複合・新機能材料
表面選択高速高温加熱法によって、様々な基材の表面のみを処理することを可能に!
山梨県
フジ・エレック株式会社
2020年4月9日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | マイクロ波励起ラジカルによる選択的高速アニール処理技術の開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 半導体、光学機器 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
電子産業では配線微細化や低コスト素子製造要求により、金属薄膜分野において新たな結晶化・耐食化・新機能化等のニーズが高まり、従来に無い表面保護膜形成やデバイス素子製造熱処理技術の確立が必要となっている。基材に熱負荷をかけず薄膜表面のみに秒レベルで高温化処理(600℃~1200℃)を実現するマイクロ波励起ラジカルによる選択的加熱技術の実現により高品位保護膜形成や低コスト基材上へのデバイス素子形成技術を確立する
開発した技術のポイント
ラジカル処理により表面のみの加熱・高品質な成膜を実現させる
・ラジカル(酸素及び水蒸気)処理の最適条件を探索
・処理薄膜物性差による表面加熱特性の研究→プラチナ、亜鉛、非晶質ゲルマニウムの薄膜を目標厚膜50nm形成し、基材に影響を与えることなく薄膜表面温度を500℃以上に加熱の上で特性を研究
(新技術)
<新技術による金属表面処理>
・薬液処理フリーであり、環境負荷を大幅に低減
・表面のみを選択して加熱処理するものであり、高品質の成膜が可能である
・下地基材に熱処理をかけることができない複合素材への適用が可能である
具体的な成果
・マイクロ波励起ラジカルによる高速高温加熱により、表面のみを加熱
‐マイクロ波プラズマラジカル発生源2台(発生周波数2.45GHz、最大出力200W)を用い、水蒸気及び酸素ガス供給を分離し、減圧真空化においてラジカルを発生させる装置を作成
‐ガス流量や処理圧力の条件を変更しながら、処理時間を2分に固定し、タングステンの表面酸化実験を行い、最適条件を探索
‐最適条件下において、2分のラジカル酸化処理によって30nm程度の酸化膜が形成すること、また酸化膜は三酸化タングステンとなっており、酸化状態が良好であることを確認
・薄膜材料差の研究
‐Kセル蒸着法、Eガン蒸着法、スパッター法を同時に動作することが可能な真空排気システム、磁気シールドシステムを有する複合蒸着技術を開発
‐開発した複合蒸着装置により、プラチナ、亜鉛、非晶質ゲルマニウムの薄膜サンプルを試作
‐サンプルの加熱処理実験により、プラチナ及びゲルマニウムについては基材にあまり影響を与えず、薄膜表面温度が500℃となることを確認
・実用化を視野にいれた試作装置の開発
‐実用化を視野に、低価格化と大出力化に対応したプラズマラジカル源を開発
‐100mm四方のSUS316をサンプルとし、30Paで2分間のラジカル酸化処理を行い、サンプルを均一に酸化処理することに成功
知財出願や広報活動等の状況
論文:中村、川口、荒井、高松、有元、山中、佐藤、中川「水素プラズマを用いた加熱技術の開発」(H23年9月、第72回応用物理学会学術講演)、川口、荒井、中村、有元、山中、佐藤、高松、中川、澤野、星、白木「水素ラジカルによる選択加熱現象を利用した多結晶SiGe形成技術」(H23年9月、第72回応用物理学会学術講演)他4件
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・H27年度の実用化に向け補完研究中
・無償サンプルあり(Pt、Ge、Zn等の蒸着サンプル)
製品・サービスのPRポイント
・製作時間短縮→酸化膜の緻密度を従来法と同程度に保ち処理時間の目標値は従来処理の1%以下
・省エネルギー化→試料Ni、W等において加熱特性が処理開始10秒以内に表面温度が600℃以上に昇温
・新方式の実現→イオン照射表面処理(イオン照射源として、イオンリアクティブプラズマ源によるプラズマイオン照射とイオン照射装置による加速イオン照射)と当該の加熱処理との組合せにより、SUS材表面に蒸着したCrとSUS材との原子ミキシングを生じさせ、不動態膜の形成に寄与する表面Cr濃度を2倍以上に
今後の実用化・事業化の見通し
H27年度の実用化に向け、量産プロセスの最適化や試料サンプルの再現性に関する研究を実施している
・サポイン研究開発事業における課題である(1)酸化膜の緻密度の評価、(2)酸化膜及び高濃度Cr酸化膜の耐食性の評価等、の課題解決に加え、多くの再現性実験を行い引き続き実用化研究を継続している
・現在、試料サンプルの再現性実験を実施している。また、量産プロセス最適化(膜の性能及び再現性・処理均一性の兼ね合い)とバックボーンデータの蓄積を図っている
・現在、目標とするH27年度の実用化を目指している。実用化後には、複合素材メーカー、材料表面処理メーカーをターゲットに販路開拓を狙う
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | フジ・エレック株式会社 |
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事業管理機関 | 特定非営利活動法人ものづくり支援機構 |
研究等実施機関 | 株式会社エス・エス・ティ 国立大学法人山梨大学 クリスタル科学研究センター |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | フジ・エレック株式会社 |
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本社所在地 | 山梨県 |
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