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バイオ

独自の細胞培養足場技術と疾患特異的iPS細胞を活用し、新薬候補の有効性と毒性の評価に有用な神経細胞の試験法を開発

京都府

株式会社幹細胞&デバイス研究所

2022年1月26日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 配向性ファイバ―足場で培養した神経細胞とこれを用いた薬の有効性と毒性を信頼性高く評価できる試験法の開発
基盤技術分野 バイオ
対象となる産業分野 医療・健康・介護
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)
キーワード iPS創薬、疾患モデル細胞、3次元配向性細胞培養デバイス、稀少疾患、評価系開発
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和1年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

神経疾患に対する臨床試験において、ヒトiPS細胞の活用による成功率の改善が期待されたが、神経細胞の性能や評価法の不足が課題となっている。本研究開発では、新規の神経性能測定法と、独自の培養足場上で性能が向上したiPS細胞由来神経細胞(SCAD-MTneuron)を患者由来のiPS細胞からも作製して、ヒトに対する薬効や毒性を評価できる試験法を開発する。これにより、特に難病に対する創薬に貢献する。

開発した技術のポイント

・SCAD-MT neuronを用いた神経性能評価系の開発
-SCAD-MT neuron において神経細胞が 3 次元的に配列していることを確認
-シナプス伝達効率の測定 SCAD-MT neuron を用いた低周波成分の強度解析が、シナプス伝達変化を評価する指標として有効であることを示唆する知見を得た。
-CMOS-MEA を用い、SCAD-MT neuron を用いた無髄神経の伝導速度計測法の一連のプロトコルを構築。
・CMT1AとCMT2Aの患者由来血液からiPS細胞株を樹立
-CMT1AとCMT2Aの疾患モデル神経細胞を開発
・疾患SCAD-MT neuronを用いた有効性評価系の開発
-CMT1A 患者由来シュワン細胞に特異的な特徴として、ミエリン形成に関わるタンパク質をコードする特定の遺伝子の発現量が低下していることを見出した。
-SCAD-MT neuron は、培養期間の短縮、歩留まりの良さ(データ取得ウェル数)、DMSO への応答性の低さ等において、従来法に対して優れた特徴を持つことを見出した。

iPSC
具体的な成果

・CMT1AとCMT2Aの患者血液由来のiPS細胞株を樹立
・SCAD-MT neuronを用いた神経性能評価系の開発
-新形状のファイバーデバイスを開発。
-MEA 測定結果のベースライン値におけるバラつきの変動係数を 30%以内に制御することに成功。
-神経伝播速度の安定的な測定法と解析法を確立。
-カーボンナノチューブ微小電極アレイ(CNT-MEA)を用いて、SCAD-MT neuronからのドーパミン放出を検出する方法を確立。
・疾患SCAD-MT neuronを用いた有効性評価系の開発
-ヒト iPS 細胞からの分化誘導によるシュワン細胞作製プロトコルを確立。
-遺伝子 A をシュワン細胞成熟性マーカーとして用いた薬剤応答試験の手法を確立。

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知財出願や広報活動等の状況

・特願 2019-162555「細胞の選別方法」
・特願 2020-026698「ミエリン化神経細胞を含む神経細胞デバイスの製造方法」
・特願 2021-033665「神経細胞デバイス、その製造方法、及び神経活動評価方法」
・SCAD-MT neuron の活用事例を含む論文が、東北工業大学鈴木研究室とチューリッヒ工科大学らとの共著として Nature Communications (11, Article number:4854, 25th Sep,2020)に掲載

