文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. 木質流動成形スピーカー振動板の実有化

精密加工

木質流動成形スピーカー振動板の実有化

愛知県

チヨダ工業株式会社

2022年1月28日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 竹の流動成形による高音質な薄肉・複雑形状スピーカー振動板の実用化
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 医療・健康・介護、自動車、スマート家電、建築物・構造物
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、環境配慮
キーワード 木質流動成形、高音質振動板
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成27年度~平成29年度

プロジェクトの詳細

事業概要

高音質音源の普及により、それを再現できるスピーカー振動板が求められ、木製振動板は従来最も有望であった。本研究では、木材の流動成形をシーズ技術として、弊社の金属成形ノウハウを融合し高度化する事で、音響特性の勝る竹の緻密化・極薄肉・複雑形状化、高生産化プロセスを開発する。この実用化により、世界でも類のない高音質振動板と金型装置を開発・事業化し、日本の森林を蝕む放置竹林を解消する新規ビジネスを創出する

開発した技術のポイント

研究開発の目標のうち、木質流動成形のための竹素材の処理・加工ならびに金型構造の開発は以下のとおり

(新技術)
・竹素材の前処理により、薄肉複雑形状でのスケールアップ(Φ145mm板厚0.5mm達成)
・繊維配向状態の検討により音質向上(伝播速度4815m/s、内部損失0.08)
・プレスモーション・温調システムの検討により成形時間~10分

(新技術のポイント)
・剛直な竹繊維を活かした状態で流動成形を可能にする前処理方法を開発
・高品質な素材の選定と繊維配向状態の制御を可能とする素材配置方法の開発
・プレスモーション制御と液体熱媒により高速加熱・冷却を達成

具体的な成果

・【素材供給・品質に関する課題】
愛知県内竹伐採実証フィールドで採取した竹について、現場で迅速に品質評価するための方法を確立した。その一方で、竹林被害の解消のために、本事業で提案した「腰高伐採」により、過剰な竹の成長を抑えられることが確認できた。
・【竹の成形前処理に関する課題】
竹齢に応じた樹脂含浸処理条件を見出した。目標としていた160mm長さの竹についても問題なく適用できることを確認した。
・【振動板の音響特性に関する課題】
独自開発した特許技術「解繊前躯体」「複合化技術」を用いて、伝播速度4815m/s、内部損失0.08の音響特性を示す竹成形体を得た。
・【高速生産システムに関する課題】
φ160mmフルレンジ用薄肉・複雑形状スピーカーの高速製造を実現した。フルレンジスピーカーユニット・システムを試作して総合的評価を実施し、これまでに類のないスピーカーシステムの開発に成功した

知財出願や広報活動等の状況

・平成28年11月 特願:2016-226616 「木質流動成形用金型及びそれを用いた木質流動成形用金型システム並びに植物系材料からなる成形体の製造方法」
・平成29年5月 特願:2017-102220 「複合材及びその成形品」 ・平成29年5月 特願:2017-102221 「流動成形用前駆体並びに植物系材料の流動成形前処理方法及びその成形品」
・平成29年10月 国際出願 出願番号:PCT/JP2017/036867 「木質流動成形用金型及びそれを用いた木質流動成形用金型システム並びに植物系材料からなる成形体の製造方法」

研究開発成果の利用シーン

・竹繊維高含有振動板(スピーカーコーン)
・本技術におけるスピーカー以外への事業展開として、自動車内装品・文具・食器・楽器等木質材料での製品試作

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

2018年11月末~2019年1月末までの期間、クラウドファンディングで「木質流動成形振動板オーディオシステム」として先行販売実施。スピーカー、CDレシーバー、セレクトケーブル、木質流動成形インシュレーターをセットにして計5台(set)の販売実績を上げる。正式販売開始後は、製品の展示をして頂いていたギャラリーカフェで1台販売、他で1台販売。2019年11月末時点で計7台の販売

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

・独自に「解繊連続成形」ならびに「素材配置技術」を開発し、高い音響特性を持つ高音質なスピーカー振動板を製作
・上記製品の制作を可能とする金型技術を獲得

今後の実用化・事業化の見通し

・海外への販路拡大の為、スイス在住の日本人ジャーナリストにコンタクトをとり、ヨーロッパ(主にスイス)での試聴会の開催、PR等を5箇所で実施予定です。
・国内では、地元(主に愛知県内)の展示会への出展を積極的に進めております。
・愛知県みよし市のカフェギャラリー「CAR-DEN」や、長野県のオーディオショップ「長野オーディオ・ラボ」等で展示・販売中

実用化・事業化にあたっての課題

オーディオ機器メーカーではない弊社のスピーカー認知度の低さによる販路拡大

事業化に向けた提携や連携の希望

販路拡大の支援や、事業化に成功した事業者向け展示会の開催や展示会への出展費用の補助金を希望

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 チヨダ工業株式会社
事業管理機関 公益財団法人科学技術交流財団
研究等実施機関 名古屋木材株式会社
愛知県森林・林業技術センター
国立研究開発法人産業技術総合研究所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 チヨダ工業株式会社(法人番号:80740787)
事業内容 金型製造・設計、プレス加工
社員数 90 名
本社所在地 〒470-0162 愛知県愛知郡東郷町春木岩ケ根1番地
ホームページ http://www.t-chiyoda.co.jp/
連絡先窓口 山田満雄
メールアドレス m.yamada@t-chiyoda.co.jp
電話番号 0561-38-0005