測定計測
簡便迅速な疾病診断システムの開発
京都府
株式会社ハイペップ研究所
2023年3月2日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 生体の分子認識を応用したペプチドマイクロアレイによるバイオ検出システムの実用化開発 |
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基盤技術分野 | 測定計測 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(人件費削減)、高効率化(使用機器削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化 |
キーワード | ペプチド、マイクロアレイ、診断、測定、携行型検出装置 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
疾患の診断は従来マーカー物質を免疫化学的手法等で検査する。この従来検査法では、1:1対応に基づき疾患毎に原因となる既知物質の抗体を検出するため、原因物質が不明な場合には全く利用できない。PepTenChip(R)システムは、既知の疾患関連物質は不要で、疾病による蛍光画像パターンの違いを統計解析により検査し、疾患原因物質の探索も可能とする画期的な手法である。本手法による検査・探索の実用化技術を開発する。
開発した技術のポイント
本プロジェクトで開発を計画したシステムの主要な技術について開発を実施した。即ち、測定用基板に、検出素子としてのペプチドプローブを効率的に固定化する表面修飾技術、及びペプチドプローブのアレイ化技術、測定用基板上に捕捉した微量分子の解析技術、実際に臨床利用することを想定した診断用データベースの構築、及び運用のためのプログラムの構築である。
具体的な成果
基板表面の修飾では、基板表面にペプチドプローブが接触すると共有結合が形成されて固定化されるような修飾法を開発した。また、アレイ化技術では、マイクロアレイヤーを用いた方法では高密度なアレイを可能とする技術を開発し、またアレイヤーを利用せずに手動でもアレイ化できる方法を開発し、本技術の利用の幅を広げることに成功した。このようにして作成した基板と種々の検体をアッセイすると、検体中の分子が基板表面のペプチドに捕捉される。この捕捉された微量の分子を、本プロジェクトで開発した微量分子解析技術によって解析することで、疾患に由来する分子の特定が可能である。
知財出願や広報活動等の状況
本技術は、BioJapan2022で共催されたJapan Healthcare Venture Summit内で新規技術として広報を行った。その他、成果については論文執筆と投稿の準備中である。
研究開発成果の利用シーン
本研究開発で得た成果は、生体サンプル等の複雑な混合物の測定技術である。そのため、本技術はそのようなサンプルの測定が必要な幅広い分野での利用が期待できる。例えば、研究用途としては、ある検体を本技術を用いて測定し、測定結果の原因となった分子を特定して疾患要因分子の解明につなげることが出来る。また、臨床現場では疾患診断材料の一つとして本成果で得られた成果を活用することが期待される。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
ハイペップ研究所の事業計画では、製造施設を新たに建設し、クリーンルームでGMP準拠のPepTenChip(R)製造を行う予定である。そこでは、製造のみでなく、解析委託も含めた検体受入とデータ解析の拠点として機能させる計画である。
さらに、許認可と株式公開のための計画も策定した。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造、試験・分析・評価、技術ライセンス、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・簡便に持ち運び、利用できるバイオ検出装置
・測定にも専門的な手技は不要で、測定時間が30分程度と短い
今後の実用化・事業化の見通し
・今後も許認可へ向けてデータの蓄積と、さらなる超微量解析の技術開発を続ける予定である。そのため、今後も継続してサンプルの確保とデータの蓄積を行っていく計画である。
・研究開発期間中にアレイヤーが故障しアレイ製造ができなくなった。世界中から部品を探し出しアレイヤーを復帰させたが、同時にアレイヤー無しのマニュアルアレイ法を確立した。高額なアレイヤーを所有しないユーザーでもデータ集積が進められる。クラス1医療機器許認可の実現をすすめる。
・データマイニングでは、すでに取得したデータを用いて、診断判定が可能であることを証明した。
・捕捉分子の超微量分析は、疾患原因物質の解明に重要なデータであるため、今後も継続して解析を進めていく計画である。
実用化・事業化にあたっての課題
プロジェクト中にチップを製造するアレイヤーが故障し、継続したチップの製造を行うにあたり大きな課題となった。事業継承とバイオチップの製造販売の持続性を考慮し、アレイヤー装置無しの、マニュアルアレイ法を確立した。同時に、自社仕様アレイヤーの設計製作計画を策定中である。
ハイペップ研究所は20年近いアレイ方式の研究実績がある。技術や機種の探索、アレイ技術の最適化における多くのノウハウを有する。ハイペップ研究所が確立した PepTenChip(R)の4つの基盤技術のうちアレイヤーだけが唯一の外国製である。開発期間の短縮のために協業先を見出す努力も行う。
事業化に向けた提携や連携の希望
技術の実用化については、サンプルやデータが重要なため、サンプルを提供してもらえる医療機関や大学・研究所などとの提携を希望する。このための貸し出し用検出器も準備した。また、蛍光検出装置については量産化により拡販が期待できるため、量産を請け負っていただける業者との連携を期待している。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ハイペップ研究所 |
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事業管理機関 | 公益財団法人京都高度技術研究所 |
アドバイザー | 日本軽金属株式会社 竹林恭志 関西医科大学 総合医療センター 脳神経内科 教授 近藤誉之 同志社大学 生命科学部 教授 池川雅哉 甲南大学 フロンティアサイエンス学部 准教授 臼井健二 南京医科大学 魏睦新 Nazarbayev University School of Science and Technology, Department of Biology Ph.Dr Christian Schönbach |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ハイペップ研究所(法人番号:9130001024134) |
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事業内容 | 自社研究(診断・創薬)、研究受託、研究支援商品販売 |
社員数 | 8 名 |
生産拠点 | 京都 |
本社所在地 | 〒602-8158 京都府京都府京都市上京区中務町486-46 |
ホームページ | https://hipep.jp/ |
連絡先窓口 | 株式会社ハイペップ研究所 軒原 駿 |
メールアドレス | PepTenChip@hipep.jp |
電話番号 | 075-813-2101 |
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