精密加工
広角度の世界最小クラスの非球面ガラスレンズの製造
福岡県
株式会社ワークス
2023年2月13日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 安全な自動運転に貢献する車載カメラレンズを製作するため、NPD(ナノ多結晶ダイヤモンド)製工具の高精度切削加工技術を活用した広角度・超硬合金製ガラスレンズ金型の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、自動車、光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(精度向上)、低コスト化 |
キーワード | 車載カメラレンズ、NPD(ナノ多結晶ダイヤモンド)製工具、超硬合金製ガラスレンズ金型、自動運転技術、世界最終クラスφ0.1mm非球面ガラスレンズ |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
自動運転技術を実現するために、死角の少ないガラスレンズの量産を可能にする。それに向けて、ナノ多結晶ダイヤモンド(NPD)製特殊切削加工工具を開発し、ガラスレンズの金型を製作可能にする。製作可能になる見込みのガラスレンズの金型は、視野角度が広いため死角が少なく、また、世界最小クラスのサイズであるレンズを製造するためのものである。
開発した技術のポイント
1. NPD製特殊工具を開発
・工具先端R0.03mm以下、形状精度0.005mm以下
2. 超硬製ガラスレンズ金型を開発
・コア金型:真円度、円筒度、直角度0.001mm以下
・スリーブ金型:真円度、円筒度、直角度、平面度0.001mm以下
・非球面金型:形状精度PV0.3μm以下、表面粗さRa5nm以下、コーナーR0.05mm以下
3. 広角ガラスレンズ金型の加工条件の確立
・視野角度150度、Φ0.1mmの世界最小ガラスレンズ金型
4. 最適加工条件のマクロプログラムを開発
・コア金型、スリーブ金型、非球面金型について加工条件を自動計算
具体的な成果
NPD製工具 (市販品)をレーザー加工機で加工し、NPD製特殊工具の研究開発を行った。 次にコア、スリーブ、非球面の各金型部品について、NPD 製特殊工具による加工精度を高める取り組みを行った。これらは、広角度で小径のガラスレンズ製造のためのガラスレンズ金型の構成部品である。
同時に、加工時のNPD製特殊工具の耐久性能等についても確認した。 最終的に、加工した金型でアドバイザー企業にガラスレンズ成形を行ってもらった。成形されたガラスレンズの光学特性評価を行ってもらうことで、将来的に実用化が可能な広角度で小径のガラスレンズの金型が開発できたことを確認した。この金型を用いれば、将来的に視野角が150°でレンズ径がφ0.1mmのガラスレンズの製作が可能であることを、本研究開発を通じて示せた。また、NPD製特殊工具を用いた切削加工技術の有用性や、今後の応用可能性についても確認できた。
知財出願や広報活動等の状況
2022年4月にMedtec Japanに出展し、研究開発成果のPRを行っている。また、2021年5月に金型新聞に、レンズ金型の開発について発表したことにより、多くの問い合わせをいただいた。その結果として、新たに内視鏡の開発案件を受注することができた。
研究開発成果の利用シーン
自動車の安全運転支援、自動運転等の分野で広角度、小径のレンズが使われることで、社会に貢献する技術となることが期待される。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本研究では以下の開発を行った。
・工具先端径R0.03mm以下、形状精度0.005mm以下のNPD製特殊工具を開発
・広角度、小径のガラスレンズ(150度、Φ0.1mm)製作のための超硬合金製金型の研究開発
今後は、広角度(広視野角)で小径のガラスレンズ用の金型について、新聞・雑誌等での発表や、研究開発成果の事業化を進めていく。
更に、展示会等に金型やガラスレンズのサンプル品を出展し、来場者に評価をいただき、その内容を今度の開発にも活かしていきたい。
本研究開発の内容は、広視野角で小径のガラスレンズの試作までにとどまっており、そのガラスレンズの大量生産のための準備はまだできていない。
そのため、今後、アドバイザー企業とも連携し、大量生産のための成形技術に対応していく予定である。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
