機械制御
大掛かりな配線工事が不要な新ロック機構を有する無磁型自己保持ソレノイド
福岡県
タカハ機工株式会社
2020年4月21日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 微少電力で駆動し、大掛かりな配線を必要としない新ロック機構を有する無磁型自己保持ソレノイドの開発 |
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基盤技術分野 | 機械制御 |
対象となる産業分野 | スマート家電、建築物・構造物、工作機械、エレクトロニクス |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(永久磁石不使用または電力の低減)、環境配慮 |
キーワード | 電気錠、自動化、低電力、ソレノイド |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成26年度~平成28年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
電気錠などの開閉機構には、モーター又はソレノイドが利用されている。電気錠用ソレノイドは施錠・開錠動作時に長時間通電か永久磁石で状態保持する構造となっており、電力を消費することと磁石を使った保持機構のため、電気配線が必要かつ構造が大きくなるという欠点がある。本研究開発はソレノイドでは過去にないロック機構を設けることにより瞬時通電、無磁石化を実現する無磁型自己保持ソレノイドを開発する
開発した技術のポイント
ロック機構の設計とソレノイドの小型化を実現する無磁型自己保持ソレノイドの開発に取り組み、瞬時通電、無磁石化を実現する
(新技術)
・樹脂部品を組み合わせた回転によるロック(自己保持)機構
・リレーのコイルスイッチの代替が可能な無磁化・小型・軽量化を図る技術
(新技術の特徴)
長時間通電もせず、永久磁石を使わず自己保持を可能とするソレノイドの構造
具体的な成果
・電気錠用のコイルを初期サイズの6.5mmから5mmに小型化を実現、リレー用も同様にコイルの設計を完了し、コイルサイズφ8x20mm、吸引力1.82N(電流値500m~1A・ストローク動作距離2.6mm時)を達成した
・金型部品の樹脂材料としてPOM(ポリアセタール)を選定し、電気錠用の耐久試験において目標値の2倍である60万回を達成、105℃の耐熱性にも問題なかった
・ロック機構である樹脂製品の回転子、カムの溝数、溝角度を18通りの試作品を製作した
・電気錠用のロック機構(樹脂部品)金型、ソレノイド用ボビン(樹脂製品)金型、ソレノイド用プレス品金型を製作、ソレノイドとロック機構を組み付け、耐久試験等を実施し、標準品の電気錠用が完成した
・耐熱性、絶縁性、耐久性、吸引力、振動試験、耐久試験、先端荷重確認試験、温度上昇特性に問題はなかった
知財出願や広報活動等の状況
特許を出願したが、拒絶理由に対し、今後審判での特許許諾の可能性が低いと判断しあきらめた。 開発後名古屋、大阪で開催される機械要素技術展、また海外の展示会にも出展し、本開発品を展示した。数件の問い合わせがあったが量産のめどが立っていなかった為対応ができなかった。2017年から2018年ににかけて中小機構関東支部の販路開拓コーディネート事業の支援を受け、介護事業や住宅メーカー等に市場調査を実施した。その結果、一般的な電気錠の需要よりは、量販店やドラッグストア等の高価品を入れたショーケース等に需要があるということが判明し、商品化の方向を決定した。
研究開発成果の利用シーン
・無磁型自己保持ソレノイド
・無磁型自己保持ソレノイドを使った単3電池4本で動作する「後付け電気錠」
・IoTアクチュエータ
・開発するソレノイドを用いてリレーが実現可能となり、磁性体による事故・障害を解決できる省電力で小型のリレーが実現可能
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
量産を見据えた設計変更も完了し、その試作品による耐久試験も完了した。樹脂金型の設計変更を実行すれば量産化に移行ができる状態。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、製品製造
製品・サービスのPRポイント
・無磁型自己保持ソレノイド
‐小型化:従来品の1/3
‐軽量化:従来品の1/3
‐消費電力:99.9%削減
今後の実用化・事業化の見通し
・川下企業のA社からロック機構部品として採用検討にはいっており早期量産を要請されている
・新商品として弊社海外ネットショップで販売し、海外展開を行っていくとともに、「無磁型自己保持ソレノイド」を使った「後付け電気錠」を試作しており、自社製品として販路開拓を行い、併せてソレノイド単体もPRを行う
・特にIOTアクチュエータとしての展開も今後期待できる
・ソレノイド単体での販売より開発品を使用した後付の電気錠の試作・開発に取り組んでいる。通常はセキュリティー上施錠状態が必要な教室等のドアや、鍵の開閉が面倒なショーケースなどをスマホなどで遠隔で操作可能な機能を前提としている。来年度には商品化を計画している
実用化・事業化にあたっての課題
量産に向けての金型の改造費用等にかなりの費用を要する。本業の生産等が忙しくなるとスピード感が落ちてしまう。
事業化に向けた提携や連携の希望
開発品を使用した電気錠にはIoT化は避けて通れない。ソフト系の会社と連携して後付電気錠の開発をすすめたい。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | タカハ機工株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人飯塚研究開発機構 |
研究等実施機関 | 国立大学法人九州工業大学 |
アドバイザー | タキゲン製造株式会社 福岡県工業技術センター機械電子研究所 溝口国際特許事務所 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | タカハ機工株式会社(法人番号:9290001046328) |
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事業内容 | DCソレノイドの開発・製造・販売、及び上記部品を含むアッセンブリ品の製造・販売 |
社員数 | 80 名 |
生産拠点 | 福岡県飯塚市有安958-9 |
本社所在地 | 〒820-0111 福岡県飯塚市有安958-9 |
ホームページ | http://www.takaha.co.jp/ |
連絡先窓口 | 大久保千穂 |
メールアドレス | c-okubo@takaha.co.jp |
電話番号 | 0948-82-3222 |
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