機械制御
速度400kM/H走行において必要とされる次世代高速鉄道用ブレーキディスク
兵庫県
大阪富士工業株式会社
2022年1月28日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | レーザークラッディング表面機能化技術による次世代高速鉄道用ブレーキディスクの開発 |
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基盤技術分野 | 機械制御 |
対象となる産業分野 | 産業機械、工作機械、物流・流通、鉄道車両 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上) |
キーワード | 鉄道車両、ブレーキディスク、表面改質、レーザークラッディング、肉盛 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成26年度~平成28年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
次世代高速鉄道用ブレーキディスクは、耐熱性と耐摩耗性及び機械的高信頼性が要求される。このため、熱亀裂の発生を抑制する表面機能化処理が必須である。従来の粉体肉盛プラズマアーク法では入熱が大きく溶込み量も多いため、変形や熱亀裂が発生して健全な品質を得るのが困難であった。入熱が小さく溶込み量の制御が容易なレーザークラッディング法を用いて、高速鉄道用ブレーキディスク用に最適な肉盛材料と施工技術を開発する
開発した技術のポイント
熱負荷が小さく溶込み制御が可能なレーザークラッディング技術を用いて、高速鉄道用ブレーキディスクの肉盛材料並びに生産性が高く、高品質(溶込み制御)の施工技術の研究開発を行う
(新技術)
優れた耐熱性を有する特殊金属材料を鋼製ディスクの摩擦摺動面のみに付与できる経済的な方法として、レーザークラッディングを選択した
(新技術の特徴)
最高速度400kM/H以下の条件で、摩擦係数(0.3以上)、開口亀裂(亀裂幅0.1MM以上)および筋摩耗が発生しない肉盛ブレーキディスクが開発できた
具体的な成果
・優れたブレーキ力と耐摩耗性のある肉盛材料を開発し、熱間強度を500N/MM2(800℃)以上、マトリックス硬度をHV240以上の目標を達成した
・レーザークラッディング装置のレーザースポット照射形状と肉盛材料パウダー供給方法を開発し、機械的信頼性が高く、生産性の高い肉盛施工技術を確立した(溶込み率は10%以下、溶込みの均一化(溶込み深さのバラツキ0.3MM以内)
・肉盛ブレーキディスクは、現行鋼製ブレーキディスクの品質基準(製造基準:線状欠陥無し、ピンホール0.3MM以下)に合格、最高速度400kM/H以下の条件で、安定したブレーキ性能が得られた(摩擦係数(0.3以上)、開口亀裂(亀裂幅0.1MM以上)および筋摩耗の発生なし)
・高能率のスパイラル型自動肉盛の量産装置を試作開発し、肉盛施工時間を従来法の約1/2に短縮した
知財出願や広報活動等の状況
・機械要素技術展(年4回、毎年 東京、大阪で開発ブレーキディスク展示、動画を放映)
・2018年には、レーザー加工学会で開発ブレーキディスク論文発表
・2020年4月には、ウェルディングショー 車両関係の表面処理フォーラムで、開発ブレーキディスクの講演予定
研究開発成果の利用シーン
・高速鉄道用ブレーキディスク
‐熱負荷が小さく溶込み制御が可能なレーザークラッディング技術を採用
‐鉄道以外の高速、高負荷車両のブレーキディスクにも適用
・高速鉄道用ブレーキディスクの施工技術
‐スクリュー、刃、製鉄用スベリ軸受、ポンプ、バルブ部品、タービン部品にも適用
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・ブレーキディスクについては、2021年に新幹線(時速360km)への現車試験を計画しており、ブレーキパット等の選定試験を進めている。
・派生技術である溶け込み制御技術については、機械部品への適用を継続している。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・最高速度400kM/H以下の条件で、ブレーキ性能は安定した摩擦係数(0.3以上)、開口亀裂(亀裂幅0.1MM以上)および筋摩耗が発生しない肉盛ブレーキディスク
・優れた耐熱性を有する特殊金属材料を鋼製ディスクの摩擦摺動面のみに付与
‐耐熱性、耐摩耗性、耐亀裂性に優れた開発材料を用いてレーザークラッディングでの低溶込み、低希釈技術の確立を行い、ブレーキディスクへの肉盛に適用
今後の実用化・事業化の見通し
・将来計画されている速度400kM/Hの高速鉄道を念頭におくと、ブレーキディスク摺動面の耐熱性能の飛躍的向上と経済的な製造技術の確立は必須条件であり、今回取組むレーザークラッディング技術の更なる高度化は、これらの要件を満たしている点で、鉄道業界からの期待が大きい
・2022年に試験用の高速新幹線(アルファX)で現車試験を行う予定。
・鉄道車両以外の高速車両への適用を目指して、自動車用ブレーキディスクメーカーに売り込み、自動車でのブレーキ試験を計画中。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 大阪富士工業株式会社 技術センター(米山三樹男、辰巳佳宏、松井祥司、池田圭一郎) |
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事業管理機関 | 一般財団法人大阪科学技術センター ニューマテリアルセンター(田中健一、小野文夫、金子輝雄、森知佐子) |
研究等実施機関 | 国立大学法人大阪大学 接合科学研究所(阿部信行、塚本雅裕、山崎裕之、林良彦) 公益財団法人鉄道総合技術研究所 車両制御技術研究部(嵯峨信一) |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 大阪富士工業株式会社(法人番号:7140001047978) |
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事業内容 | 高炉メーカーの工程作業、特殊溶接・溶射、機械加工他 |
社員数 | 2438 名 |
生産拠点 | 尼崎工場、和歌山工場、小見川工場、泉北工場 |
本社所在地 | 〒660-0811 兵庫県尼崎市常光寺1丁目9番1号 |
ホームページ | http://www.ofic.co.jp/ |
連絡先窓口 | 執行役員 レーザー・プラズマ接合研究所 所長 辰巳佳宏 |
メールアドレス | yoshihiro-tatsumi@ofic.co.jp |
電話番号 | 06-6498-0130 |
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