複合・新機能材料
液晶ディスプレイの色再現性と省電力性を大きく高めるナノ蛍光体
福岡県
NSマテリアルズ株式会社
2020年3月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 量子ドットによる高輝度LED用ナノ蛍光体の開発 |
---|---|
基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | スマート家電、エレクトロニクス、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、低コスト化 |
キーワード | 量子ドット、ナノ蛍光体、高色域、QD |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成22年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
独自のマイクロリアクター技術による超精密化学合成技術を用いて、これまで開発してきた量子ドットをLED蛍光体に適する結晶性、複合構造、表面修飾などの物性に最適化し、高い輝度、自在な蛍光(発光)の色調、光透過性など、優れた光学的特性を有するLED用ナノ蛍光体を開発する。これは薄膜プロセスへの応用が期待され、LEDデバイスやディスプレイパネルの高性能化とともに、その構造に大幅な自由度をもたらす
開発した技術のポイント
各色ナノ蛍光体の構造最適化
・480~700nmの波長域における4波長のナノ蛍光体候補を合成
・高輝度・・・絶対量子収率>85%・200℃で4時間の熱処理への耐性
・150℃で2時間の熱処理への耐性
各色ナノ蛍光体の構造最適化
・製造コスト低減及び10g/dayを実現
(新技術)
<量子ドット高輝度LED用ナノ蛍光体>
・自在な色調と演色性を実現可能(ナノ蛍光体薄膜を長波長側から積層するだけ、どの波長でもほぼ同様な温度依存減光率)
・薄膜プロセスの適用でLEDデバイス構造に高い自由度を実現(原理的に数μmの薄膜が可能、カラーレジストの替わりに使用できる可能性→発光型液晶ディスプレイ)
・高い光透過性(ほぼ100%)
・使用量は従来品に比べ数百分の一程度
具体的な成果
過去の成果をベースに、各色ナノ蛍光体の構造最適化技術を確立
・過去の研究から得られた3波長のナノ蛍光体候補の最適化を進め、4波長のナノ蛍光体の複合構造最適化を実施し、目標値である絶対量子収率85%以上、耐熱性150℃2Hrのナノ蛍光体の開発を達成
・表面改質条件の探索において、従来よりも迅速な表面改質条件の探索を行い、目標値であるエポキシ系をはじめ、シリコーン系樹脂などへ1wt%の安定分散を達成量産プロセスの検討において目標をクリア
・目標値である10g/dayの生産量と製造コスト低減を達成するため、基礎実験による検証を行い、目標値を達成するとともに、今後の量産設備導入のためのアウトライン設計に必要なデータを取得実用化プロセスによる評価で進展
・実用化プロセスによる評価では、国内有力川下企業3社へ評価サンプルを提供し、ナノ蛍光体をデバイスに適用した基本的光学特性等の評価が終了。その結果、目標値であるデバイス化プロセスによるプレ評価を達成
・薄膜化プロセスによる評価についても、国内有力川下企業と薄膜化による評価に着手従来蛍光体とナノ蛍光体でのバックライトLEDの発光スペクトル~ナノ蛍光体を用いることで必要な波長を効率的に発光させることが可能。従来蛍光体では不要な波長は無駄な熱になっている~
知財出願や広報活動等の状況
新聞:日本経済新聞(H24.5.17)、日経産業新聞(H24.5.22)
研究開発成果の利用シーン
開発した量子ドットを用いた光学フィルムは、テレビをはじめとしたさまざまな液晶ディスプレイのバックライトに用いることで簡便に高色域を実現可能である。
ディスプレイの高機能化、高リアリティ化は、テレビや情報端末にとどまらず、デジタルサイネージ、VRやARにおいても、これらの機能を大きく発展させるものである。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
開発した量子ドットを用いた光学フィルムがスマートTVに採用されて出荷が始まっている。
多数の引合いが続いている。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
量子ドット蛍光体を用いた蛍光体フィルム(QD SheetR)として製品化
最大85インチまでのサイズに対応
BT.2020の色域におけるカバー率は最大で93%
今後の実用化・事業化の見通し
量子ドットの生産量は、現状で60インチのテレビで月産8万台分であり、月産15万台分までは短期間で増産可能な状況である。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | NSマテリアルズ株式会社 |
---|---|
事業管理機関 | 公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団 |
研究等実施機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | NSマテリアルズ株式会社(法人番号:2900-01-042789) |
---|---|
事業内容 | 無機、有機、金属、生体分子等、各種材料の研究開発、製造、販売、コンサルティング |
社員数 | 50 名 |
生産拠点 | 広川工場(福岡県八女郡広川町) |
本社所在地 | 〒818-0041 福岡県筑紫野市上古賀3-2-16クリエイションコア福岡101 |
ホームページ | http://www.ns-materials.com |
連絡先窓口 | 管理部長山下 |
メールアドレス | info01@ns-materials.com |
電話番号 | 092-405-0290 |
研究開発された技術を探す