複合・新機能材料
新型コロナ対策、抗菌、防カビ、防藻対策用「無機ナノ光触媒ハイブリッド複合体及びその塗料」
大阪府
水谷ペイント株式会社
2023年2月12日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 実用性と安全性が大幅に改良された無機ナノハイブリッド光触媒塗料の開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、環境配慮 |
キーワード | 新型コロナ対策、抗菌、防カビ、防藻、無機ナノ光触媒ハイブリッド複合体、塗料 |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
街並みの汚れ、大気汚染に対して光触媒塗料は非常に有効な解決手段である。しかし、その機能効率の低さ、耐久性の悪さ、さらに昨今この有効成分である微粒子酸化チタンの発癌性が公表され、使用が益々難しくなってきている。当該開発は、微粒子酸化チタンを無機物に埋め込んだ“無機ナノハイブリッド”を開発する事でこれらの問題を全て解決し、国内外に展開、さらに新たな技術・事業の創出も期待できるものである。
開発した技術のポイント
・無機-酸化チタン微粒子ハイブリッド複合体の合成技術の確立
・複合体の光触媒性能の高効率化
・複合体の大量合成技術の確立
・開発した塗料塗膜の防藻・防かび・抗菌・排ガス分解特性と機能性発現を評価してメカニズムを解析
・実環境における塗膜の耐候性評価、酸化チタン微粒子の飛散性評価については継続して実施中
具体的な成果
・無機-酸化チタン微粒子ハイブリッド複合体の合成技術の確立
‐複合体の合成とその構造解析を繰り返す中で、より簡便な合成方法(ブレンド法)を開発。
‐複合体の粒子径コントロールが容易になり技術的目標値を達成。
・複合体の光触媒性能の高効率化
‐ガスクロマトグラフィを用いたガス分解性能の評価より、複合体の最適構造を決定。
・複合体の大量合成技術の確立
‐20kg超での合成に問題なし。製造現場にて40kgスケールの合成にも成功。
・塗料塗膜の防藻・防かび・抗菌・排ガス分解特性と機能性発現を評価してメカニズムを解析
‐抗菌性、排ガス分解特性に関する目標達成。防かび性に関しては市販品と同程度のため、改良品にて性能確認中。抗ウイルス、防藻試験に関しては次年度達成予定。
・複合体塗膜の長期安定性評価
‐促進耐候性試験の目標は達成。屋外暴露試験での評価が目標未達。現在さらに耐候性を高めたアクリルエマルション樹脂を開発し、次年度中に目標達成を目指す。
研究開発成果の利用シーン
・独自製法により、一般的な酸化チタン光触媒の数十倍の大きさに結合する技術で、従来の光触媒で懸念されていた安全性へのリスクを解決する。
・コロナ禍の急激な市場ニーズの高まりによりコロナ対策の抗菌剤としても使用可能。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・光触媒複合体及びそれを含む塗料を完成し市場での評価を開始し、事業化の目途を付けて一部は事業化した。
・「ACパウダー」の製品名で各種の用途に原料として供給を行うとともに自社の塗料製品にも応用。
・60社程度の多岐にわたる(空気清浄機、フィルター、塗料、壁紙、床材等)顧客からの引き合い有。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
・ナノ粒子の光触媒による健康障害を、炭酸カルシウムとのハイブリッド化でミクロン粒子にすることにより克服している。
・従来の光触媒酸化チタンに比べて、分解力が高まった。
今後の実用化・事業化の見通し
サンプル提供した多くの企業から各種の製品への展開利用が検討されている。令和4年度内に開発が完了し事業化するものが着実に増えてきている。事業化に成功したと言える状況である。
実用化・事業化にあたっての課題
光触媒ハイブリッド複合体及びそれを含む塗料の開発手法は特許等の知的財産として登録したいと考えているが、ノウハウに近いものもあり技術の秘匿が課題。今後、周辺特許も含めて特許登録可能な範囲の確定とノウハウの秘匿を合わせて本成果物の優位さを確保していきたい。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 水谷ペイント株式会社 |
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事業管理機関 | 一般財団法人大阪科学技術センター |
研究等実施機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
アドバイザー | 金沢工業大学 京都工芸繊維大学 塗料塗装技術研究所 三井物産ケミカル株式会社 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 水谷ペイント株式会社(法人番号:8120001058613) |
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事業内容 | 建築用合成樹脂塗料の製造・販売 |
社員数 | 163 名 |
本社所在地 | 〒561-0006 大阪府大阪市淀川区西三国4丁目3-90 |
ホームページ | http://www.polyma.co.jp/ |
連絡先窓口 | 水谷ペイント株式会社 専務取締役執行役員 技術統括部長 水谷勉 |
メールアドレス | es-335td@polyma.co.jp |
電話番号 | 06-6394-3922 |
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