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立体造形

低コストな高灰分コークスが使用可能!2段羽口と熱交換器を備えた小型キュポラ

埼玉県

伊藤鉄工株式会社

2021年2月19日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 高灰分コークス使用時における高生産性操業技術の開発
基盤技術分野 立体造形
対象となる産業分野 自動車、産業機械、建築物・構造物、工作機械
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成21年度~平成23年度

プロジェクトの詳細

事業概要

日本の自動車産業は低価格競争に直面し、自動車産業による鋳鉄鋳物部品の低コスト化要求は非常に大きい。鋳鉄鋳物の溶解炉として全溶解量の約4割を占めるキュポラの溶解エネルギー源はコークスであるが、熱効率を上げるため低灰分で高価格の鋳物用コークスを使用している。これを高灰分であるが低価格の高炉用コークスで置換え、品質と生産性を維持したままで操業する技術を開発することにより、溶銑コストの低減化を実現する

開発した技術のポイント

高灰分で低価格の高炉用コークスで、品質と生産性を維持したままで操業する技術を開発
・鋳物用コークスと高炉用コークスの最適配合比率の確定
・混合コークスを完全燃焼させるための送風空気の最適条件の確定と送風技術の確立
・熱風発生技術の確立と装置の開発
・溶銑の品質管理技術の確立
(新技術)
高灰分コークス対応型小型キュポラ
特徴
・COガス燃焼バーナー技術
・熱交換器
・最適送風条件の確立
・酸素富化操業技術の確立

具体的な成果

・小型炉に設置した2段羽口により、燃焼率、溶解効率が向上
‐2段羽口を開発し実用小型炉に設置、2段羽口により燃焼率が8.4%向上し、溶解効率が2%向上
‐2段羽口操業が高灰分コークスを実用化する上で有効であることを確認
‐小粒のコークスの使用や2段羽口送風によるキュポラ炉内における送風空気の挙動をシミュレ-ションにより数値的に解明
・熱風炉(熱交換器)を開発、熱交換効率が7%向上
‐小型実用キュポラに熱交換器を設置し、熱風操業によりコークス比を5%削減することができ、高炉用コークスの実用化に大きく寄与することを確認
‐熱風炉(熱交換器)の効率改善策を実施し、熱交換効率が7%向上し、メンテナンス不要となった
・実操業下での溶銑品質を確認し、事業化に目途
‐高灰分コークスを使用した場合の溶銑品質として組成の変化を解析した結果、組成は目標の範囲内であること、材質も正常であることを確認
‐高灰分コークスの使用を可能にする小型キュポラの操業技術および2段羽口と熱交換器等の溶解装置の技術開発を完了し、事業化の目途を立てた

知財出願や広報活動等の状況

雑誌:JFS鋳造ジャーナル「高灰分コークス使用時における高生産性操業技術の開発の成果の概要(H24.7、8)

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・H24年度に事業化に成功
・開発した高効率熱交換器、高燃焼率2段羽口を用いて、開発した高灰分コークス使用操業技術で、鋳物を生産し、川下産業へ納入中

製品・サービスのPRポイント

・低コスト化→キュポラ溶解において冷風操業から熱風操業にかえることによりエネルギー原単位を20%低減でき、低コストの高灰分コークスの使用により45%の燃料コスト低減。1段羽口を2段羽口にかえることによりエネルギー原単位を5%低減、高灰分コークスの使用により15%の燃料コスト低減
・省エネルギー化→従来型より省スペース、低コスト設置が可能で、メンテナンス性にも優れている「高効率熱交換器」を開発
・ロス削減→粒度の小さい高炉用コークスを使用する場合には有効な手段である、炉内圧が低減され、燃焼効率や溶解効率が向上する「高燃焼効率2段羽口」を開発

今後の実用化・事業化の見通し

各社、研究成果を活用した事業展開を実施
・H24年10月に日本鋳造協会講演会および日本鋳造工学会全国講演大会において成果報告を行うなど、高効率熱交換器と高燃焼率2段羽口の販売のPRを継続中である(株式会社ナニワ炉機研究所)
・高灰分コークスを使用した操業を実用化を本格的に実施している。これにより低コスト操業の事業化が図られている(伊藤鉄工株式会社)
・開発した設備を国から購入し、その設備と安価な「高灰分コークス」を使用し、コークス費用の削減やコークス比最小化で、鋳物の製造コストの低減を図っている(株式会社及精鋳造所)

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 伊藤鉄工株式会社
事業管理機関 一般社団法人日本鍛造協会
研究等実施機関 株式会社及精鋳造所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 伊藤鉄工株式会社
本社所在地 埼玉県川口市元郷3-22-23