精密加工
「楕円振動切削」で金型の精密–微細加工を実現
愛知県
株式会社三琇ファインツール
2020年3月26日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 難削材料;複雑微細形状の高精度楕円振動切削技術の開発と振動装置の高度化 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
事業実施年度 | 平成18年度~平成20年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
BLU-RAYDISCのピックアップレンズやマイクロTAS、光通信機器等を初めとして、金型材料に対する高精度・微細加工の必要性が増している。また、金型の表面仕上、小型化、短納期化、低コスト化、環境配慮などの要求も強い。本研究開発では、これらの高精度・微細加工に対する幅広い要求に応えることが可能な新技術として、楕円振動切削技術と振動装置の大幅な高度化を目指すと共に、その周辺技術の開発を行う
開発した技術のポイント
まず超精密超音波楕円振動装置の高度化に取り組み、5倍以上のハイパワーを達成するとともに、自由曲面加工用振動装置、高速振幅制御装置の開発に成功した。次に周辺技術として、各振動装置専用の各種インサート型ダイヤモンド工具、及び低コスト省エネ型恒温室を開発した。さらに、これらの装置を利用し、金型材料の(超)精密・微細加工を実現する加工システム・加工技術を開発した
(新技術)
・効果
‐切削力5分の1(瞬間値)
‐切削エネルギー・発熱:3分の1以下工具寿命:1000倍以上(鋼に対するダイヤモンド工具)
‐臨界切込量:10倍以上(ガラス)
・特徴
‐高硬度/脆性材料の超精密微細加工を実現金型鋼の磨きレス鏡面加工を実現
具体的な成果
・従来技術で実用上不可能な金型の磨きレス鏡面加工を実現
・ハイパワー振動装置により5倍以上の高能率化を達成
・自由曲面加工用振動装置により実用的な金型に対応
・金型鋼に対して超精密3次元ナノ彫画を実現
・各種専用インサート工具の開発により広範囲の用途に適合
・新露点制御技術により従来比約50%省エネ恒温室を実現
知財出願や広報活動等の状況
特許出願数:1件、論文数:10件
実用化・事業化の状況
今後の実用化・事業化の見通し
・本事業によって開発した、テクスチャ加工技術を各種展示会や講習会で公開した結果、様々な業種から引き合いがあった。適用分野の詳細は全てにおいて当方に開示されてないが、今後個別に対応していく予定である。この中の2件に関しては、2010年春をめどにテスト装置を納入予定である。なお、川下ユーザーの中には、さらなる性能向上を求める声も多く、今後も継続して開発を進め、ユーザーの声を製品に反映させていく予定である
・ハイパワー楕円振動工具を装着した楕円振動切削装置は、研究用として川下ユーザーに2009年度中に2セット販売。また、ハイパワー楕円振動切削加工、自由曲面向け楕円振動切削加工は、大手自動車関連企業2社より実用化に向けたコンタクトがある。自由曲面加工用楕円振動装置は、高硬度材の高精密内面仕上げ加工にも有効であり、複数の精密加工機メーカーから実用化に向けた引き合いがある。今後2年以内に実用化にめどをつけ、事業化する意向である
実用化・事業化にあたっての課題
上記の磨きレス自由曲面加工システムについては、振動工具の安定性向上と加工機との同期システム開発に課題を残している。また市場拡大を図るため、より広範囲な用途への対応として専用工具の拡充や振動装置の振幅増大等も望まれる
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社三琇ファインツール |
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事業管理機関 | 公益財団法人中部科学技術センター |
研究等実施機関 | 多賀電気株式会社 株式会社太武製作所 国立大学法人名古屋大学 大学院工学研究科 三菱マテリアルシーエムアイ株式会社 株式会社アライドダイヤモンド 新日本空調株式会社 |
アドバイザー | 松下電器産業株式会社 オリンパス株式会社 TOWA株式会社 東海ゴム工業株式会社 三菱マテリアルシーエムアイ株式会社 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社三琇ファインツール |
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本社所在地 | 〒444-1321 愛知県高浜市稗田町四丁目1番地55 |
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