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | NSマテリアルズ株式会社(法人番号:9290001042789) |
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事業内容 | ・有機、無機、金属、生分子など各材料、各ナノ粒子材料の研究、開発、製造、販売 ・上記に関連した、製造、検査、測定関連の機器・システムの開発、製造、販売 ・メディカル・バイオ、半導体関連機器・システムの開発、製造、販売 ・上記内容にかかわる製品の保守、技術コンサルティングなど |
社員数 | 49 名 |
生産拠点 | 広川工場(福岡県八女郡広川町) |
本社所在地 | 〒818-0042 福岡県筑紫野市立明寺511-1 |
ホームページ | http://www.ns-materials.com/ |
連絡先窓口 | 宮永 昭治 |
メールアドレス | miyanaga@ns-materials.com |
電話番号 | 092-405-0290 |
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