研究開発された技術紹介

光学機器、光通信産業分野では高度情報化社会に対応すべく、光学レンズの高機能化が求められている。現状はレンズ表面への多層膜形成により対応しているが、性能面及びコスト面で限界を迎えている。本開発はナノインプリント技術を高度化することにより、様々なレンズへの無反射微細構造加工を低コストで可能にする多数個取り曲面ナノインプリント技術を開発し、国内同産業の世界的競争力向上を目指すものである

多数のレンズ(曲面)に無反射構造の加工を一括で行うことにより、低コストでのレンズ高機能化に貢献できるナノインプリント(超微細加工)技術を開発する
(新技術)
・無反射構造体をレンズ表面に形成する
・レンズの曲面への両面超微細加工を、多数個のレンズに対して一括で行う
(新技術の特徴)
・無反射微細構造をレンズ表面に形成することで、屈折率が連続的に変化し、高い反射防止性能を発現し、画像品質向上につながる
・レンズ両面への超微細加工を、多数個一括で行うことにより、低コストでレンズの高性能化を実現することができる

・一個取り原理検証機による、レンズ曲面への無反射微細構造のナノインプリント加工の最適化
・多数個取り曲面ナノインプリント準量産装置の設計・開発、及びその試運転評価での反射率・サイクルタイムにおける目標値の達成
・多数個取り曲面ナノインプリント準量産装置の量産プロセスの最適化及び安全性・操作性の向上

・曲面且つ両面に、さらには多数のレンズに一括で超微細加工を行うことが可能な表面加工装置
・同装置を用いた受託加工サービス

・多数個取り曲面ナノインプリント準量産装置の開発が完了し、量産へ向けてプロセス、装置の開発を継続して行っていた。
・同装置により量産されるレンズが、目標値を大幅に上回る反射防止性能を発現したことから、顧客に対して同装置の試作を行ったところ、量産されるレンズを使用した際にゴーストやフレアの消失及び低減が確認できたため、量産へ向けた取り組みを開始した。
・一眼レフカメラの市場縮小をはじめとしたカメラ業界不振に伴い、客先から本技術による新たな製品上市を断念するとの通告あり。
・現在、新たな顧客探索中

曲面への超微細加工により、低コストにてレンズ性能の高度化を実現
・従来は難しかった曲面へのナノインプリントが可能になったことで、レンズへの超微細加工を高い再現性で行えるようになった
・無反射微細構造を加工したレンズにおいて可視光領域における反射率が平均0.2%以下まで低減され、光学レンズの高機能化の実現が可能である
・被加工基材を問わずあらゆる3次元形状をもつ基材に対して加工可能であることに加え、金型を変更することで、所望の特性を有する超微細パターンを加工することが可能になる(マイクロレンズアレイ:拡散角制御、ドット:特定波長取出し等)

・加工装置について、量産へ向けた条件の最適化、タクトタイムの向上、安全性や操作性の更なる向上などの課題に取り組み、性能の向上を目指す
・多種多様なレンズへ対応できる制御パラメータの抽出をするとともに、非球面に対する超微細加工への対応を目指す