接合・実装
次世代光ネットワーク構築に向けた高機能光ファイバ部品の開発
北海道
フォトニックサイエンステクノロジ株式会社
2025年1月21日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | データセンタボード内光配線用異径ダブル・マルチコア光ファイバの製造技術の研究開発 |
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基盤技術分野 | 接合・実装 |
対象となる産業分野 | 情報通信、光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(小型化・軽量化) |
キーワード | ダブルコア光ファイバ、マルチコア光ファイバ、線引き、シリコン(Si)光回路、溶着加工 |
事業化状況 | 実用化間近 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
スマートフォンの普及に伴うSNS利用者の急増により求められているデータセンタの高速化、省電力化を実現する手段としてシリコン光回路が注目されているが、シリコン光回路への光結合が問題であった。
本研究開発ではこの問題を解決するために、光ファイバ内でモードフィールド径(MFD)の変換を可能とするダブル・マルチコア光ファイバ(DMCF)の開発を行い、シリコン光回路との高効率光結合技術を確立する。
開発した技術のポイント
本研究開発では、ビーム伝搬法に基づく光学解析により二つの異なる屈折率を有するダブルコア光ファイバの設計技術、一本の光ファイバ内に複数のコアを有するマルチコア光ファイバ設計技術、テーパ形状を有する異形コア光ファイバ設計技術及びこれらを組み合わせた異形ダブル・マルチコア光ファイバ設計技術を開発した。
また、製造技術については複数穴が形成された精密微細管(マルチホールキャピラリ)の製造技術、ダブルコア光ファイバ製造技術及びこれらを組み合わせてDMCF 母材を形成するための溶着加工技術、DMCF 母材を溶融延伸して異形ダブル・マルチコア光ファイバを製造する線引き加工技術を開発した。また、作製した異形ダブル・マルチコア光ファイバにコーティングを行い、製品モデルを完成させた。
具体的な成果
・DMCF設計
ビーム伝搬法による光学解析によりダブル・マルチコア光ファイバの設計を⾏い、結合損失、過剰損失、クロストークを明らかにした。
・DMCF製造技術開発
-マルチホールキャピラリ製造システムの開発及びこれを⽤いてマルチホールキャピラリの製造技術を確⽴した。
-アーク放電及びセラミックヒータを熱源とした溶着加⼯技術を開発し、DMCF⺟材製造技術を確⽴した。
-セラミックヒータを⽤いたDMCF製造⽅法を確⽴し、MCF=3.4um(@1310nm)を達成した。
・DMCFとSi光回路の接続技術開発
-DMCFとSi光回路の光結合システムを開発し、エッジカップリング及びグレーティングカップリングによる光結合技術を開発した。
知財出願や広報活動等の状況
・成⽴特許
発明の名称: ピッチ変換器製造装置
特許番号: 特許第7223382号
・出願特許
発明の名称: マルチコアファイバ接続部品
出願番号: 特願2023-16791
研究開発成果の利用シーン
開発したDMCF技術は、データセンタの高速通信や省エネルギー化に直接貢献し、次世代の光通信ネットワークの構築においても重要な役割を果たす。さらに、この技術は産業用途にも応用可能であり、例えば、電気通信やインターネットインフラの構築に使用されるほか、光結合が必要な他の分野でも利用されることが期待されている。
また、開発したDMCF技術を応用することにより、既存の光ファイバを伝送する光信号をマルチコア光ファイバに効率よく結合可能な新たな光部品の創出が可能となる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
今後は、試作品の信頼性試験の実施や、実装形態の決定等補完研究を実施し、製品化を行う予定である。
また、補完研究と並行して、事業化部会幹事である株式会社理経を中心に、事業化に向けた取り組みを実施する予定である。
現在は開発したDMCF製造技術を用いた製品の構造設計を実施し、顧客提供用のサンプル試作を実施中である。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、製品製造
製品・サービスのPRポイント
従来品と比べて、今回開発したDMCFには下記の3つの特徴がある
・小型化
125μm光ファイバ直径の中に複数本のコアを配置しており、コア間ピッチが30~50μm のため、回路ピッチを小型化することができる。
・低コスト化
光回路間の接続ファイバ削減
・省電力化
回路面積小さく、シリコン材料は熱伝導率が良いため温調容易
今後の実用化・事業化の見通し
今後は信頼性試験を進め、2024年度には量産化に向けた準備が整う見通しである。参加企業の選定が進んでおり、データセンタ市場への本格展開が予定されている。技術開発の継続によりさらなる応用も期待される。
実用化・事業化にあたっての課題
試作品の信頼性試験の実施や、実装形態の決定等補完研究を実施が必要になる。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | フォトニックサイエンステクノロジ株式会社 |
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事業管理機関 | 特定非営利活動法人ホトニクスワールドコンソーシアム 公立大学法人 公立千歳科学技術大学 |
研究等実施機関 | 公立大学法人 公立千歳科学技術大学 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | フォトニックサイエンステクノロジ株式会社(法人番号:7430001044120) |
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事業内容 | 光ファイバ及び光ファイバ関連部品の製造業 |
社員数 | 14 名 |
本社所在地 | 〒066-0075 北海道千歳市北信濃776-16 |
ホームページ | http://www.psti7.com |
連絡先窓口 | 製造技術部 藤井雄介 |
メールアドレス | jimu@pstit7.com |
電話番号 | 0123‐42‐0575 |
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