表面処理
産業機械、橋梁・鉄鋼構造物の耐久性を向上させる複合ワイヤ溶射法によるセラミックス粒子分散型MMC皮膜
北海道
株式会社倉本鉄工所
2020年3月18日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 産業機械、橋梁・鉄鋼構造物を対象とした複合ワイヤ溶射法による粒子分散型金属基複合皮膜作製技術の開発 |
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基盤技術分野 | 表面処理 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、航空・宇宙、自動車、建築物・構造物 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、低コスト化 |
キーワード | 溶射、複合ワイヤ、対候性、撥水性 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成21年度~平成22年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
ワイヤ式と粉末式に大別される溶射は、施工性と省資源化に有利な表面改質技術として広範な産業分野で利用されている。前者は溶射材料、装置ともに安価であるにも係らずワイヤの種類が少なく、その使用が限定されている。本研究開発はセラミックス、金属、高分子樹脂等の粒子を充填したワイヤを用いる新規溶射法の確立によって、これまで困難であった各種機能性粒子分散型金属基複合皮膜を作製するための技術開発である
開発した技術のポイント
耐食性と耐摩耗性に優れたセラミックス粒子分散型MMC皮膜の開発
・耐食性の向上→LNG気化装置において15年以上のメンテナンスフリー
・耐摩耗性の向上→30年以上の耐久性・耐摩耗性をもつ橋梁
・鉄鋼構造物
(新技術)
<ガス式溶射/アーク式溶射>
・複合ワイヤをガスフレームやアークにより溶融または半溶融状態に加熱し、高速で機材に衝突させ被膜を形成する溶射法により、粒子分散型MMC被膜を作製
(特徴)
・表面改質被膜であるため省資源化と低コスト化に有利
・簡便かつ安価な設備であり、短時間で作成可能なため低コスト
具体的な成果
・直径1.6~3.2mmのワイヤ製造に対応する溶射用複合ワイヤ製造装置を開発
‐全長約6.3mのコンパクトな溶射用複合ワイヤ製造装置を開発
‐直径1.6~3.2mmのワイヤ製造に対応するための型替え・調整が短時間で可能
‐ガスフレーム溶射装置、アーク溶射装置でのワイヤの流れは良好
・セラミックス粒子分散型MMC皮膜の密着強度、皮膜構造は良好
‐セラミックス粒子分散型MMC皮膜の密着強度は、ガスフレーム溶射で平均8mPa程度、アーク溶射は目標値の10mPa以上
‐粒子は、均一に分散
・担持‐曲げ試験では、大きな剥離は認められなかった
・紫外線耐候試験、塩水噴霧試験により耐候性・耐食性を評価
‐セラミックス粒子分散型MMC皮膜は、紫外線耐候試験1,008時間後にも顕著な劣化はなし
‐1,008時間の塩水噴霧試験は、超撥水性フッ化ピッチを添加した場合に良好な結果
‐LNG気化装置での使用を想定した粒子分散型MMC皮膜における水滴の蒸発速度は、ジルコニア粒子分散型で最大
知財出願や広報活動等の状況
・特許:「溶射材料及び当該溶射材料を用いたセラミックス粒子分散型MMC皮膜」(特開2012-007224)、「溶射用複合ワイヤ製造装置」(特願2011-13322)
・論文:高温学会誌,Vol.37,No.5,pp.240-245「複合ワイヤ溶射法の開発とセラミック粒子分散型MMC皮膜の作製」(H23.9)
・出展:25thビジネスEXPO(H23.11)、北海道新工法・新技術展示商談会(H24.2)
研究開発成果の利用シーン
LNG気化装置、橋梁・鉄鋼構造物に、セラミックス粒子分散型MMC皮膜のコーティングを行うことにより、15~30年以上の耐久性を実現
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・H22年度に実用化に成功、事業化に向け計画中
・各種溶射皮膜のサンプル作製に対応可能
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、製品製造、現場施工
製品・サービスのPRポイント
・汎用性向上:真円度の高い直径1.6~3.2mmのワイヤを速度20m/minで製造可能
・耐久性・耐食性・耐摩耗性向上:JIS法に準じた紫外線促進暴露試験
・塩水噴霧試験をクリア・引張密着強さ試験でガスフレーム溶射8mPa、アーク溶射10mPa程度
今後の実用化・事業化の見通し
事業化に向け、展示会など販路開拓を実施
・耐久性や密着度向上のための製品試験や、川下企業からの情報提供を引き続き実施
・事業化に向けて、製品の普及や販路開拓に関する情報収集を実施中
・ビジネスEXPOや北海道新工法・新技術展示商談会などに、今年度も積極的に参加し、事業成果の普及と販路開拓を行う
実用化・事業化にあたっての課題
販売力、販路開拓
事業化に向けた提携や連携の希望
多様なニーズに対応できるよう現在も事業化に向けた保管研究を継続しているが、提携や連携に向けては各種展示会への出店も考えている。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社倉本鉄工所 |
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事業管理機関 | 一般社団法人北見工業技術センター運営協会 |
研究等実施機関 | 北辰土建株式会社 国立大学法人北見工業大学 一般社団法人北見工業技術センター運営協会 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社倉本鉄工所(法人番号:8460301000348) |
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事業内容 | 水処理プラント、一般産業用機械、管工事及び消防設備、鋼構造物、重軽量鉄骨、廃棄物処理プラント、製缶品、各種タンク、各種クレーンの設計・製作・据付、各種溶射関連装置の開発 |
社員数 | 37 名 |
本社所在地 | 〒090-0811 北海道北見市泉町1-4-12 |
ホームページ | https://www.kuramoto-tekkohsyo.co.jp/ |
連絡先窓口 | 代表取締役社長 倉本真 |
メールアドレス | m_kuramoto@kuramoto-tekkohsyo.co.jp |
電話番号 | 0157-24-2031 |
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