研究開発成果の利用シーン

・シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)の疾患モデル細胞の開発により、病態のメカニズム解明と治療薬の探索に活用が可能。サポイン終了後、実際に治療薬の探索に活用を開始しており、細胞レベルであるが、病態の改善に有効な候補物質を特定した。
・MEA測定に関する実験法の開発と実証データの取得により、製薬業界で進められている神経毒性評価のin vitro試験の取り組みにおいて、ユーザーへの提案に繋げることが可能。また、神経性能測定法は、神経機能を評価する新たな手法として利用される可能性がある。
・さらに、神経難病であうCMT特異的iPS細胞から分化誘導した神経系細胞を用いた評価系の開発の進展が挙げられる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・CMT患者由来の疾患モデル神経細胞について、当社内で治療薬の探索に活用を開始しており、細胞レベルであるが、病態の改善に有効な候補物質を特定した。(特定した物質の用途特許の出願を準備中)
・SCAD-MT neuronを用いたMEA測定は複数の企業にサンプル提供を行い、フィードバックを得た。また、遺伝性の末梢神経障害の中でもっとも患者数が多く全世界で280万人以上の患者が存在すると推定されるCMTに対して、シュワン細胞における遺伝子発見解析が疾患特異的な表現型となる可能性が示されている。

提携可能な製品・サービス内容

試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

・国家戦略特区法での事業化認定のもと、患者血液由来のiPS細胞とこれによる神経細胞を活用した創薬探索が国内で唯一、商用利用が認められている。
・有効性が実証された治療薬はまだないCMTにおいて、患者由来の疾患モデルによる創薬探索は治療薬の発見につながる可能性が期待される。
・CMT2Aの患者由来iPSによる疾患モデルでは、細胞レベルで、一部の病態再現ができており、これによる創薬探索を開始している。
・CMT1A 型患者由来iPS 細胞から作製したシュワン細胞における遺伝子発現解析が疾患特異的な表現型となる可能性が示された。また、シュワン細胞成熟性マーカーは今後の病態解析や薬理モデルとしての利用が期待される。
・製薬業界で進められている神経毒性評価の in vitro 試験の取り組みにおいて、SCAD-MT neuron を用いた MEA 測定の有用性可能性を示すデータとしてユーザーへの提案につなげることができる。

今後の実用化・事業化の見通し

・CMT2Aの疾患モデル細胞を活用し、細胞レベルで病気の状態を改善する物質を特定した。今後はその物質を用いて動物実験での有効性の確認や、毒性/安全性評価を実施し、良好な結果が得られれば、臨床試験へと進める。
・神経細胞培養用の有用なツールとして SCAD-MTneuron および関連する製品の販売を行うとともに、製薬会社やバイオテックに対してこれらの技術を用いた受託研究・共同研究等のサービスを提供していく。実際に、SCAD は2021 年初頭から複数の製薬企業からシュワン細胞を用いた委受託研究を受注した。リピートオーダーも獲得し、現在、さらなる事業拡大を図っている。

実用化・事業化にあたっての課題

・ミエリン化による有髄神経の作製において、MEAによる軸索伝導速度の算出が困難であり、ミエリンによる軸索伝導の高速は実現できなかった。
・シュワン細胞を用いてヒト iPS 細胞由来運動神経との共培養を試みたが、共培養プロトコルの確立には至らなかった。

事業化に向けた提携や連携の希望

CMT治療薬の探索に関心のある企業/VCや、特定した物質の非臨床試験/臨床試験を進めることに関心のある企業/VCとの連携を希望する。
特に、米国での臨床試験実施を希望しているため、これに治験のある企業との連携を期待する。

プロジェクトの実施体制

サポイン事業者 株式会社幹細胞&デバイス研究所
事業管理機関 公益財団法人京都高度技術研究所
研究等実施機関 学校法人東北工業大学大学院
アドバイザー エーザイ株式会社
合同会社ACARZ
国立大学法人 京都大学
国立大学法人 東京大学
京都府公立大学法人 京都府立医科大学
千葉科学大学
塩野義製薬株式会社

サポイン事業者 企業情報

企業名 株式会社幹細胞&デバイス研究所(法人番号:7130001053275)
事業内容 ヒトiPS細胞由来の神経細胞や骨格筋細胞などをもとに、創薬研究に用いる細胞デバイスや疾患モデル細胞を開発し、これらを活用した薬効薬理評価系を開発
社員数 11 名
本社所在地 〒600-8491 京都府京都市下京区鶏鉾町480番地 オフィス・ワン四条烏丸11階
ホームページ https://scad-kyoto.com/
連絡先窓口 経営管理室長 千秋園子
メールアドレス sonoko.chiaki@scad-kyoto.com
電話番号 075-744-1114