精密加工
ワイヤ放電加工機を用いて、航空機用エンジン難削材の低コスト切削加工を達成
愛知県
マツダ化工株式会社
2020年3月23日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 航空エンジン部品等大径部品・複雑形状部品のワイヤ放電加工技術高度化の研究開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙 |
産業分野でのニーズ対応 | 高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加) |
キーワード | ワイヤー放電 |
事業化状況 | 研究中止または停滞中 |
事業実施年度 | 平成20年度~平成22年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
航空機用エンジン難削材タービンディスクは、稀少なブローチ盤と高額ブローチカッタにより外周のブレード組立溝加工が行われているが、連続無人化が困難でコスト低減のネックとなっている。特許出願済みワイヤ放電の吹きかけ方式により、中小加工業者が保有している汎用小型ワイヤ放電加工機で寸法変化管理の容易化と、連続無人加工の実現を図り、大幅なコスト低減と大手企業独占の難削材加工を中小加工業者でも可能とする
開発した技術のポイント
小型ワイヤ放電加工機により、低コストかつ高精度の加工技術を開発
・加工費を現行より30%低減
・加工時間を現行より30%低減
・小型ワイヤ放電加工機を使用して、ブローチ盤による現状の加工精度(形状公差0.05mm以内)を維持しつつ、低コストに加工できる新規なワイヤ放電加工技術を完成させる
(新技術)
<ワイヤ放電切削加工>
(新技術の特徴)
・安価な小形ワイヤ放電加工機で量産立ち上げが数か月で可能
・消耗品は、ワイヤ船及び機械側のフィルターのみであるため、ブローチカッタ、再研磨費と比較すると大幅に低減できる
・多種多様な製品の加工が可能
具体的な成果
・割出回転テーブルと治具の開発
‐NC割出し回転テーブルと治具のレイアウトを基に、上下加工液ノズルとワークの接近性を高めることができた。これにより、加工安定性を保ち、長時間連続運転を可能とした
・加工液ノズルの開発
‐環状水流を持つハイブリッドノズルを改良したウォーターカーテンノズルを開発。加工速度・精度とも向上
・シャーベット及びウォーターカーテン水流供給装置の開発
‐既存のシャーベット供給装置を使用し、シャーベットの生成、配管、流量の検討を行った。ワイヤ放電加工機の噴流によるシャーベット飛散などの問題から、ハイブリッドノズルを改良したウォーターカーテン水流供給装置を開発。テスト加工の結果、ウォーターカーテンの有効性を確認した
・長時間連続運転が可能なワイヤ電極材の開発
‐長時間連続運転による加工でも断線が少なく、加工速度を30%向上できるコーティング及びワイヤ線材の材質から最適なものを選定し、実用化に適したワイヤ線材を開発した
・ワイヤ放電加工機の運転ソフトウェアの確立
‐間欠割出し回転テーブルのプログラム構成を検討し、マクロ計算による対応が可能なソフトウェアを開発した。また、小型ワイヤ放電加工機とCNC割出回転テーブルのNC制御を連動させ、テストピース円周上360°の連続加工を可能とした
・INCO718テストピースの360°溝加工品
~SUSテストピースで円周上360°加工をした結果、位置精度が±0.1mm以内、形状精度が±0.05以内と目標値を達成~
知財出願や広報活動等の状況
・出展:航空宇宙フォーラム(H21年)、中部ものづくりシンポジウム(H23年)
・特許:「ワイヤカット放電加工機の加工液ノズル装置」(特願2010-186515)
研究開発成果の利用シーン
小型ワイヤ放電加工機と割出し回転テーブルを使用(吹掛け方式)し、大型エンジンディスクのスロット加工費を、ブローチ研削盤を用いた現状価格に対して1/2程度に抑える(荒加工まで/工具費含む)
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
目標を達成する前に市販の最新型加工機械で実現可能になってしまった為、優位性が確保できなくなり事業化断念
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理
製品・サービスのPRポイント
・低コスト化:ブローチ研削盤を用いた現状のディスク加工費と比較して、工具費を含めると50%の削減になる
・その他:標準機械での立上げが可能で、6か月ほど立上げ期間の短縮が見込める
今後の実用化・事業化の見通し
実用化を目指し、更なる補完研究を実施中
・更なる加工スピードアップ、精度アップ、消耗品のコストダウンが必要であり、補完研究を継続中である
・ノズルの改良により、加工スピードアップおよびコストダウンを狙っている。また、コストダウンのため、消耗品(ワイヤ線材やフィルター等)の見直し中である
・H25年度中に実用化を目指す。発電機用ガスタービンディスクの実用化を足がかりに航空機エンジン用タービンディスクの実用化を進める
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | マツダ化工株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人名古屋産業科学研究所 |
研究等実施機関 | 株式会社ブローチ研削工業所 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | マツダ化工株式会社(法人番号:1180001074966) |
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事業内容 | 航空宇宙機器部品、治具の製造・販売、防衛関連部品、建設機械油圧部品の製造・販売 |
社員数 | 25 名 |
本社所在地 | 〒486-0802 愛知県春日井市桃山町3-42-3 |
ホームページ | Http://www.matsudakakou.co.jp |
連絡先窓口 | 村瀬巳喜久 |
メールアドレス | muraset@matsudakakou.co.jp |
電話番号 | 0568-85-0601 |
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