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精密加工

固定砥粒ワイヤー方式におけるロス低減と低コスト化を可能とする切断油の開発

大阪府

大同化学工業株式会社

2020年5月11日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 シリコンウエハーの固定砥粒ワイヤーソー切断油の開発
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 電池、化学品製造
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)
キーワード 固定砥粒、太陽電池、ワイヤーソー、シリコンインゴット、スクラッチ傷
事業化状況 研究中止または停滞中
事業実施年度 平成22年度~平成23年度

プロジェクトの詳細

事業概要

結晶シリコン太陽電池需要増大予測に伴い、シリコンウエハー製造方法が遊離砥粒から固定砥粒ワイヤー方式に移行されようとしているが、固定砥粒ワイヤー方式ではソーマークやスクラッチ疵発生の為、シリコンウエハーの生産性向上、切断ロス低減や低コスト化ができない。スクラッチ疵発生メカニズムを解明し、ソーマークやスクラッチ疵を10μM以下に低減できる固定砥粒ワイヤーソーの特性に合致した切断油を研究開発する

開発した技術のポイント

固定砥粒ワイヤーソーの特性に合致した切断油を開発する
・スクラッチ疵深さを20μm→10μmに半減する最適切断油と基盤技術の開発
・ダイヤモンド固定砥粒ワイヤーソー方式によるシリコンウエハー製造の生産効率向上と大幅な低コスト化
(新技術)
(特徴)
・高粘性高分子化合物の適用
・表面張力低下剤(濡れ性向上剤)
・潤滑添加剤(摩擦係数低下、焼付抑制)
・冷却材(含水タイプ→乳化分散財等)

具体的な成果

・シリコンウエハー切断面の研究に基づく、固定砥粒ワイヤーソー方式の検討
-固定砥粒ワイヤーでシリコンインゴットを切断し、遊離砥粒ワイヤーソー方式と固定砥粒ワイヤーソー方式の切断性の相違(ソーマーク、スクラッチ疵の発生)を確認
-ダイヤモンド固定砥粒ワイヤーにはニッケル電着ワイヤーとレジンワイヤーがあるが、前者の方が切断後の摩耗も切断されたウエハー表面の変化も少ないことを確認
-ダイヤモンド固定砥粒特性を検証し、電着ワイヤーは砥粒が潰れて摩耗するが、レジンより良好なことを確認⇒図1
・スクラッチ疵を抑制する固定砥粒ワイヤーソー用の最適切断油の開発
-スクラッチ疵の発生原因は、ワイヤーソーとシリコンの接触箇所に噛み込む脱落砥粒や発生シリコン切り屑と考え、切断油の機能として切り屑の除去性能、砥粒に作用する切削力を低下させる性能を重視
-「グリコール25%+グリコールのエーテル化物5%+水70%」の切断油でスクラッチ疵=8.85mを達成。「グリコール70%+水30%」=14.03mのスクラッチ傷の深さを60%に低減⇒図2
-試作油により、遊離砥粒の切断時間を1/4~1/6に短縮することが可能に

図1 ワイヤーの耐摩耗性
図2 スクラッチ傷の低減
研究開発成果の利用シーン

試作油MWA-62を開発し、シリコンインゴットのマルチワイヤーソー切断において良好な切断面が得られることが川下企業で確認できた。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・H27年度の実用化を目指し、補完研究中
・電着固定砥粒ワイヤー用切断油の無償サンプルあり

提携可能な製品・サービス内容

製品製造

製品・サービスのPRポイント

・生産性向上→固定砥粒ワイヤーへの対応により、生産性は遊離砥粒ワイヤーの2倍以上に
・低コスト化1→ウェハー厚みを180μmから120μm切断可能にし、生産枚数を1インゴット当たり20%以上増加
・低コスト化2→ワイヤーソー径120μmを100μmに対応することで、カーフロスを20%程度減少させると予測

今後の実用化・事業化の見通し

実用化・製品化を目指した補完研究等を展開
・サポイン事業において完成していない切断油の製品化を図るため、補完研究を継続中
・固定砥粒ワイヤーのうち、電着では製品化を達成し、さらなる低コスト化研究を継続中。また、レジン固定砥粒ワイヤー用切断油を研究中
・国内スライスメーカーの事業撤退・縮少がなされており、国内市場における事業化見通しは厳しくなっている

実用化・事業化にあたっての課題

国内スライスメーカーの撤退が相次ぎ、事業化の目途がなく、事業は中断中

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 大同化学工業株式会社 奈良生産技術事業所 技術研究所
事業管理機関 公益財団法人奈良県地域産業振興センター 事業化推進課
研究等実施機関 独立行政法人国立高等専門学校機構奈良工業高等専門学校
アドバイザー 奈良工業高等専門学校機械工学科和田教授、株式会社タカトリ経営企画室長福光氏、三和ダイヤ株式会社今村工場長

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 大同化学工業株式会社(法人番号:1200-01-066605)
事業内容 産業界の基本プロセスに使用する切削研削油、圧延油、防錆油、焼入油、塑性加工油等、金属加工油全般の製造販売
社員数 160 名
生産拠点 奈良工場
本社所在地 〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田一丁目二番2-1400号
ホームページ http://www.daido-chemical.co.jp
連絡先窓口 名古屋支店支店長池田治朗
メールアドレス j-ikeda@daido-chemical.co.jp
電話番号 052-561-2345