材料製造プロセス
均一な球状粒子顔料の収率大幅改善!
大阪府
関西触媒化学株式会社
2021年2月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 高品質蓄光顔料の高効率大量合成プロセスの研究開発 |
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基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、建築物・構造物、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化 |
キーワード | 蓄光、塗料、顔料、トラフィックペイント、災害 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 平成28年度~平成30年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
現在の蓄光顔料の製造方法は酸化物原料を混合・焼成することで製造されているが、ばらつきが多く収率が悪いため非常に高価な顔料になっている。また、品質も悪く十分な性能を有していない。これらの問題を解決すべく、本研究において共沈反応を用いた新たな製造プロセスの開発を目指す。新製法で作製した蓄光顔料は均一性に優れており、収率の大幅な改善に期待できる。
開発した技術のポイント
・高収率&低コスト 収率を大幅に改善させることで、価格を大幅に下げることに成功。
・球状粒子 粒子を球状にすることで加工機器への摩耗性を軽減。
・残光輝度の向上 新製法にて従来の高品質品に匹敵するものを高収率で製造することに成功。
具体的な成果
・共沈物前駆体の作製:元素を均一に混合状態にするため、各種塩を同時に沈殿させた。元素により溶解度積が異なるため水酸化物だけでなく様々な溶液で共沈物を作製した。その結果、炭酸塩の共沈物が最も混合性が良いことがわかった。初期計画では水酸化物での共沈を考えていたが。溶解度積の差によりアルミニウムとストロンチウムのどちらかの元素を過剰に入れないと目的組成にならないため、原料コスト上昇の原因となる。粒子形状に関しては、粒径は目標通り10μm前後で作製することができた。また、50Lの反応器でも同様の粒子を作製することができスケールアップ要因を特定することができた
・焼成条件の最適化:焼成温度を低温化させて粒子の硬度を下げることで機器の摩耗を防ぐことを目的として、様々な条件で焼成検討を行った。焼成温度の低下は融材種を変更することで達成することができたが、残光輝度に問題があった。そこで硬度を下げるのでなく、前駆体粒子を再度処理することで球状性を上げることで機器への摩耗性を下げることができた。焼成温度自体は従来と変わらないが、粒子形状を変えることで焼成温度低下と同等の効果を得ることができた
・輝度向上の検討:蓄光顔料の組成を見直しすることで残光輝度の向上を試みた。添加する賦活元素を様々な元素を添加してみたが有効な元素を発見することができなかった。賦活元素を変えることで発光色が異なることが判明した
知財出願や広報活動等の状況
出願準備中
研究開発成果の利用シーン
災害による急な停電時でも明るさをある程度確保することができ防災用としての用途が広がりつつある。また、ネイルや服飾などにも利用もされておりデザイン性の高い製品。トラフィックペイントなどへの利用
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
サンプル販売をしていくため、㎏オーダーの生産体制を構築中であり、gオーダーであればサンプル供給可能。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
・作成した顔料すべてが高品質顔料として使用可能
・粒子形状が球形なため、従来の製品で問題であった、混錬機器への摩耗性を軽減させることが出来るようになった
今後の実用化・事業化の見通し
・新製法で作製した蓄光顔料は従来品と比べて収率が良いため安価に提供できる。そのため高価格のために普及しなかった分野への事業展開が期待できる
・性能向上の研究は引き続き進めながら事業化を目指し、生産設備の設置も実施していく。2020年度までに年間数t生産できる生産環境を構築し、塗料メーカー、樹脂メーカーなどにサンプル展開を実施していく。最終的にはトラフィックペイントへの活用を目標とし、電気供給が十分でない国への輸出を考えている
実用化・事業化にあたっての課題
残光輝度は目標値には達成することが出来なかったが、新製法でも現状の高品質蓄光顔料と同程度の輝度を有するものを作製することができた。収率は90以上で現行製法よりも効率的な製法といえる。機器の摩耗性に関しては、焼成温度低下という手法では達成できなかったが、粒子形状を改善することで摩耗性を低下させることができた。今後の課題として、顔料の球状性を維持したまま更なる小粒径化が必要となる。また、小粒径化した際は輝度が落ちるといった問題もある。これらの課題の解決に今後も鋭意研究を続けていく
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 関西触媒化学株式会社 |
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事業管理機関 | 関西触媒化学株式会社 |
研究等実施機関 | 株式会社FutureMaterialz |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 関西触媒化学株式会社(法人番号:2120101001239) |
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事業内容 | 無機化学薬品製造業 |
社員数 | 90 名 |
生産拠点 | 岐阜工場(岐阜県多治見市)、山口工場(山口県田布施町) |
本社所在地 | 〒590-0837 大阪府堺市堺区柏木町1丁3番13号 |
ホームページ | https://www.kansyoku.co.jp/ |
連絡先窓口 | 開発部 大谷 昌司 |
メールアドレス | masashi.ootani@kansyoku.co.jp |
電話番号 | 072-241-0381 |
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