文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. 従来ガラスの50%の重量かつ十分な密着強度のポリカーボネートコートガラスを開発

複合・新機能材料

従来ガラスの50%の重量かつ十分な密着強度のポリカーボネートコートガラスを開発

京都府

株式会社魁半導体

2021年2月19日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 窓材軽量化を目指したポリカーボネートへの強化ガラス密着強化熱処理技術の開発
基盤技術分野 複合・新機能材料
対象となる産業分野 自動車、半導体、エレクトロニクス、印刷・情報記録、光学機器
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)
キーワード プラズマ、放電、表面改質、親水化、前処理
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成22年度~平成22年度

プロジェクトの詳細

事業概要

熱処理である大気圧面プラズマ処理により高効率に表面改質を行う装置の開発を行う。現在車載されている窓はガラス製であるが、ポリカーボネートに置き換えることによって重量を半減し、燃料消費の低減につながる。ポリカーボネートは傷がつきやすいことから強化ガラスでコートする必要がある。初めて大面積を短時間で均一に処理できる(世界初)「面プラズマ」技術により前処理を効率的に行う

開発した技術のポイント

大気圧プラズマによる表面処理を短時間・低コストで実施
・プラズマ処理面積の大面積化:従来(基礎研究)で30×50mm→300×300mmに拡大
・コートしたガラスの高密着性→密着強度目標4.5kg/cm2

(新技術)
<ポリカーボネート製の自動車窓>
・ファブリック電極を用いることで大面積のプラズマ処理を行うことにより、生産性の高いガラスコートを実現
・自動車の窓を軽量化することで、自動車の重量を軽量化し、ガソリン消費量の節減等の省エネ効果が期待できる

具体的な成果

・大面積の表面処理を実施する機構の開発
-プライマリー液による表面改質には廃液処理や環境問題があり、フットプリントも大きいことから回避
-ドライプロセスによる表面改質を検討したが、UVでは表面改質効果が弱いため、プラズマ形式を採用
-真空設備不要の大気圧プラズマ方式とし、大面積の処理が可能なファブリック電極を用いた
-ファブリック電極によるプラズマ生成で生じるN2Oは環境基準以下であり、除外設備は不要
・プラズマ生成条件の最適化
-プラズマ発生の際の波長スペクトルの状況や各部の電圧、発光効率の状況を確認し、装置の適切性を検証
-プラズマと処理対象物の距離、機器内部のガス流量と接触角の関係やプラズマ処理時間と仕事関数の関係を確認し、適切なプラズマ処理の条件を明らかにした
・強化ガラスによるコートの密着性を確認
-プラズマ処理のあとに強化ガラスをコートすることを想定し、ポリカーボネートとガラスの張り合わせサンプルを作製し、強度を測定
-引張強度は4.9kg/cm2であり、目標としていた4.5kg/cm2を達成

知財出願や広報活動等の状況

・特許:「プラズマ生成装置及びこれを用いた表面改質装置」(特願2011-202877)、「プラズマ照射装置及び表面改質方法」(特願2011-202885)他1件
・受賞:りそな中小企業振興財団「中小企業優秀新技術新製品賞」優良賞(H23)
・新聞:日刊工業新聞(H23.11.7)

研究開発成果の利用シーン

開発した技術により、車のフロントガラスをポリカーボネートに置き換え軽量化を達成できる。
本技術は、傷のつきやすいポリカーボネートに強化ガラスを塗布する前に密着性を向上するために用いる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・H23年度に事業化に成功
・有償で貸出可能な試作機あり(30cm角の電極を備えた装置が社内に設置されており、より小型な電極に関しては貸出も行っている)

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

・軽量化→自動車ガラス部材をポリカーボネート材に置き換えることによって約50%の軽量化を達成できる
・製作時間短縮→従来の大気圧プラズマと比べて、大面積化によってより高速な処理が可能となる
・低コスト化→真空プラズマと比べて真空設備が不要になり、初期投資、フットプリントが削減される

今後の実用化・事業化の見通し

H23年度以降、装置販売を行っており納入実績がある。今後はユーザーからのフィードバックを受け、逐次製品品質の向上を行っていく
・面型電極を用いたプラズマ処理を平面基板のみではなく、より広い範囲で適用できないか検討を続けている。例えば立体形状や紛体・粒体への表面処理を検討している
・より処理速度を向上させるための処理パラメータの最適化を引き続き行っている。また、電極部の製造方法の簡略化についても検討を行っている
・既に本事業を通じて開発した装置の販売を行っており、納入実績も上げている。引き合いを受けている顧客は多分野に及ぶが、それらユーザーからのフィードバックを受けて逐次製品品質の向上を行っていく

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社魁半導体 SAKIGAKE研究所
事業管理機関 公益財団法人京都高度技術研究所
研究等実施機関 国立大学法人京都大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社魁半導体(法人番号:6130001029400)
事業内容 液体ソースを用いた堆積装置、表面改質装置等を含むプラズマを用いた各種半導体製造装置の開発、および製造販売・委託研究による半導体製造装置の開発および製造販売・堆積代行、エッチング代行・半導体プロセスのコンサルティング業務・石英・ガラス製品の販売、加工
社員数 12 名
本社所在地 〒600-8897 京都府京都市下京区西七条御前田町50
ホームページ http://www.sakigake-semicon.co.jp
連絡先窓口 プラズマ事業部営業課主任 土田智史
メールアドレス s.tsuchida@sakigake-semicon.co.jp
電話番号 075-204-9589