複合・新機能材料
金属材からの置き換えが可能な耐衝撃性を持つアラミド繊維織物強化熱可塑性樹脂シートの開発
東京都
株式会社KOSUGE
2020年3月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 電子線照射等により界面接着力を向上させたアラミド等有機繊維強化樹脂による耐衝撃性に優れた軽量構造部材の開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 自動車、電池 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化) |
キーワード | 耐衝撃性向上、絶縁性基材、軽量で強靭な基材 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成24年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
自動車業界は、金属板に代わる構造部材として複合材用繊維に着目し、その高度化を要求している。とりわけ軽量化と強靱性の両立は、次世代自動車用の蓄電池開発に不可欠な、喫緊の技術的課題である。本件は、表皮材をアラミド等の有機繊維強化樹脂シートで、コアー材を発泡剤やアラミド等の有機繊維強化樹脂パイプでサンドウィッチ構造とした複合材用繊維への電子線照射等により、耐衝撃性を有する構造部材を開発するものである
開発した技術のポイント
リチウムイオン蓄電池の筐体として使用可能な性質を持つ構造部材を開発
・落錘衝撃テスト→250Jの衝撃エネルギーに対し、変位5mm以内で突き抜け無し
・シート重量→鉄板に比べ40%減
・シートの曲げ弾性率→80GPa
(新技術)
<新規自動車構造部材(アラミド繊維強化樹脂使用)>
・耐衝撃繊維強化熱可塑性樹脂耐の電子線照射により、曲げ剛性を向上
・電気絶縁性を有する素材であり、別途被覆加工をする必要がない
・軽量化(従来品と同サイズの場合、重量は約8.5kgで比重0.8)
具体的な成果
・リチウムイオン蓄電池用筐体用基材の開発
-表皮をアラミド繊維で強化したプラスチック(AFRTP)、コアー材を発泡樹脂とする熱可塑性サンドイッチシートを開発することとし、電子線照射によるシート間接着を検討
-熱可塑性樹脂間の接着では、同一材料間であれば電子線照射により接着力が向上
-複数サンプルを作成してKV積層板の衝撃試験を行い、250Jの衝撃にも耐える条件を把握
-最外周表面に熱可塑性樹脂接着シートを巻き付けたアラミド繊維強化熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)パイプを0°/90°に積層させたシートをコアー材とし、アラミド繊維強化熱可塑性樹脂シートを表皮材としたサンドイッチ構造材とすることで、充分な耐衝撃性・曲げ剛性を持つ基材となることを確認
・三次元筐体の成形方法の検討
-蓄電池用筐体用の金型を用い、三次元加熱プレス実験を実施
-寸法精度が高く、重量も低減(従来比32%減)することができたものの、上下接合時の隙間が生じてしまったため、金型の改良が必要である
知財出願や広報活動等の状況
特許:「FRP積層構造体とこれを用いた筐体」(特願2011-261110)
研究開発成果の利用シーン
リチウムイオン電池のケース材料には、断熱・防爆・電気絶縁性が要求されるとものと考えられるため、リチウムイオンバッテリーを収納させるケースとして、最適なものと推測される。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
実用化に向け補完研究中
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、共同研究・共同開発、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・剛性向上→最外周に熱可塑性樹脂接着シートを巻き付けたAFRPパイプを0°/90°に積層させたシートをコアー材と、AFRTPシートを表皮材としたサンドイッチ構造材が、250Jの衝撃に突き抜けを防止でき、かつ曲げ剛性がある
・耐久性向上→AFRTPシートを表皮材とし、樹脂含浸率少量のシートをコアー材としたサンドイッチ構造は、250Jの衝撃に対して、突き抜けを防止できた
・新製法の実現→急速加熱・冷却方法を適用した金型を開発適用すれば、成形加工時間を金属板と同様な短時間で成形加工できる技術的見通しを得た
今後の実用化・事業化の見通し
H26年度の商品化を目指す。また、熱伝導率の悪いアラミド繊維強化熱可塑性樹脂シートの3次元成形加工性の改善を図るべく、補完研究を実施
・アラミド繊維補強熱可塑性樹脂板の耐衝撃性を大幅に改善できる技術を見い出し、当初予定した以外での用途への展開について、基礎技術評価を実施している。新規開発技術の特許性を見極めてから、顧客への紹介等を進めて行く計画である
・現在、熱伝導率の悪いアラミド繊維強化熱可塑性樹脂シートの3次元成形加工性の改善を図るべく、補完研究として基礎検討を行っている。また、当初予定していた以外の立体成形加工筐体の用途開発を進めるべく、顧客との打合せを計画している
・H26年度には、AFRTPシートの商品化、耐衝撃性のある筐体の新規用途への商品化を狙う。当初予定している蓄電池用筐体についても、試作品の顧客への紹介による販路開拓を計画している
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 有限会社エー・テック |
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事業管理機関 | 公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター |
研究等実施機関 | 株式会社KOSUGE 株式会社ホーペック |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社KOSUGE(法人番号:2011401014313) |
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事業内容 | (AFRP/CFRP)製白杖の製造・販売、コンサルタント、吸音材・複合材の技術開発 |
社員数 | 4 名 |
本社所在地 | 〒173-0013 東京都板橋区氷川町11-11 |
ホームページ | http://www.kosuge.co |
連絡先窓口 | 代表取締役 小菅一彦 |
メールアドレス | kazuhiko-kosuge@kosuge.co |
電話番号 | 050-3372-3002 |
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