文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. ミクロ・ナノサイズの三次元構造体を生成可能!高精度めっき部品・金型製造技術の開発

表面処理

ミクロ・ナノサイズの三次元構造体を生成可能!高精度めっき部品・金型製造技術の開発

佐賀県

田口電機工業株式会社

2020年5月11日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 シンクロトロン光を利用する、ナノテクノロジー・MEMS関連の部品・金型製造におけるめっき技術の研究開発
基盤技術分野 表面処理
対象となる産業分野 医療・健康・介護、環境・エネルギー、航空・宇宙、自動車、ロボット、食品、電池、半導体、エレクトロニクス、印刷・情報記録、光学機器
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)
キーワード マイクロマシン、医療ロボット、X線グリッド、マイクロパーツ、MEMS
事業化状況 実用化間近
事業実施年度 平成20年度~平成23年度

プロジェクトの詳細

事業概要

マイクロマシン、MEMSなどを構成する部品や金型製造において、数百ミクロンに及ぶ高さの高い(アスペクト比の高い)製品の開発を目指し、LIGA微細加工技術を応用し、シンクロトロン放射光という高エネルギー・短波長の高輝度X線を使用して、フォトリソグラフィー技術によりミクロ・ナノサイズの三次元構造体を高精度のめっき加工によって可能にしようとするもので、ナノテクノロジーにおけるめっき技術の研究開発である

開発した技術のポイント

ミクロ・ナノサイズの三次元構造体を生成する高精度、高強度、高厚膜めっき加工技術により、マイクロ部品・金型としての使用を可能に
・めっき精度:細孔金属板→±0.5m、フィラメント:±0.7m
・マイクロビッカース硬度→400Hv以上
・内部応力0
(新技術)
<高エネルギーUV紫外光や、シンクロトロン放射光を用いた微細加工技術>
特徴
・厚く、硬度の高いめっきを形成することができ、これを利用したマイクロ金型が製造可能
・マイクロ金型を用いて、複雑な三次元立体の製品が低コストで量産製造可能
・超微細構造・高精細のマイクロパーツなどの製作が可能となり、しかも量産が可能となる技術である
・本技術により、医療、食品、半導体、自動車など幅広い分野でのナノテクノロジー機構部品の開発が可能となる

具体的な成果

高精度めっきが可能な装置を開発
・高速・高精度な電気めっき処理を可能とする、電気めっき装置の開発・製作を検討
・電圧・組成・条件などの各種の計測モニターの装備、陽極板および陰極・試料台の定期的な振動・揺動撹拌を行う仕様の搭載により、マイクロパーツ製造に必要な数時間~数日間におよぶめっき処理工程の時間短縮や強度に耐えうる装置となった
・制御機器類の操作パネルや機器の電気系統をわかりやすく格納することにより、種々の電気トラブルのチェック、修理、メンテナンスが容易に行えるようにした
完成品のめっき精度計測から、十分な機能を確認
・開発しためっき装置を用いて電気めっき製品を製作したところ、マイクロ金型は表面平滑精度±0.5µm(厚さ
509µm)、フィラメントなどのセンサー部品は表面平滑精度±0.7µm(厚さ520µm)となり、それぞれ目標を達成した
・上記電気めっき製品から作られたマイクロパーツの硬度を測定した結果、マイクロギアの硬度は510Hv、フィラメントなどのセンサー部品は500Hvを記録し、目標を達成
・製作されたマイクロパーツを半年および1年後にレーザー顕微鏡で計測したところ、時効変化が発生せず、内部応力にも問題がないことを確認
電気めっき製品のレーザー撮像
〜電気めっき製品をレーザー顕微鏡にて測定。どちらも500µm以上の厚さと、±1µm以内の平滑精度を保持している〜
・ハニカム構造の新工法によるX線画像診断装置用の低被爆X線グリッドの開発の実用化の第一歩として、今年度から九州大学医学部・放射線医療の部門と共同でX線被曝量の測定による実証データーを取り始めている。
・同様の製造技術を応用して、食品異物検出装置のX線格子デバイスの試作品を製造し、今まで見えなかった食肉中の軟骨やビニル・プラスチックなどの異物の検出確認が出来ることが確認され、実用化のための試作品開発機器を導入して、事業化に取り組んでいる。

知財出願や広報活動等の状況

・新聞:日刊工業新聞(H23.7.28)など多数
・国際ナノテクノロジー総合展に毎年出展(今年度は2020.1.29~31東京ビッグサイト)
・MEMSセンシング&ネットワーク展に毎年出展(今年度は2020.1.29~31東京ビッグサイト)
・中小企業基盤整備機構・ドイツ医療用機器展示会MEDICA商談ミッション参加

