複合・新機能材料
加熱後の冷却工程に対してミスト冷却による新技術を開発
大阪府
八田工業株式会社
2020年3月26日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | ミストコントロール冷却による低歪み熱処理技術の開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 自動車、農業、産業機械、工作機械 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成21年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
金属材料の高機能化法として熱処理法があげられる。熱処理の基本は、金属材料を高温に加熱することと、これを冷却することである。なかでも冷却の過程は、金属材料の高性能化にとって重要な要因である。本研究は、この冷却過程をミスト噴霧によりコントロールし、高性能金属材料を得ることを目的としている
開発した技術のポイント
ミストコントロール冷却室と真空機能を有する加熱室・二室型真空ミスト冷却炉を開発
・研磨時間の削減→水以外の不活性液による無酸化処理で研磨時間を不要に
・ミストによる冷却→従来の熱処理に比べ、処理時間を25~40%削減
・歪の低減→従来方式との間で歪のバラツキを比較し、標準偏差1/2以下に
(新技術)
<新開発する冷却法(ミスト冷却)>
・炉内の加熱室とミスト冷却室を移動させるため、運搬作業が不要
・焼き入れ後の変形バラツキは小さい
・投入後に洗浄工程が不要である
・油を使わないため作業環境はクリーンであり、廃油の問題も生じない
具体的な成果
・ミスト冷却に対する基礎技術を確立
-焼き入れ時に使用する冷却水の噴水形態と、それぞれの効果等(焼き入れ後の外観、組織観察及び硬さ試験)を研究
-ジョミニー試験において焼入れ端部近傍の噴水形態の違いによる硬さのばらつきは、基礎研究に使用したいずれの鋼材においてもミスト状の噴水形態を採用した場合において低減-ミストによる冷却は、従来の冷却方法に比べてより少ない水量で、焼きムラを少なくすることが可能と判明
・最適なミスト冷却条件を探索
-ミストによる急冷に適する粒度は、750~1,000m。冷却のコントロール性を重視する場合は500mであることが実験により判明
-噴霧角は狭角ノズルに比して、広角ノズルの方がコントロール性に優れており、炉内圧力については安全面から50~70kpaが妥当
-運転サイクルについては、一般的な噴霧法(冷却条件を変更しない無段ステップ)に対して、中間停止法(多段ステップ)、パルス冷却の有効性を確認するとともに、運転方法を確立
・ミスト冷却装置を試作し、実際の焼き入れを実施
-ミスト冷却装置は、現状、熱処理が多く求められる部材を考慮し490×400×800(mm)として試作を実施
-ミスト冷却装置を用いてScm435材のφ20×200(mm)試料を吊り下げ方式で焼入れした場合、Hrc50以上の硬さが全面にわたり得られた。歪量も汎用無酸化雰囲気炉とほぼ同じであり、試作装置の冷却能により、焼入れが可能なことを確認
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
実用化は停滞中
製品・サービスのPRポイント
・精度向上→を目指す従来の油焼入れなどよりも低歪化
・環境負荷削減→油焼入れ等による廃油、洗浄後の廃液等の削減により環境負荷を下げるとともにコスト低減を目指す
・短納期化→油焼入れの後洗浄工程等の省略による短納期化を目指す
今後の実用化・事業化の見通し
今後の技術課題について、装置作成メーカーとの間で対策を検討中
・補完研究を鋭意継続しているが、達成すべき目標に対し、解決しなければならない技術的課題があり、解決策を模索している
・装置作製メーカーと今後の技術課題について対策を検討しているところである
・現在の事業化の目処は未定である
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 八田工業株式会社 |
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事業管理機関 | 学校法人関西大学 |
研究等実施機関 | 株式会社IHI機械システム 学校法人関西大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 八田工業株式会社 |
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事業内容 | 金属熱処理加工(真空焼入、真空熱圧着、真空ろう付等)金属加工(ワイヤカット放電加工、放電細穴加工、研摩加工等)金属材料販売・管理(ZDp189、ZDp189+ATS34三層鋼等) |
本社所在地 | 〒599-8265 大阪府堺市中区八田西町2-18-40 |
ホームページ | http://www.hatta.co.jp |
連絡先窓口 | 代表取締役 隅谷賢三 |
メールアドレス | kenzo@hatta.co.jp |
電話番号 | 072-277-7227 |
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