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立体造形

低コストかつ高い信頼性の得られるシームレス球形容器の製造方法を提案しこれを実現する。

埼玉県

株式会社旭製作所

2020年4月8日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 宇宙産業向けシームレス球形容器の技術開発
基盤技術分野 立体造形
対象となる産業分野 航空・宇宙、産業機械
産業分野でのニーズ対応 高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(使用機器削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化
キーワード 低コスト、継目なし、シームレス、球形容器、信頼性
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成28年度~平成29年度

プロジェクトの詳細

事業概要

宇宙ロケット等の部品類は低コスト化のニーズが強まっているが、現在、宇宙産業で使用される球形容器は2つの半球形状部品を溶接し製造され高コストとなっているほか、部材の調達期間も長く非効率となっている。本研究開発は、革新的な新たな製造方法を確立させ、低コストながら高い信頼性をもった継ぎ目のないシームレス球形容器を製造するための技術開発である

開発した技術のポイント

真空(球形)チャック方式によるスピニング加工という革新的な製造方法を確立させ、低コストながら高い信頼性を持ったシームレス球形容器を製造する技術を確立することとしたが、把握力が不足していることが判明したことから、あらかじめ準備していた心押しジグを使って加工可能とした。

(新技術)
真空(球形)チャック方式+心押しジグによるスピニング加工という、低コストかつ高信頼性のシームレス球形容器製造技術

(新技術のポイント)
・一体加工法であるため、製造期間を短縮させ、低コスト化が実現できた
・調達時間の短いアルミ合金を使用

具体的な成果

・シームレス球形容器を製作するために考案した球形チャックが有効に機能することが分かった
・アルミニウム合金製の薄肉シームレス円筒管から両口をスピニング加工することで、設定した形状を成形できた
・座屈の三次元モデルを作成し、シミュレーションを行い、工程の実験結果と良い一致を得る事ができた
・容器形状のシミュレーションモデルを作成し、破裂シミュレーションを実施した
・当該チャックを用いて製作した薄肉球形容器の形状と肉厚分布は想定内の結果になり、圧力サイクル試験、破裂試験等の強度試験を満足することができた
・同材質の板材からパイプ形状に成形することで効率化を図ることができた(コストダウン・部材調達期間の短縮)
・サポイン事業で培った技術を援用して事業化し成果を得られた。

極低温ヘリウム気蓄器・継目なし球形容器の採用
知財出願や広報活動等の状況

発明の名称:継目無容器、その製造方法、複合容器、及びその製造方法
出願番号:特願2017-009786
特許番号:特許第6553661号

研究開発成果の利用シーン

・イプシロンロケットの推薬タンク
・宇宙ロケットや衛星、探査機などに使われる球形容器

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

平成30年(2018)4月に事業化段階に入ったものとし当該事業で導入したスピニングマシン等を活用するため財産処分承認を得るとともに同事業を完了した後、令和元年(2019)6月に初期(試験機用)の製品容器を納入した。その後、10月には、次号機(1号機用)の製品容器を成功裏に納入した。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、製品製造、試験・分析・評価

製品・サービスのPRポイント

サポイン提案当初は、アルミ合金で十分な軽さと強度を持った高信頼性の球状容器が低コストで製造可能ということで薄肉の球形容器を開発ターゲットとし、製造方法を確立した。その後、事業化に際しては、厚肉球形容器を所望されたことから、これについても安定して製造可能とし事業化を実現した。

今後の実用化・事業化の見通し

上述、1.9事業化状況の詳細に付記した通り、H3ロケットに搭載するシームレス球形容器は、事業化以降、令和元年(2019)6月に初期(試験機用)の製品容器を納入した。その後、10月には、次号機(1号機用)の製品容器を成功裏に納入した。直近では、令和2年(2019)6月に2号機用容器の納入を予定し、その後、令和2年(2019)~令和4年(2022)にかけて、2機分/年のペースで容器の製造・納入を行う予定である。令和5年(2023)以降、H3ロケットの目標打ち上げ機数は、6機/年とされており、これを満足するように対応することとする。なお1機のH3ロケットに搭載するシームレス球形容器の個数は、5~6個である(ペイロードに依る)。

実用化・事業化にあたっての課題

直近3年間の2機分/年と令和5年(2023)以降の打ち上げ機数(目標)6機/年に滞りの無いような生産体制を確立する。現在、比較的時間を要している航空宇宙分野で要求される特殊な検査工程の簡略化が課題であると考えている。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社旭製作所
事業管理機関 国立大学法人埼玉大学  研究協力部研究推進課・研究機構 オープンイノベーションセンター
研究等実施機関 国立大学法人埼玉大学 理工学研究科 人間支援・生産科学部門 教授 荒居善雄

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社旭製作所(法人番号:5030001017688)
事業内容 各種高圧ガス容器および付属品、FRP複合容器、カセットこんろ及び各種燃焼器具の製造および販売
社員数 132 名
生産拠点 埼玉県さいたま市岩槻区 掛7915番地 岩槻本社・工場
本社所在地 〒339-0078 埼玉県さいたま市岩槻区掛7915
ホームページ http://asahi-ss.jp/company
連絡先窓口 容器技術部 飯島孝文
メールアドレス iijima@asahi-ss.jp
電話番号 048-758-1413