1. NPD製特殊切削加工工具の試作開発
レーザー加工により非球面金型用、コア金型用、スリーブ金型用のNPD製特殊切削加工工具をそれぞれ試作。
工具先端 R0.03mm以下、形状精度 0.005mm以下を達成した。
2. コア金型に対する切削加工技術の試作開発
超硬合金製のコア金型を試作し、真円度0.001mm以下、円筒度0.001mm以下、直角度0.001mm以下を達成した。
3. スリーブ金型に対する切削加工技術の試作開発
超硬合金製スリーブ金型を試作し、真円度0.001mm以下、円筒度0.001mm以下、直角度0.001mm以下、平面度0.001mm以下を達成した。
4. 非球面金型に対する切削加工技術の試作開発
超硬合金製非球面金型を試作し、形状精度PV0.3μm以下、表面粗さRa5nm以下、コーナーR0.05mm以下を達成した。
5. NPD製工具の実用化開発
非球面金型用のNPD製特殊工具の加工条件の確立を行い、連続切削加工、切削距離の把握等ができた。
6. 視野角度150°、φ0.1広角ガラスレンズ金型の開発
川下メーカーが設計した金型の品質評価を終え、ガラスレンズの成形試作を実施した。
7. ガラスレンズ金型に対する最適切削加工条件のマクロ開発
超硬合金に対する最適切削加工条件のマクロプログラムの開発を行い、コア及びスリーブ・非球面金型を完成した。
8. 性能・実証評価
試作したガラスレンズの光学特性評価を実施した。
今後の実用化・事業化の見通し
今後は、広角度(広視野角)で小径のガラスレンズ用の金型について、新聞・雑誌等での発表や、川下企業への金型サンプルの提供等に取り組み、研究開発成果の事業化を進めていきたい。金型サンプルを提供する川下企業としては、光学メーカー、光学ファウンドリー、レンズ成形メーカー等を考えている。
更に、展示会等に金型やガラスレンズのサンプル品を出展し、来場者に評価を聞いて、その内容を今度の開発にも活かしていきたい。
本研究開発の内容は、広視野角で小径のガラスレンズの試作までにとどまっており、そのガラスレンズの大量生産のための準備はまだできていない。
そのため、今後、アドバイザー企業とも連携し、大量生産のための成形技術に対応していく予定である。
実用化・事業化にあたっての課題
・ガラスレンズの成形時にエア抜きの技術が必要である。
・金型製作のコストが、市場のニーズと合うかについては検討が必要である。
・屈折率の高いガラス材料を開発する必要がある。
事業化に向けた提携や連携の希望
今後、R0.05mm超硬合金製ガラスレンズ金型サンプル販売を始める。23年度は1,680セット、24年度は、2,400セット販売する。販売価格は、1セット¥100,000とする。4年間の累計売上は、¥1,008,000千円である。
アルプスアルパイン㈱にサンプル出荷し、実証評価を受ける。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ワークス ものづくりセンター ものづくり改革グループ、三重野計滋、高下博史、金子大祐、伊藤慎吾 |
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事業管理機関 | 公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団 |
研究等実施機関 | 福岡工業大学 仙波卓弥教授、天本祥文准教授(いずれも工学部) |
アドバイザー | アルプスアルパイン株式会社 株式会社エヌジェーエス 株式会社住田光学ガラス 工業技術センター機械電子研究所 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ワークス(法人番号:9290801011638) |
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事業内容 | 超精密加工で精密微細部品を製造しており、中分類では生産用機械器具製造業です。 |
社員数 | 62 名 |
生産拠点 | 若松事業所(北九州市若松区) |
本社所在地 | 〒811-4321 福岡県遠賀郡遠賀町虫生津1445-1 |
ホームページ | http://wks-co.com |
連絡先窓口 | 株式会社ワークス 経営企画室 高下 |
メールアドレス | taka@wks-co.com |
電話番号 | 093-291-1778 |
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