精密加工
多品種少量生産品の仕上げ加工の生産性を大幅に向上 精密加工支援ロボットの協調動作により短時間・高精度な加工を実現
岐阜県
株式会社岩田製作所
2020年3月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 人と機械が協調した精密加工支援ロボットの開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙、農業、産業機械、工作機械 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成21年度~平成21年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
自動車産業向けの金型業界や生産設備業界においては、仕上げ工程の高精度化が望まれていることから、従来、加工ミスが不可避であった多品種少量部品の精密加工に対し、作業者の加工仕上げ精度検知能力の高度化を目的とした高精度力(ちから)フィードバック制御技術を開発し、加工面の状況をリアルタイムで高精度に感じながら、ミスなく高品質な加工が行える加工支援ロボットを実現することを目的とする
開発した技術のポイント
・熟練度にかかわらず、短時間で高精度加工を行う加工支援ロボットの開発に挑む
‐加工精度の向上→熟練度にかかわらず50μm以下
‐仕上げ加工時間の短縮→100φ×35のリング状部品では従来5分を要した加工時間が4分程度に
‐歩留まりの向上→現在の歩留まり率95%から99%まで向上
・新開発の加工支援ロボット
‐デジタル適応フィルタリング技術
‐高精度フィードバック技術
・微細加工を実現する最適制御技術
・衝突回避制御技術
・電動工具用制御ドライバ
(新技術)
<新開発ロボットによる仕上げ加工>
・加工生産性・制度が大幅に向上
(特徴)
・未熟練者でも加工ミスが少ない
・加工時間は1分・加工精度は50μm
・新開発のロボットは多品種少量生産に最適化
・装置重量は50kg以下
・価格は200万円程度
具体的な成果
・加工時の外乱を抑制するための制御技術を開発
‐力覚センサで計測される信号に混在する作業者の操作力と接触力及び回転摩擦力に対し、片持ち梁モデルに基づく適応モデリング法でそれぞれ分離し、加工外乱抑制制御を実現
‐回転工具による影響を受けて加工面からはじかれる現象の抑制に成功
・小型・軽量かつ高剛性の加工ロボットの開発に成功
‐小型軽量化が可能であり、かつシリアルリンク機構と比べて構造が単純で剛性があるパラレルリンク機構を採用
‐リンクアームには引張強度・比強度ともに強く、また比重が軽いカーボンファイバーを採用し、剛性と軽量化を両立
‐全体重量は13kgの軽量化を達成。当初目標の50kg以内に収めることに目
‐アームの可動域は前後241.8mm、上下左右
・238.2mmを確保し、実用上の可動域として十分に機能する
‐XYZに回転を加えた4自由度タイプの装置における各軸方向への位置指令に対し、指令値は目標軌道に追従、動作の妥当性を実証
・精密加工を実現するロボット制御ソフトウェアの開発に成功
‐切削制御においては切削力・回転数・移動速度の三要素を制御するバイラテラル系を採用。工具移動速度や切削力の変動をその他要素が補うように制御データが更新され、切削量が一定となるように調整される
・先端部サーボモーターの良好な追従性
~XYZ+回転4自由度ロボットのXYZ軸それぞれの方向にサイン波を重ね合わせ、位置指令を与えた結果、目標軌道に追従していることが確認された(青線:指令値、赤線:実験値)~
・良好な切削面
~ロボットが切削力、回転数、移動速度の変動要素を補いあわせることで、過切削や切削不足による切削量の不安定化を防止することができ、良好な切削面が得られた~
知財出願や広報活動等の状況
・論文:「仕上げ加工支援システムにおける手先剛性推定に基づく切削抵抗制御」(H23.9.11)、「曲率推定に基づく部材形状提示法の提案と加工支援システムへの適応」(H23.9.11)
・出展:三菱電機名古屋事業所内覧会(H22.12)、トヨタ自動車グループ展示会(H23.1)
研究開発成果の利用シーン
金型や航空機部品等の精密かつ複雑形状の加工品の最終仕上げ加工を行う
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・H26年度に実用化見込み
・H24年9月以降、耐久試験中の試作機を貸し出し可(無償)
製品・サービスのPRポイント
・歩留まり向上
・精度向上
・製作時間短縮
今後の実用化・事業化の見通し
品質を磨きあげ、H26年度の発売を計画
・試作品の耐久試験、安全性の確認及び制御面の性能向上、小型軽量化等の補完研究を実施中であり、H26年度の製品発売に向けた準備を進めている
・溶接・組立分野において当該技術を応用した製品企画を検討中
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社岩田製作所 |
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事業管理機関 | 公益財団法人岐阜県研究開発財団 |
研究等実施機関 | 国立大学法人岐阜大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社岩田製作所 |
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事業内容 | 一般産業機械用の生産財の開発、製造、販売 |
本社所在地 | 〒501-3264 岐阜県関市池尻923-1 |
ホームページ | http://www.iwata-fa.jp |
連絡先窓口 | 営業部門統括常務取締役 岩田光一 |
メールアドレス | koichi.iwata@iwata-fa.jp |
電話番号 | 0575-23-6161 |
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