精密加工
電子ビームによる微小テクスチャ形成により医薬・医薬部品用金型の型離れ性、粉離れ性を向上
富山県
株式会社北熱
2020年3月27日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 電子ビーム微細溶融加工による医薬・医薬部品用金型の表面機能化技術の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、自動車、産業機械 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加) |
キーワード | 電子ビーム、微小テクスチャ、離型性、粉離れ性 |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 平成21年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本研究開発は、錠剤及び医薬部品用金型の高精度化、離型性、耐久性及び耐食性の改善のため、電子ビームのマルチドット照射による三次元表面溶融加工技術、表面微小テクスチャ形成技術及び表面改質を目的とした放電加工とのハイブリッド加工による表面拡散浸透技術を開発し、表面性状の任意制御及び表面改質技術を確立するものである。また、錠剤製造用金型を用いた簡易型打錠評価試験機を開発し、金型の評価試験方法の効率化も目指す
開発した技術のポイント
微小テクスチャ形成による表面機能化技術を開発して打錠金型、医薬部品金型の精度・型離れ性・耐久性等を向上させた。
薬剤の打錠杵(型)では、品質維持のための寸法精度の向上と生産コスト低減のための粉離れ性や耐久性の向上を図った。
医薬部品金型では、容器製品の透明性を高めるための金型の表面仕上げ精度(光沢度)の向上と樹脂添加物減量化に対応する金型の離型性や耐食性向上を図った。
具体的な成果
・電子ビームによる3D表面溶融加工技術とNCデータに基づき複雑な3D形状金型への電子ビーム照射技術を確立した。
・電子ビーム照射した打錠杵の耐圧性能をシミュレーション解析したところ、従来のプレス成形による打錠杵に比べ、優れた性能が確認され、打錠評価試験およびロータリー打錠機にて打錠成形した場合に、打錠杵として十分な性能を有することを確認した。
・微小テクスチャ形成により、離型性、粉離れ性を向上
・電子ビームによる微小テクスチャ形成技術を確立し、射出成形では、金型と樹脂の離型性向上および成形品の高精度化を実現した。特に軟質材の成形では、離型時に製品の変形が起こりやすく、連続的な生産を阻害する重大な要素となっていたが、テクスチャを施したコアでは離型抵抗が減少され、製品が変形することなく成形できた。さらに打錠成形では、金型と薬剤の粉離れ性向上を確認し、様々な文字入り杵で事業化を達成した。
・サーボモータによる打錠評価試験機を開発して、ロータリープレス打錠機と同等の性能を有するサーボモータ打錠試験機を製作した。
知財出願や広報活動等の状況
特許:「金型部品」(特願2012-54732)、「鉄鋼材料の表面改質方法」(特願2011-152886)
研究開発成果の利用シーン
微細テクスチャ形成技術は金型と材料の接触面積を小さくできるので、打錠成形の粉離れ性や射出成形の離型性を改善できる。冷間鍛造においても油溜りを均一にすることで鍛造パンチの油摩耗を改善できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
北熱が開発した微小テクスチャ形成技術は、医薬用金型(打錠杵)と医薬部品用金型(射出成形型)に適用し良好な結果を得た。
打錠杵は平成24年9月に事業化し、ジェネリック医薬品最大手の日医工殿や県内ユーザーに販売した。しかし、平成25年頃から錠剤の文字表記に印刷法が普及し、打錠杵面への文字形成の必要がなくなり製剤時のスティッキングの懸念もないことから微小テクスチャ形成技術の価値がなくなった。さらに、平成27年頃から安価な外国製杵が普及し始め、北熱の高機能打錠杵は全く採算があわず平成28年2月をもって製剤打錠杵事業から撤退した。一方、電子ビーム加工機の譲渡先であるギフ加藤製作所(岐阜県;トヨタ系冷間鍛造部品メーカー)では、鍛造パンチの油摩耗防止にテクスチャ形成技術が適用できないか新たな研究開発をスタートさせた。研究会名称は革新的表面改質研究会で2年目の研究会がスタートした。北熱はアドバイザーの立場で参加し今後の用途開発を見守る。
提携可能な製品・サービス内容
試験・分析・評価、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・ロス削減→微小テクスチャ形成技術を杵面に適用して同薬剤を打錠成形すると120分(3,600錠)でもスティッキングを発生しない
・複雑形状化→微小テクスチャを適用するとアスペクト比8で0.2°の抜き角でも成形が可能(従来はアスペクト比1で凡そ0.5°の抜き角)
・一貫生産→微小テクスチャはPVDを被覆することで、さらに耐食性や耐摩耗性を改善。打錠杵の一貫加工が可能で、従来納期1.5ヶ月を1ヶ月に短縮するとともに製作コストも30%程度削減
今後の実用化・事業化の見通し
北熱が開発した微小テクスチャ形成技術は、医薬用金型(打錠杵)と医薬部品用金型(射出成形型)に適用し良好な結果を得た。
打錠杵は平成24年9月に事業化し、ジェネリック医薬品最大手の日医工殿や県内ユーザーに販売した。しかし、平成25年頃から錠剤の文字表記に印刷法が普及し、打錠杵面への文字形成の必要がなくなり製剤時のスティッキングの懸念もないことから微小テクスチャ形成技術の価値がなくなった。さらに、平成27年頃から安価な外国製杵が普及し始め、北熱の高機能打錠杵は全く採算があわず平成28年2月をもって製剤打錠杵事業から撤退した。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社北熱 |
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事業管理機関 | 公益財団法人富山県新世紀産業機構 |
研究等実施機関 | 株式会社斉藤製作所 三晶エムイーシー株式会社 国立大学法人富山大学 富山県産業技術研究開発センター |
アドバイザー | 日医工株式会社 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社北熱(法人番号:4230001002852 ) |
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事業内容 | 真空熱処理、窒化処理、コーティング、表面分析 |
社員数 | 45 名 |
本社所在地 | 〒930-0106 富山県高木西115 |
ホームページ | http://www.hokunetsu.com |
連絡先窓口 | 嶋村公二 |
メールアドレス | k-shimamura@hokunetsu.com |
電話番号 | 076-471-6001 |
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