研究開発成果の利用シーン

医療機器(X線画像診断装置関連、血流センサー、医療ロボット、医療用マイクロマシン、手術用微細部品)、食品製造(食品異物検出装置)、自動車(自動運転用高精細画像センサー)、その他(極細繊維製造用押出成形金型製造技術、5Gネットワーク用機器関連部品製造金型、他)

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・H25年度の実用化を目指し、補完研究中
・直径0.1mmマイクロギア、マイクロコネクター、マイクロメッシュなどのサンプルあり(無償)
・平成28年度より3年間、佐賀県リーディング企業育成事業の援助による産総研との共同研究で、食品製造工程中での異物検出用X線格子デバイスの試作開発研究を行い、X線による骨・軟骨・ビニル・プラスチックなどの既存技術で検出できない異物のX線検出が確認できた。現在事業化の為の試作品開発の設備を平成31年度補正ものづくり補助金支援によりX線露光装置などを導入して試作開発を続けている。
・数年前から取り組んでいるマンモグラフィーなどのX線画像診断装置に搭載して、患者のX線被曝量を低減する新技術・新工法であるハニカムエック線グリッドの開発も継続しており、令和元年11月の中小企業基盤整備機構主催のドイツ医療展示会MEDICA商談ミッションに参加して、欧州のX線画像診断装置メーカー数十社と面談を行い、弊社の新工法の低被爆X線グリッドの試作品のPRを行ったが、ほとんどのメーカーが患者のX線被曝量の低減にとても興味を示し、今後試作品の提供なども約束をおこない、欧州展開の基盤を作り始める第一歩としてスタートしていきたいと考えている。

マイクロギア・マイクロパーツ
ハニカム型X線グリッド
血流センサー
提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

・小型化・微細化→マイクロギアなどのサイズは、直径0.2mm、高さ500mを満足し、硬度もHv400以上と強靱
・精度向上→シンクロトロン光X線を用いた3次元構造の非常に微細な加工により、ナノオーダーレベルの精度を保持
・多品種少量生産→電鋳めっき技術の応用のため、一度に複数のマイクロパーツを高精度に多品種量産することが可能

今後の実用化・事業化の見通し

事業化を目指し、試作品製造装置や医療用機器のマイクロセンサー開発を実施中
・事業で積み残した内部応力測定や、その他の数値目標を達成すべく、計測器の開発から計測技術まで広い分野での改善を実施中
・H25年度には事業化のための大型の試作品製造装置が完成、川下ニーズの製品試作に移行予定
・医療用機器のマイクロセンサーの開発も同時に行っており、新たな医療機器メーカーへ販路開拓を実施中である。同時並行してハニカム型の低被爆X線グリッドを更に高精細化を検討しながら、九州大学医学部・放射線医療と共同で実際のマンモグラフィー装置に搭載してX線被曝量の低減データーを確認しているが、第1回の実験で15%ほどのX線被曝量が低減出来ることが確認できたが、今後は更に半分に出来るよう改良を進めていく。
・食品異物検出装置のX線格子デバイスも産総研との共同研究で製作が可能である事が確認できたので、事業化の為の試作品開発に取り組んでいる。

実用化・事業化にあたっての課題

事業化に向けた試作品の開発のためには、弊社のこれまで蓄積してきた研究開発機器では限界があるため、大型の試作品開発のための機器の導入が不可欠であり、当然費用面でもかなりの投資となるので、さまざまな補助施策を模索している。

事業化に向けた提携や連携の希望

産総研や九州大学、佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター、佐賀県工業技術センターなどとは従前より研究開発に深く連携を続けているが、今後は全国のナノテクノロジー専門の大学研究者や研究機関などとの連携なども事業化の為には欠かすことの出来ない必要性を感じている。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 田口電機工業株式会社
事業管理機関 佐賀県商工会連合会
研究等実施機関 国立大学法人九州大学 大学院工学研究院ナノ・マイクロ医工学研究室
佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター
国立研究開発法人産業技術総合研究所 つくばセンター 健康工学研究部門
国立大学法人 九州大学 医学部 医学研究院 保健学部門

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 田口電機工業株式会社(法人番号:2-3000-0100-6385)
事業内容 めっき加工やその他の表面処理全般
社員数 75 名
生産拠点 佐賀県三養基郡基山町大字小倉399
本社所在地 〒841-0201 佐賀県三養基郡基山町小倉399
ホームページ http://www.taguchi-dk.co.jp
連絡先窓口 代表取締役 田口英信
メールアドレス hidenobu-t@taguchi-dk.co.jp
電話番号 0942-92-2811