立体造形
環境にやさしく、かつ防鼠・防虫効果を有する環境対応プラスチックの成形製造方法を開発
千葉県
株式会社ナフタック
2020年3月23日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | カプサイシンとインターカレーション技術による循環環境適応型生物忌避剤のプラスチック成形技術の研究開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー |
産業分野でのニーズ対応 | 環境配慮 |
キーワード | 生物忌避剤、防鼠・防虫効果、環境配慮、カプサイシン |
事業化状況 | 実用化間近 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
情報家電製品に防鼠・防虫性を持たせるため、各種の化学薬品を添加した樹脂成形加工品が用いられているが、成形加工段階や使用中に化学薬物が環境へ放出されたり、その廃棄時に化学薬物が溶出することが問題となっている。本研究では、カプサイシンを層間化合物へインターカレートすることにより、カプサイシンの揮発性を制御し、しかも樹脂中へ均一分散を可能にする、環境対応プラスチック及びその成形製造方法を開発する
開発した技術のポイント
カプサイシンをインターカレートした環境対応プラスチック成形方法の開発
・層状複水化合物へのカプサイシンのインターカレーション→1gの層状複水化合物に対し0.6gのカプサイシン
・層状複水化合物の分散状態評価→粒子径:1ミクロン
・生物忌避性の評価→アリ、海洋生物(フジツボ)等
(新技術)
樹脂+カプサイシンをインターカレーとした層状化合物
特徴
・カプサイシンの揮発性なし⇒作業環境の改善
・均一分散が容易
・カプサイシンの溶出制御(徐放性の付与・効果の持続)
・材料物性の低下が起こらない
具体的な成果
・事業化規模での層状複水酸化物へのインターカレーション合成実験を実施
‐LDH-Cap(カプサイシンをインターカレートした層状複水酸化物)の事業化規模合成方法として「共沈法」が適していることを確認、大量生産実験を実施
‐共沈法でLDHへのカプサイシンのインターカレート量の目標値(0.6g/1.0g)を達成
‐未反応カプサイシン回収装置、塗料製造用ミキサーを追加し、事業化パイロットプラントを作製
・層状複水酸化物の分散性を評価
‐LDH-Capをポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)に混練した樹脂成形試験を実施し、分散性が良好であることを確認
‐LDH-Capは各塗料中へ均一分散し、均一な塗膜が得られることを確認
・生物忌避試験において、マウスかじり試験等で忌避効果を確認
‐フジツボ、ラット等への生物忌避試験を実施
‐高濃度(LDH-Cap30%)での試験では、室内実験ではフジツボ幼生は樹脂の種類によって影響が異なる。一方、海域での浸漬試験では、浸漬直後を除き忌避効果は認められない。今後塗料の選定など検討し、カプサイシンの徐放試験など進める
‐LDH-Cap配合塗料を塗布した市販塩ビケーブルに対する「マウスかじり試験」では顕著な効果が見られた
知財出願や広報活動等の状況
特許:「生物忌避性複合体およびそれの製造方法」(特願2010-100995)
研究開発成果の利用シーン
従来の海洋の付着生物対応から、過去にLDH-Capの防虫用途の成果がでている。精米の包装材料の銘柄などの印刷インキに生物性のLDH-Capを配合することにより、害虫による袋の破損被害を防止できる可能性がある。また、この様な防虫インキは多種多様な食品包装へ応用できる可能性を秘めている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・H27年度の実用化に向け、補完研究を継続
・新生物忌避剤LDH-Cap(カプサイシン60%含有)を、操作性のよい顆粒状に加工したサンプルあり(有償)
提携可能な製品・サービス内容
進行中
製品・サービスのPRポイント
・環境負荷削減→自然由来のカプサイシンをLDHにインターカレートすることで、有害化学物質を使用しない環境負荷軽減生物忌避剤を実現
・耐久性向上→表面塗布でなく、樹脂中に均一分散可能とすることで、耐久性を大幅に向上(5倍以上を目標)
・低コスト化→LDH-Capであれば、化学合成で簡単に製造可能、コスト減に寄与。また、樹脂成型時の耐熱性および成型圧力に対応(高付加価値であるが、同一価格以下を目標)
今後の実用化・事業化の見通し
川下企業との打合せを踏まえ、実用化に向け研究を継続
・川下企業と開発テーマの紹介と市場ニーズなどについて打合せを実施
・生物への試験であり、実用化にあたり効果的配合材料、配合比の研究など、まだ研究が必要
・実証試験用のサンプル試作は可能であり、上記残課題の研究開発と並行して、実証実験が可能な協力機関があればサンプルを提供
実用化・事業化にあたっての課題
従来、海洋の船底などに付着する生物の忌避剤として実用化を推進してきたが、耐用年数が3年以上を要求され難しい。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社双葉テクニカ 株式会社ドリームズ |
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事業管理機関 | 公益財団法人千葉県産業振興センター |
研究等実施機関 | 株式会社ナフタック 国立大学法人新潟大学 国立大学法人東京海洋大学 学校法人東京農業大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ナフタック(法人番号:7040001025226) |
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事業内容 | 新潟大学のシーズ技術を事業化させるべく創立したベンチャー企業。(1)抗菌樹脂・抗菌発泡樹脂 (2)環境適応型生物忌避剤 の開発 |
社員数 | 1 名 |
本社所在地 | 〒262-0018 千葉県千葉市花見川区畑町868-1 |
ホームページ | http://nafutac.jp |
連絡先窓口 | 代表取締役 若林淳也 |
メールアドレス | a.wakabayashi@nafutac-corporation.com |
電話番号 | 03-5637-2121 |
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