文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. 産業機器の操作パネルなど少量多品種分野に対応した低コスト小ロット型有機ELパネルの実用化を図る

材料製造プロセス

産業機器の操作パネルなど少量多品種分野に対応した低コスト小ロット型有機ELパネルの実用化を図る

群馬県

株式会社ユー・コーポレーション

2023年4月3日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 少量多品種・低コスト化を実現する有機ELの革新的製造プロセスの開発
基盤技術分野 材料製造プロセス
対象となる産業分野 医療・健康・介護、ロボット、産業機械、工作機械、光学機器
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、低コスト化、デザイン性・意匠性の向上
キーワード 塗布型有機EL、スクリーン印刷、ITOパターニング、電極・配線、被覆特性
事業化状況 実用化間近
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

有機ELは、画質、薄型軽量、フレキシブル性の機能に優れ、操作用パネルなど、様々な分野で高い需要が期待される。他方、大量生産を前提とした従来の製造方法では、少量多品種の用途向けの対応が困難である。そこで従来の20分の1程度で製造可能な、革新的製造プロセスを開発する。これにより医療機器や産業機器の操作パネルなど少量多品種分野に対応した小ロット型有機ELパネルの世界初の実用化を図る。

取組理由課題きっかけ
事業概要-1
事業概要-2
開発した技術のポイント

・クリーンなスクリーン印刷技術
-版乳剤成分のガラス基板への転写がなかった。
-発光エリアΦ20~30で部分的に版が接触しない構造の版の設計が完了した。
-発光エリアΦ20~30でパラメータ制御による発光エリアへの非転写を達成した。
・歩留まり向上のための塗布技術
-塗布型正孔注入層の異物に対する被覆特性としては、歩留まり90%以上を達成した。
-正孔注入層のパターニングは、膜厚均一性4.0%以内(輝度ムラ4.6%)を達成した。
・絶縁膜の厚膜化技術
-補助配線の線幅100μm、絶縁性抵抗100V100MΩ以上を達成した。
・大型化・環境対応
-100×200mmエリア基板において塗工膜厚4.0%以下、輝度ムラ4.6%、歩留まり91%を達成した。
・有機ELパネルとしての総合評価
-視認性が、輝度均一性4.6%を達成した。
-薄型化が、OLEDパネル厚1.8mmを達成した。
-耐環境性(セ氏60度85%240H)が、輝度均一性4.3%を達成した。
-耐久性(耐打鍵性)が、500g/平方センチメートル×100万回をクリアした。
-コスト(マザーガラスG2想定・100枚生産)は、1,291円であった。

具体的な成果

・クリーンなスクリーン印刷技術
乳剤の溶解の改善により、基板面への乳剤転写を防げた。版裏乳剤面の洗浄方法の改善により、繰り返し印刷できた。
・歩留まり向上のための塗布技術
異物の大きさ、混合溶媒に使用するアルコールの種類、印刷手法による被覆特性の差を確認した。正孔注入層混合溶媒の選定及びスクリーン版の仕様を設定することで、輝度ムラのない均一な膜厚のパネルを作製できた。
・絶縁膜の厚膜化技術
絶縁ペーストの選定・粘度調整、印刷パラメータの改善によりAg配線上に、100V100MΩ以上の絶縁膜を形成した。線幅は100μmを達成した。
・大型化・環境対応
100×200mmの透明電極パターニング基板に正孔注入層をスクリーン印刷し有機EL製膜基板を作製した。パターニング基板のWet・Dry洗浄方法の効果、印刷パラメータの設定、歩留まり向上のための塗布技術を含め、発光ムラが少ないパネルを作製できた。
・有機ELパネルとしての総合評価
100×200mmの有機ELパネルの評価において、視認性、薄型化、耐環境性、耐久性の課題は達成。面付け数・版価格の改善により低コスト化に向けて検討する。

具体的成果-1
具体的成果-2
知財出願や広報活動等の状況

知的財産としては、すでに保有する特許としてタッチスイッチ、有機ELによる照光スイッチの2つの特許を取得している。本事業印刷によるパターニングについては製法特許になる為ブラックボックス化し、品質や生産性の改善を進めた。また本事業における技術を活用し、産業機器に求められる社会ニーズ及び低コスト化のニーズにも対応し少量多品種低コスト化における課題を実現し、基盤技術の高度化に向け適切な対応を行った。
広報活動として各種展示会、スクリーン印刷業界誌などの掲載等でアプローチ、さらに実際に医療現場で臨床工学技士の方の意見や産業機器企業の情報をもとに、研究成果の事業化に向けて情報を整理しつつ計画を立てながら進めている。

研究開発成果の利用シーン

医療・工作機器・計測機器メーカーに対して、操作パネルの使用頻度(使用時間)や、大きさ等を考慮した上で、有機ELパネルを使用した操作パネルとして、ユニット化して利用及び、ITOパターニング基板についてタッチスイッチ、センサーなどの主にITOを使用する製品として使用の可能性もある。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

事業化終了後、大学との共同研究を継続し、追加研究として製品の品質の改善を行う。それにより品質の安定した生産方法や歩留りの安定、作業効率の改善など生産性に起因する問題の改善を行っている。
 製品については、顧客等のPRや「付加価値ある意匠デザインに関する展示会」、高機能フィルム展、オートモーティブ展示会、スクリーン印刷業界誌などの掲載等でアプローチをおこなっている。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

発光部に有機ELを用いることで、従来のLEDパネル(~50mm厚み)と比較して厚さ2mm程度が実現可能になる。この為操作パネルを薄型軽量化し、手元で扱うコントローラー等に応用できる。また視認性の改善により医療器などの暗所での使用が好適な機器にも視認性の良い操作スイッチとしての提案も可能。特に有機ELの発光面を自由に決められることからデザイン性が要求される商品に対応。さらに現状のLEDパネルとほぼ同等の価格も想定できる。

今後の実用化・事業化の見通し

・医療・工作機器・計測機器メーカーに対して、操作パネルの使用頻度(使用時間)や、大きさ等を考慮した上で、有機ELパネルを使用した操作パネルとして、ユニット化の提案をする。また軽量化として、例えば工作機器におけるティーチペンダントの入力操作などが想定される。
・ITOパターニング基板について、タッチスイッチ、センサーなどの主にITOを使用する製品としての販売も視野にいれる。センサーとしては静電容量方式を使用した位置センサーなどの用途として展開していく。

実用化・事業化にあたっての課題

コストについては、面付け数・版価格のさらなる改善により低コスト化に向けて引き続き検討して行く。
量産設備に関しては、どのような設備が効率的なのか、設備投資の費用などの調査の取り組みを行っている。
製品化や量産に向けた体制として、生産性の良い量産設備の検討を行い、量産体制の整備についての具体的課題点の解決について対応を進めた。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社ユー・コーポレーション E&T事業部 技術開発部 伊与久 良平
事業管理機関 国立大学法人山形大学 米沢キャンパス事務部
研究等実施機関 山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター 副センター長 教授 硯里 善幸
アドバイザー 藤倉化成株式会社 笹村 悟
国立大学法人山形大学 医学部 脳神経外科准教授 小久保 安昭

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社ユー・コーポレーション(法人番号:1070001010123)
事業内容 製造業・エレクトロニクスユニットの製造、スクリーン印刷製品の製造、試作支援サービス、高精度切削加工、アパレル装飾加工
社員数 250 名
生産拠点 群馬県安中市
本社所在地 〒379-0124 群馬県安中市鷺宮929-1
ホームページ http://www.u-corp.co.jp/
連絡先窓口 株式会社ユー・コーポレーション 伊与久 良平