情報処理
AIを用いた無停止撮影によるリアルタイム塗装外観検査
宮城県
バイスリープロジェクツ株式会社
2023年2月5日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 自動車の塗装外観検査を無停止で自動化する、AIを用いた画像検査装置の開発 |
---|---|
基盤技術分野 | 情報処理 |
対象となる産業分野 | 自動車、スマート家電、外観検査 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高性能化(高速画像撮影(40FPS達成実証済み)によるリアルタイムな欠陥検出が可能。)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化 |
キーワード | 外観、塗装、検査、自動化 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
自動車の塗装外観検査を自動化するにあたっての課題は、製造ラインで搬送状態の車体をロボットに搭載した外観検査装置によって検査を行うことである。従来は、搬送を一時的に停止した状態で6台ものロボットで外観検査を実施している。本研究開発では東北大学の協力により業界初となる塗装外観に特化したAIを用いて、搬送を止めることなく検査が可能となる手法を開発し、かつ従来6台必要であったロボットを3台に半減する。
開発した技術のポイント
・検査に適したロボットによる無停止動画撮影方法の確立
‐ロボットにカメラと照明を組み込み、このカメラと照明を制御して、撮影画像を記録するソフトウェアを作成した
‐製造現場に適用できる検査速度0.1平方メートル/sとなる撮影システムの構築を完了した
・検査に適した照明法・撮影法の検討および評価
‐照明に使用するスリットパターンを考案した
‐検査速度0.1平方メートル/sに耐えうる照明法および撮影法を確定した
・AIを用いて動画像から塗装欠陥を検出する技術の確立
‐秒間40枚で3M画像(2,000×1,500画素)上から塗装外観不良の欠陥を検出できるAIアルゴリズムを開発した
‐AIアルゴリズムを最適化してFPGAに組み込むことで、3M画像を秒間40枚で処理できる処理装置の開発を完了した
‐AIアルゴリズムにおいて、誤検出・見逃しが発生する課題の改善を行い、AIアルゴリズムの開発を完了した
・動画像を高速に処理する画像処理装置の開発
‐画像処理装置の機能として、撮影からAI処理、PCへの転送までの処理を実装した
‐FPGA内最適化を行うことで、画像処理装置内のCPU処理も絡めて秒間40枚の処理速度を達成した
具体的な成果
検査速度0.1平方メートル/sで、検査を行える検査システムを完成させた。検査システムでは、アーム型の六軸ロボットにカメラおよび照明を搭載して撮影を行うことにより、自動車のような大きな対象に対しても自由な状況で撮影を行うことができる。また、撮影した画像を入力として、FPGAを使用した画像処理装置のAI処理により撮影した画像で検査を行うことで、パソコン(PC)と画像処理装置で並列に処理を行うことができ、結果として、検査速度0.1平方メートル/sを達成することができた。この検査システムは、ロボットを除く構成で、既にアドバイザーである日産自動車株式会社へのサンプル出荷が決まっている。事業化に向けた他企業へのサンプル出荷機や量産機の検討も行うことができており、そのために必要な機能や構成なども見えている。
知財出願や広報活動等の状況
特許登録済み:特許番号 第7188821号
サンプル機(デモンストレーション用)を開発し、「スマート工場EXPO」や自治体主催の「とうほく・北海道 自動車関連技術展示商談会」等、幅広く出展している。
現在、多くの企業からデモンストレーション及びサンプル出荷に関する問合せ依頼がある。
主に自動車メーカーを筆頭に、自動車関連以外のメーカーからも問合せがある状況である。
研究開発成果の利用シーン
自動車メーカーにおける塗装検査工程および最終検査工程の自動化・省人化
自動車メーカー以外の塗装製品を扱っているメーカーでの検査工程の自動化・省人化
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
事業化1年目の2022年度においては、すでにアドバイザーでもある日産自動車株式会社へサンプル出荷しており、約2,000万円の売上を計上している。また、当社の既存顧客である他メーカーに向けてもサンプル出荷・販売へ向けて、現場でのデモンストレーション評価等を実施しながら、情報発信している。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、製品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・自動車メーカーにおける塗装検査工程および最終検査工程の自動化による省人化
・目視検査員の人件費や募集、教育にかかっているコストの削減
・リアルタイムな欠陥検出(40FPS以上)により、搬送ラインを止めずに検査が可能。
今後の実用化・事業化の見通し
事業化1年目から3年目においては、サンプル出荷を通じて得られる改善点などのフィードバックを反映して、一般販売する検査システム(量産機)を開発する。大手メーカーや工場現場で実際に必要とされる要求を製品へフィードバックすることで、各種メーカー(自動車関連メーカーや、家電製品メーカーなど)がスムーズに現場に導入しやすい検査システムを販売する。本サポイン事業を通じて得られた研究開発の成果と、3年間の事業期間の間に築いた共同体同士の信頼関係を生かし、成果を確実に事業化していく。
実用化・事業化にあたっての課題
検査システムの最適化が目標未達のため、事業化と合わせて継続して進める必要がある。本研究開発において、既に最適化に向けた実施内容は検討を行っている。具体的には、画像処理装置の小型化に向けたGPU製品の開発や、検査システムに上位システムとの連携や検出した欠陥の判定といった機能を追加することが挙がっている。また、既に決まっているアドバイザーである日産自動車株式会社(川下企業)へのサンプル出荷からの改善といったことに対応し、製品としての最適化を進める。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | バイスリープロジェクツ株式会社 |
---|---|
事業管理機関 | 公益財団法人みやぎ産業振興機構 産業育成支援部地域連携推進課 |
研究等実施機関 | 匠ソリューションズ株式会社 |
アドバイザー | 国立大学法人東北大学 日産自動車株式会社 宮城県産業技術総合センター |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | バイスリープロジェクツ株式会社(法人番号:1370001012023) |
---|---|
事業内容 | 画像処理・組込みシステム開発、検査装置開発 |
社員数 | 32 名 |
本社所在地 | 〒984-0002 宮城県仙台市若林区卸町東2丁目1-23 |
ホームページ | https://www.x3pro.co.jp/ |
連絡先窓口 | バイスリープロジェクツ株式会社 菅野 直 |
メールアドレス | sales@x3pro.co.jp |
電話番号 | 022-290-5258 |
研究開発された技術を探す