立体造形
超軽量・高剛性のポリカーボネート製ハニカムサンドイッチパネル
岐阜県
岐阜プラスチック工業株式会社
2020年4月10日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | エンプラを用いた高比剛性部材(熱可塑性ハニカム)の製造技術開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 自動車、建築物・構造物、物流・流通 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
自動車産業をはじめ広い分野で、「軽量化指向のものづくり技術」が求められ、金属から樹脂への移行、中空一体構造の採用、さらに、ハニカム構造体の開発などが進行している。本研究では、さらに、軽くて強い製品(高比剛性材)の高能率加工技術の開発を目指す。具体的には、素材を高強度樹脂にグレードアップ、製品構造にハニカムを採用、ハニカム製品の連続成形技術を確立し、事業化を目指す
開発した技術のポイント
・軽量・高機能なポリカーボネート製ハニカムサンドイッチパネル(TECCELL)の生産技術の確立
‐物性値→見かけ密度0.23、製品厚み12.8mm、剛性12.1Nm2/75mm、比剛性52.6
‐立体形状加工への対応→形状の加工限界を導き出す
・ポリカーボネート製ハニカムサンドイッチパネル(TECCELL)の異素材貼り合せ品の生産技術の確立
・物性値→見かけ密度0.27、製品厚み13.0mm、剛性70.4Nm2/75mm、比剛性260.7
・特性値→濡れ性40dyn以上、剥離強度50N/25mm以上
(新技術)
同剛性(12.1Nm2/m)にて比較(試験片サイズ350mm×75mm)
(1)ポリカーボネート製ハニカムサンドイッチパネル
・製品厚さ12.8mm、見かけ密度0.23、重さ78.3g(アルミから約60%、鉄から約80%の軽量化)
・剛性12.1Nm2/m、比剛性52.6
(2)0.1mmアルミ貼り合せポリカーボネート製ハニカムサンドイッチパネル
・製品厚さ13.0mm、見かけ密度0.27、重さ92.5g
・剛性70.4Nm2/m、比剛性260.7(ポリカーボネート製ハニカムサンドイッチパネルと比較して剛性約6倍、比剛性約5倍)
具体的な成果
・ポリカーボネートシート素材の選定
‐ポリカーボネート製ハニカムサンドイッチパネル用のPCラミシート素材として、成形性や基本物性等から、2層ラミシートの溶着層にゴム成分を添加したポリメチルメタクリレートを選定異素材シート、接着剤の選定
‐異素材シートとして中空素材との組み合わせに最適と思われるアルミを選定し、その際に用いる接着剤として2液シリコンタイプを選定した。またその際に、ポリカーボネートは難接着素材であるが、製品表面にコロナ放電処理を行うことで複合化出来ることを確認した
・ポリカーボネート製TECCELL製造技術(ハニカムコア成形用)を確立
‐ハニカムコア材用のポリカーボネートシートを選定し、真空成形→折込→ハニカムコア材溶着を経て、ハニカムコア材の成形技術を確立し製品を作製
・ポリカーボネート製TECCELL製造技術(ラミシート貼付用)を確立
‐上記により作製したハニカムコア材を用い、ラミシート用のポリカーボネートを使用して、ハニカムコア材とラミシートを加熱溶着することで、ラミシート貼付技術を確立し、ハニカムサンドイッチパネルを作製
・ポリカーボネート製TECCELLと異素材貼り合せ技術を確立
‐表面処理技術、接着剤の選定、接着剤塗布技術などを踏まえ、ポリカーボネート製TECCELL製造装置(ラミシート貼付用)を用い、ポリカーボネート製TECCELL+AL品を作製
‐濡れ性は48dyn以上であり、表面処理効果を確認
・剥離強度、密度、製品厚みは目標達成、剛性、比剛性もほぼ目標達成
‐物性を評価し、密度・製品厚みは想定通り、剛性・比剛性は目標より若干低いものの、ポリカーボネート原料の曲げ弾性率を高く見積もっており、実測した値に想定すると今回の測定結果と一致
‐剥離強度は、基本的に50N/25mmを上回り目標を達成
・立体形状加工技術を確立
‐ポリカーボネート製ハニカムサンドイッチパネルの立体形状加工を行い、加工限界を見極めることが出来た。その結果、製品形状次第で立体形状加工が可能であることを確認した
知財出願や広報活動等の状況
出展:国際物流総合展2012(H23.9)、国際航空宇宙展(H23.10)、名古屋プラスチック工業展(H23.10)、TECHBizEXPO2012(H23.11)
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・H26年度の実用化に向け、補完研究を継続
・ポリカーボネート製ハニカムサンドイッチパネル、パネルの立体形状加工品のサンプルあり(無償)
製品・サービスのPRポイント
・軽量化→開発したポリカーボネート製ハニカムサンドイッチパネルは、同剛性のアルミ材と比較して約60%、鉄と比較して約80%の軽量化を実現
・環境負荷低減→開発したポリカーボネート製ハニカムサンドイッチパネルは、同剛性のアルミ材と比較して約60%、鉄と比較して約80%の軽量化が出来るため、燃費改善による環境負荷低減が出来る(自動車重量として100㎏の変動で燃費効率に約5%の影響を及ぼす)
今後の実用化・事業化の見通し
・補完研究を継続し、H26年4月の事業化を目指す
‐本事業にて作製したハニカムサンドイッチパネルについて、より高機能化するために材料の高性能化や、立体形状加工技術の開発と合わせて加工に適した材料の選定などを行うために補完研究を継続中
‐出来上がった製品に対して基礎物性評価(曲げ測定、耐熱測定、衝撃測定、難燃性測定、透明性測定等)を実施。各項目についての機能性は大筋で目標数値を達成しているが、より機能性を高められる素材や製法等について研究を継続中
‐H26年4月の実用化及び事業化を目指す。自動車メーカーを始め、住設関係のメーカーや物流梱包資材としての引き合いもあり、事業化までに顧客要望を把握し、上市製品のスペックなどを設定していく
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 岐阜プラスチック工業株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人岐阜県産業経済振興センター |
研究等実施機関 | 岐阜県産業技術総合センター |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 岐阜プラスチック工業株式会社 |
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事業内容 | 熱可塑性樹脂を用いた射出成型により、物流産業資材(パレット・コンテナ等)を中心に、工業部品・医療関連品など幅広い製品を製造販売 |
本社所在地 | 〒500-8833 岐阜県岐阜市神田町9-27 |
ホームページ | http://www.risu.co.jp |
連絡先窓口 | 開発本部技術開発Gグループリーダー 渡辺信幸 |
メールアドレス | n-watana@risu.co.jp |
電話番号 | 058-386-9364 |
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