複合・新機能材料
アルミの高強度化と生産性向上を両立させる高密度プラズマ窒化技術を開発
山梨県
ワイエス電子工業株式会社
2020年3月22日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | アルミ合金自動車部品耐久性向上のための高密度プラズマ窒化技術開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 自動車、電池、エレクトロニクス |
事業化状況 | 研究中止または停滞中 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
車の軽量化にはアルミ合金は大きな貢献をしている。強度や耐久性性能不足が大きな課題であり、母材の微細化組織と表面へのアルミ窒化層(ALN)形成が性能向上に有効とされ、微細化熱処理研究を行い実用化レベルにきている。一方、ALN層形成は既存の技術では窒化速度が著しく低く実用となっていない。そこであたらしい高密度のプラズマ窒化装置を開発し、微細化されたアルミ合金に短時間にALN層形成ができる技術を開発する
開発した技術のポイント
プラズマ窒化プロセスを高度化し、工程の短縮や高機能化を可能とする高度熱処理技術を開発
・低温でのプラズマ窒化従来500~600℃以上の高温処理で行っているものを500℃以下で実施
・工程の短縮従来0.008µm/ks程度の処理時間を5µm/ks以上に
・高強度・高耐久性相対摩耗体積:2~2.5×10-5mm3・N-1・m-1以下、摩擦係数:0.2以下の実現
(新技術)
・プラズマ窒化処理が短時間で可能
・プロセス温度を500℃以下まで低下させることが可能
・プラズマ発生制御と窒化制御が分離できるため、窒化条件の最適化が容易
・電気的な整合(自己整合特性)が可能なため、高速かつ最適な制御が可能
具体的な成果
・新しい原理に基づくプラズマ窒化装置を開発
‐従来のDCプラズマ窒化装置では、表面の酸化膜や処理雰囲気内の酸素や水分のため、AlN相の核生成が遅く長時間の処理を要する
‐アルミ合金表面の清浄化、AlN核生成促進・AlN層成長促進に適したラディカル核種をプラズマシースから供給する一連の技術が必要
‐双極子をプラズマ発生電極に用いると共に、別途バイアス用の電源を用意し、プラズマ密度とイオン加速を個別に調節可能な、新機構のプラズマ処理装置を開発(特許申請済み)
・各種のアルミ合金に対する、プラズマ窒化処理の実証
‐A2011材では、明瞭なAlN相が生成され、表面が窒化層に被覆されることを確認
‐他方、A2017材やA2024材ではMgの表面濃化によって、内部窒化プロセスが阻害されることが明らかになった
‐A2014材では低温プラズマ窒化によって、A2014材の標準硬さの3倍以上の硬化が可能
・Mgを含まない素材へのプラズマ窒化により高硬化等の高性能化を実現
‐A2011材では、プラズマ時間4時間、保持温度450℃で、水素-窒素比率を低減させるプラズマ窒化プロセスを設定
‐水素-窒素比率を低減させ、プラズマ窒化プロセス形成能を向上
‐荷重10gでのマイクロビッガース硬さは約800Hvであり、A2011材の標準硬さ(120Hv)に比して極めて高い硬度となる
知財出願や広報活動等の状況
雑誌:「高密度プラズマ窒化技術におけるアルミ合金自動車部品の耐久性向上」(隔月誌メカニカルサーフェス・テック、H24.8月号)
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・実用化に成功、H26年度に事業化の見込み
・無償サンプルあり(プラズマ窒化したディスク状試験片、丸棒)
製品・サービスのPRポイント
・耐久性向上→プラズマ窒化したジュラルミン材で、母材硬度(Hv120)をHv800以上に向上させた
・強度向上→アルミ製ヒートシンクの強度をほぼ5倍にすることができた
・軽量化→コピー機の転写ドラム用回転軸(SUS製)をアルミ製にすることで、軽量化と高強度化を同時に実現した
今後の実用化・事業化の見通し
パイプ形状など様々な部品への適用を研究。並行して成果を国内外でアピールし、海外ユーザーの発掘を目指している
・低温プラズマ窒化できるアルミ合金種を検討するとともに、パイプ形状など多様な部品へのプラズマ窒化実験を補完研究として実施している
・プラズマ窒化した丸棒などサンプルを川下メーカーに提供し、事業化展開を進めるとともに、表面処理関係の欧米誌・国際学会で成果を公表し、海外ユーザーの発掘も行う
・H26年9月の実用化をめざし、H25年よりサンプル熱処出荷を開始予定
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | ワイエス電子工業株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人やまなし産業支援機構 |
研究等実施機関 | 学校法人芝浦工業大学 山梨県工業技術センター |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | ワイエス電子工業株式会社 |
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事業内容 | (1)高周波発振器に係わる機器の開発(2)誘導加熱装置の製造販売(3)プラズマ装置の製造販売 |
本社所在地 | 〒400-0043 山梨県甲府市国母5-19-18 |
ホームページ | http://www.ysel.jp |
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