表面処理
パレットチェンジシステムにより生産性向上による低価格化溶射方法、治具・位置決めの精度向上による品質の安定化
岐阜県
旭金属工業株式会社
2021年2月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 航空機部材の耐摩耗性・耐食性を向上するHVOF溶射を用いた高効率なWC皮膜処理技術の確立 |
---|---|
基盤技術分野 | 表面処理 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙 |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
溶射皮膜端部形状を形成するための基礎データの構築、マスク形状による溶射皮膜形成への影響、量産時におけるパレット構造の検討、外段取方法の検討、パレット駆動系の検討等の課題に対する研究開発を実施して、高品質かつ高効率な溶射技術を安定的に継続できる溶射システムの確立を図り、世界に通用するコスト競争力の維持向上を目指す
開発した技術のポイント
パレットチェンジシステムにより、溶射のみで高精度なランアウト形成技術を確立
・ランアウト形成溶射→製品端末Max2mm、ランアウト距離:1.5±0.5mm
・繰返しセット位置精度→現状±10mm→±5/100mm
・溶射装置稼働率→現状25%以下/日→50%以上/日
(新技術)
・部品
‐手作業による研磨加工不要
‐自動化による納期短縮、コスト低減
・溶射設備
<パレットチェンジシステム>
‐部品セットの繰返し位置精度向上と安定
‐溶射面ランアウト形成時の精度向上
‐部品セットの外段取による効率化
‐溶射装置稼働率の向上
‐コスト削減
具体的な成果
パレット装置を開発、溶射装置の稼働率が1.6倍に改善
‐チルトパレット構造を設計・製作、パレット装置の位置決め再現精度は、X方向、Y方向ともに±0.05mmに改善
‐パレットに小型の確認試験用模擬部品を取付け試験実施、溶射皮膜の形状、膜厚均一性は100±25µmと良好
‐現状設備とパレット装置による溶射実験を実施。稼働率の平均値は、現状設備では22.6%、パレット装置で35.9%と1.6倍に改善
・ランアウト形成のための治具形状と溶射方法を検討
‐現状設備で溶射試験を実施した結果、治具角度30°でランアウトを形成
‐上記を参考に、治具角度30°、フレームの治具奥側の溶射範囲を1mm、2mm、3mmと段階的に外側に離して、パレットによる溶射を実施
‐d=0.1mm、元の溶射範囲より1mm離した条件でランアウト、膜厚ともにほぼ満足できる値を示した
・溶射実証実験によるマスク治具を確立
‐前項の結果を基準に前後に0.5mmずつ移動させた
‐3通りの方法(0.5mm、1mm、1.5mm離す)で溶射を行った結果、0.5mmの条件が最良の結果を示した
‐この条件での溶射皮膜は硬度、ミクロ組織ともに要求値を満足
・溶射フレーム位置と実証試験用模擬部品形状
~パレット装置による溶射を実施。位置イ、カは全箇所のランアウトと、一部の膜厚で要求値から外れたが、位置オは、大半の調査箇所で満足していた。しかし、製品の手前側のランアウトは目標値よりかなり短く要求値を満足出来なかったため、補完研究を継続する~
知財出願や広報活動等の状況
出展:2012年国際航空宇宙展.(JapanInternationalAerospaceExHibition)(H24.10)
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・H26年度の実用化に向け、補完研究を継続
・サンプルなし
製品・サービスのPRポイント
・低コスト化→本事業のパレットチェンジシステムの導入により外段取りが可能となり、稼働率を1.6倍に高めることができた
・精度向上→ランアウト形成技術の確立により低コスト・高品質での生産が可能に
・複雑形状化→ワーク側で2軸による旋回、チルトが可能となり、複雑形状部品への対応力が向上
今後の実用化・事業化の見通し
H26年4月の量産開始に向け、補完研究を継続実施
・本事業において積み残した、稼働率の向上、ランアウト生成のための溶射治具と溶射方法、治具の設計基準書の作成を引き続き継続
・現在、試験片の溶射を行い、ランアウトの距離の測定を実施しているが、目標値に達していないので、改善のため補完研究を継続
・海外メーカーからの引き合いも多く、H26年4月に量産開始予定
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 旭金属工業株式会社 岐阜安八工場 |
---|---|
事業管理機関 | 公益財団法人岐阜県産業経済振興センター |
研究等実施機関 | 国立大学法人九州工業大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 旭金属工業株式会社 |
---|---|
事業内容 | 特殊工程を中心として、(1)航空・宇宙機器部品の製作、(2)航空・宇宙エンジン部品の製作、(3)航空・宇宙機器部品の加工用冶具・組立冶具の製作、(4)原子力機器部品・加速器部品の製作、(5)その他大物部品の陽極処理 |
本社所在地 | 〒503-0125 岐阜県安八郡安八町牧4851-4 |
ホームページ | http://www.akg.co.jp |
連絡先窓口 | 取締役・生産本部長 助定良臣 |
メールアドレス | ysukesada@akg.co.jp |
電話番号 | 0584-64-5061 |
研究開発された技術を探す