精密加工
コスト低減を可能にする、高炭素クロム軸受鋼の冷間鍛造技術の開発
静岡県
千曲精密工業株式会社
2020年3月22日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 高炭素クロム軸受鋼の冷間鍛造技術開発 |
---|---|
基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 自動車 |
産業分野でのニーズ対応 | 低コスト化 |
キーワード | 高炭素軸受鋼の冷間鍛造 |
事業化状況 | 研究中止または停滞中 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
コスト削減を目的に、高炭素クロム軸受鋼部品を冷間鍛造で製作する技術を開発する。この材質は、材質特有の硬さから冷間鍛造は難易度が極めて高く、当社の既存技術は切削加工により製品化している。今回、静岡大学工学部教授の指導や金型メーカーの協力を受けて、三位一体となり、当社の得意とする冷間鍛造技術を最大限に生かし、高炭素クロム軸受鋼のニアネットシェイプ冷間鍛造品を作り、低価格製品を実現させる
開発した技術のポイント
高炭素クロム軸受鋼の冷間鍛造により、切削部分・切削量の低減、時間当たり工数の増加を実現
・冷間鍛造で5アイテムの形状開発→アイテム毎の目標形状の達成(例:筒形状部品:全長/内径=5倍)
・焼きなまし条件→素材硬さを80HRB前後まで低減
・時間当り工数→1,800ケ
(新技術)
高炭素クロム軸受鋼の冷間鍛造
・歩留まりの改善により切削部分、量の低減による材料費の抑制(切削クズ処理量が少なくため、環境負荷低減にも貢献)
・時間当たり工数の増加による生産性向上
具体的な成果
冷間鍛造で、5アイテムの形状開発を実施し成功
‐CAE(解析シミュレーション)ソフトを活用し、最適な工程間形状を導出
‐開発アイテムA、B、C、D、Eの五種類を、冷間鍛造により製作。アイテムA(外径段付き、内径ストレート形状)は内径切削レス化、アイテムB(コップ形状1)は断面減少率78%、アイテムC(筒型状)は全長/内径=5倍、アイテムD(リング形状)はニアネットシェイプによる鍛造、アイテムE(コップ形状2)は外径に対する内径の同軸度φ0.1以下を目標として製造し、目標を達成
・高炭素クロム軸受鋼の適切な焼鈍条件を見極め、冷間鍛造を可能に
‐高炭素クロム軸受鋼について、適正な焼きなましのヒートパターンを検証
‐焼鈍テストで、素材硬度を82HRBまで安定して下げることに成功。冷間鍛造可能な硬度にまで軟らかくすることが可能に
・自動生産機とインライン検査機を開発し、時間当たり工数を増加
‐開発アイテムA製造に必要な2工程(鍛造と検査)をともに自動で行い、かつ全数品質保証を図るための生産機・検査機を製造
‐目標としていた時間あたり1,800ケをクリア
研究開発成果の利用シーン
開発した冷間鍛造技術により、自動車に使用される高炭素軸受鋼製品を低価格で提供することができる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・実用化は停滞中・サンプルなし
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
・低コスト化→冷間鍛造による製造により、SUJ2(高炭素クロム軸受鋼)切削加工品に比べて10%コスト引き下げを可能に
・量産化・安定供給化→時間当たりの工数は、切削の100ケに比べて、冷間鍛造では1,800ケに増加
・強度・剛性向上→冷間鍛造によってファイバーフローが形成されるため、一般的な切削加工に比べ、割れにくい
今後の実用化・事業化の見通し
一次部品メーカーへの製作部品紹介を継続する一方、自動車・工作機械メーカーでの部品採用も模索
・川下の一次部品メーカー(既存取引先と新規開拓先の両方)に、研究開発で製作した部品を紹介し、性能など説明・検討いただいている
・一次部品メーカーへの紹介と並行して、そのさらに川下に当たる自動車・工作機械メーカーでの部品採用も同時に模索していく
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 千曲精密工業株式会社 |
---|---|
事業管理機関 | 千曲精密工業株式会社 |
研究等実施機関 | 和田山精機株式会社 国立大学法人静岡大学 工学部 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 千曲精密工業株式会社(法人番号:6080401010254) |
---|---|
事業内容 | 冷間鍛造加工部品、精密切削加工部品の一貫生産 |
社員数 | 170 名 |
生産拠点 | 本社工場、第2工場、天竜工場(3社共静岡県) タイ工場(thai Rayong) |
本社所在地 | 〒434-0002 静岡県浜松市浜北区尾野2481 |
ホームページ | http://www.chikuma-s.co.jp |
連絡先窓口 | 技術部 部長 松下努 |
電話番号 | 053-582-2332 |
研究開発された技術を探す