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精密加工

プレスオイル内蔵金型を用いたトランスファー工法による低コストで時期割れが発生しないステンレス深絞り加工技術の実現

茨城県

株式会社大貫工業所

2023年2月4日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 油圧機能内蔵金型による深絞りプレス成形技術の開発
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 航空・宇宙、自動車、ロボット、産業機械、工作機械
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化
キーワード ステンレス深絞り加工、時期割れレス加工、油圧内蔵金型
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 平成30年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

産業用ロボットの圧力制御機器や次世代自動車用小型モーター、センサー筐体に用いられるステンレス製の深絞り加工部品を、油圧機能内蔵金型によるトランスファー深絞りプレス成形技術によって安価に製造できる技術を開発する。またプレス金型の負荷荷重をリアルタイムで計測できるピエゾセンサーを金型に内蔵させ、プレスの稼働状態を常時監視できるIoT化プレス技術を確立する。

開発した技術のポイント

油圧機能内蔵の量産用SUS304L角型深絞り用金型、及び仕上げカット金型を製作し、油圧機能内蔵金型プレス方式の量産性を検証した。その結果、中間焼鈍無しで1工程の深絞り工程で加工が可能となり、また時期割れや応力腐食割れが発生しないことが明らかになった。さらに工程が大幅に短縮がなされたことから、AIロボットによる搬送方式で量産が可能であることを検証できた。

具体的な成果

・量産用油圧機能内蔵金型によるSUS304L角型深絞り加工を行った。その結果、油圧機能の無い従来金型では時期割れが発生したが、油圧機能内蔵金型では時期割れや応力腐食割れが発生しないことを確認した。​
・油圧機能内蔵金型によりプレス加工したSUS304L角形深絞り製品の断面ミクロ組織はオーステナイト組織であり、またX線回折の結果、オーステナイト残留率は100%であった。​
・油圧機能内蔵金型により深絞り工程が8工程から3工程まで大幅に短縮され、トランスファ搬送よりも安価で汎用性の高いAIロボット搬送が可能となった。​
・油圧機能内蔵金型にピエゾボルトを内蔵させることで、60SPMの高速プレス加工時の金型負荷応力を常時リアルタイムで検出できる方式を確立できた。​

知財出願や広報活動等の状況

特許出願1件
名称:プレス金型およびプレス成形品
出願日:令和2年3月6日
出願番号:特願2020-038388
出願の要点:被加工材とノックアウト間にプレスオイル溜めを有し、ダイと被加工材の間の油膜切れを防止することが可能なプレス金型およびこれを用いたプレス成形品。

研究開発成果の利用シーン

開発した油圧機能内蔵金型によるトランスファー深絞りプレス成形技術により、次世代のEVやFCV、産業用ロボットなどに使用される深絞りプレス加工部品を大量に低価格で生産できる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

ステンレスの深絞りプレス加工品の時期割れ、応力腐食割れは現在大きな課題になっているが、温間や冷間プレスを行うなど複雑な工程を余儀なくされている。本テーマで開発できた油圧機能内蔵金型は、これらの課題を解決できる技術であると見込んでいる。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、製品製造

製品・サービスのPRポイント

1.深絞りプレス工程の大幅な短縮に繋がる
2.時期割れ、応力腐食割れの防止が可能で信頼性が向上する。
3.トランスファー、AIロボットなどによる自動搬送が可能で、生産性を大幅に向上できる。
4.深絞り金型コストを1/2以下に低減できる。
5.プレス後の時期割れが発生せず、材料歩留まり、製品歩留まりを向上できる。
6.油圧機能内蔵金型にピエゾボルトを挿入することで、プレス金型の異常検出や遠隔監視に応用でき、IoT化や無人化に繋げることができる。

今後の実用化・事業化の見通し

本テーマの成果は、次世代自動車用の主要部品である、(1)電子部品、(2)機械構造部品、(3)センサー部品、(4)ワイヤハーネス部品、(5)外装部品、(6)バッテリー部品、(7)油圧空圧機器、(8)配管部品、(9)冷却部品、(10)エネルギー変換伝達部品、(11)光学部品、(12)モーター部品などに広く応用できると見込んでいる。

実用化・事業化にあたっての課題

現在顧客から、新製品の早期立ち上げと生産能力の向上を強く求められており、今後の生産拡大に向けてたプレスマシンの増強が必要である。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社大貫工業所
事業管理機関 公益財団法人日立地区産業支援センター
研究等実施機関 国立大学法人茨城大学
茨城県産業技術イノベーションセンター
アドバイザー SMC株式会社
一般社団法人日本金属プレス工業協会

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社大貫工業所(法人番号:4050001023041)
事業内容 プレス精密金型の設計・製作、プレス精密部品の生産・販売
社員数 30 名
本社所在地 〒316-0025 茨城県日立市森山町5丁目10-8
ホームページ http:/www.ohnuki.co.jp
連絡先窓口 大貫啓人​
メールアドレス ohnuki@ohnuki.co.jp
電話番号 0294-53-3821​