接合・実装
高強度大型ボルト類の締結力を確保しつつ、人的負荷や環境負荷を低減する技術を開発
大阪府
株式会社竹中製作所
2020年3月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 極限的に過酷な使用環境下の高強度大型ボルト類に長期安定な軸力を提供する高強度・高潤滑性複合樹脂被膜及びこれによる表面処理技術の開発研究 |
---|---|
基盤技術分野 | 接合・実装 |
対象となる産業分野 | 農業、産業機械、建築物・構造物、工作機械 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
カーボンナノチューブの補強効果とナノ潤滑剤としての特性を最大限に活かしうる独自の複合化技術により、高強度・高潤滑性の複合樹脂塗膜を開発し、これによる表面処理で、高強度大型ボルト類に多数回の繰返し締結にも耐えうる長期安定な軸力性能を付与する。これは、大深度の石油掘削、大型風力発電、洋上発電等、極限的に過酷な使用環境に対応しうる、環境・エネルギー的にも有用な新材料である
開発した技術のポイント
・高分子樹脂コーティングにより、高強度大型ボルト類の軸力性能を長期にわたって維持
-繰返し締結耐性向上:従来(めっき+グリース)で焼付きまでに50回の締結が可能→グリース・フリーで100回の締結を可能に
-長期安定性:24000N-mの締付けトルクに対する耐久性とメンテナンス・フリーで6ヶ月、90%軸力の保持
(新技術)
<カーボンナノチューブ(CNT)を潤滑膜として使用>
・高荷重、グリースフリーの条件下で100回を超える繰返し締結に耐える
・高潤滑性に優れ、長期間の安定な軸力性能の保持を可能とする
・作業効率を向上させるだけでなく、グリースフリーであるため環境負荷の低減に繋がる
・メインテナンス・フリーの状況で長期間、海上や海浜の過酷な使用環境に耐えることを要請される大型風力発電の大型ボルト類にも有効な技術である
具体的な成果
・採用すべきCNT・グラフト化法を探索
-高強度ボルトの潤滑剤としての役割を果たすため、高い潤滑効果を発揮して塗膜表面から引抜かれやすい通常よりも線長の短いCNTを検討
-碁盤目試験、Dupont衝撃試験、折曲げ試験、回転摩耗試験及び防錆性試験の結果、最も高い性能であった、線長1m程度のCNTを採用
-グラフト化については、重合装置反応時間・超音波照射時間を組み合わせ、最も分散液の分散状態が適切な条件を把握
・極限荷重での繰返し締結性能の確認
-様々な使用条件を考慮し、CNT成膜を行った研究製品に対して各種設定温度域(-75℃~100℃)でのサイクル試験を行い、極限荷重(14000N-m)での繰返し締結性能を確認
-複数の樹脂を用いて成膜した研究製品を比較した結果、異なる特性がみられ、一般の環境下で使用するのに適している製品と、巨大な剪断力がかかる環境下で使用するのに適している製品とに分かれた
-室温での締め付けトルク14000N-mでのボルト締結では、80回まで焼付きなしで実施可能
知財出願や広報活動等の状況
・特許:被覆組成物および被覆物特許4536031号
・受賞:元気なものづくり中小企業300社(経済産業省)
・論文:国際炭素学会(H24.11)
・出展:風力展(H25.2)
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・実用化に成功、H25年度中に事業化見込み
・サンプルあり(塗料液、塗装品。有償/無償の別は内容による)
製品・サービスのPRポイント
・強度向上→従来被膜が耐えうる荷重の約20倍の極限荷重でも破壊しない被膜強度を有する
・耐摩耗性向上→開発したカーボンナノチューブ複合被膜は、従来高分子に対して約10倍以上の極限荷重での磨耗特性を有する
・新製法の実現→世界で始めてカーボンナノチューブを5%を超える高濃度で均一分散することに成功した
今後の実用化・事業化の見通し
・試作品の評価を川下企業に依頼しており、性能の耐久性データを取得中。H25年より拡販体制を強化する
-サポイン終了以降、試作品を各社に評価依頼中であり、性能の耐久性データを取得中
-カーボンナノチューブ素材の価格交渉中。価格の低減による市場性拡大を素材メーカーと協議中
-国の機関での評価も終了し、本格的展開に向けて販売体制を推進中。平成25年1月より拡販体制を強化
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社竹中製作所 |
---|---|
事業管理機関 | 株式会社竹中製作所 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社竹中製作所 |
---|---|
事業内容 | ボルトナットの製造、表面処理事業、電子機器事業 |
本社所在地 | 〒578-0984 大阪府東大阪市菱江6-4-35 |
ホームページ | http://www.takenaka-mfg.co.jp |
連絡先窓口 | 表面処理事業部取締役事業部長 黒山昭治 |
メールアドレス | kuroyama@takenaka-mfg.co.jp |
電話番号 | 06-6782-2054 |
研究開発された技術を探す