精密加工
糖尿病患者の注射時の痛みを和らげる極細シームレスパイプ素材によるインスリン自己注射用針
栃木県
株式会社共伸
2020年3月18日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 任意形状付シームレス極細パイプの高精度加工技術の確立及び高効率製造装置の開発 |
---|---|
基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、半導体 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、低コスト化 |
キーワード | 医療、精密加工、縮管加工 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成19年度~平成21年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
シームレスパイプから、外径0.18MM以下の任意テーパー形状付極細パイプにつぼめ成形できる加工技術の開発、ならびにその量産製造技術の開発を行う。これにより、従来のカーリング型加工による低痛型注射針製造技術に対して、継ぎ目がなく、より刺通抵抗の低い注射針の成形技術と、製造コストを40%以上低減できる製造システム技術を実現する
開発した技術のポイント
シームレスパイプを活用した縮管技術による成形加工、高効率製造装置の開発
・極細化:注射針の外径半径φ0.18mm以下
→現在主流のφ0.20mmをさらに下回る極細針で刺通抵抗を下げるために
・安定化:任意形状付きシームレスパイプ素材を用いた縮管技術の採用
→要望に応じて形状を変えられ、溶接継ぎ目による痛みや薬液漏れ防止のために
・コスト削減:製造単価2.0円/本にまでコストダウン→従来の針の製造単価3.5円以上/本を下回ることで量産化を目指すために
(新技術)
【素材】
ステンレス製極細シームレスパイプ素材
【加工工程】
パイプの縮管(つぼめ成形)による加工
→<高効率製造装置>
素材パイプの自動供給→搬送→取出し
【改善点】
・針先に継ぎ目による凹凸の解消
・針先先端外径φ0.18mmの極細針
⇒注射時の痛み低減、薬液漏れを防止
・1台の製造装置で上記工程を高速化
⇒300本/分生産
・量産体制の実現
⇒製造単価2.0円/本を目標
具体的な成果
・シームレスパイプ素材を採用し、0.18mmの極細化に成功・素材に板材ではなく極細シームレスパイプによる縮管技術を採用、溶接による継ぎ目の凹凸を解消・細径部外径φ0.18mm、テーパー部φ0.18mm~φ0.35mm、太径部外形φ0.35mmの極細針を開発・現時点で最適なパイプ素材として日新製鋼の供給するステンレス鋼(SUS304)を採用・成形の最適加工条件の検証により、針の曲がりを改善・産総研、宇都宮大との連携により、タイプA(特殊円形ダイス/無回転加工法)、タイプB(特殊円形ダイス/パイプ回転加工法)、タイプC(特殊楕円形ダイス/パイプ回転加工法)の3種類の工法を検証・タイプAで途中サイズまで加工、最終工程にタイプCの組み合わせを採用し、製品化に問題のない針の曲がり量に改善・300本/分生産の高効率な製造装置(プロトタイプ)の開発に成功・チュウリツ、産総研と連携し、目標の300本/分生産のスペックを有する高効率製造装置のプロトタイプ開発に成功・素材パイプの自動供給、金型内での搬送、金型からの取出しの各工程の高速化に成功・複数個の製品を一度で搬送が可能に
研究開発成果の利用シーン
シームレス極細パイプ素材を使用した極細針の成形技術と製造装置の開発により、糖尿病治療等医療分野や半導体製造装置の部品向けで低コストの生産が可能
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
開発した技術を顧客にPRをしながら多様なニーズに応えられるよう研究開発を継続中。現在は、顧客よりパイプ径や縮管率・縮管長さの異なったサンプルの要求があり加工条件や工程の研究を進めている
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理
製品・サービスのPRポイント
現在、直径0.50ミリ以下で2種類以上の異径のパイプを製造するにはスウェージング加工や板材からのカーリング加工が存在するが、
それぞれにデメリットがある。
・スウェージング加工では自動での連続加工が困難なため、生産性が悪く部品コストが高くなる傾向にある
・カーリング加工では、製品に合わせ目が発生し液体や気体などを通すと漏れの発生する可能性がある。
本事業で開発した【シームレス極細パイプ素材を使用した極細針の成形技術と製造装置】を適用することで、異径の極細パイプにおいても生産性が高く低コストでの供給が可能となる。
今後の実用化・事業化の見通し
量産化、横展開に向けた最終的な専用設備の開発を目指す
・高効率な300本/分製造のスペックは達成したが、量産化への目標値である製造単価2.0円/本のコストダウンを実現するための最終的な専用設備開発を目指し、特許取得予定
・人体に医療行為で使用する注射針の品質レベル基準は極めて高いため、将来的に医療向けISO規格取得も目指す
・歯科医用治療針等他の医療分野、電子部品や半導体分野への横展開を目指す
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社共伸 |
---|---|
事業管理機関 | 公益財団法人栃木県産業振興センター |
研究等実施機関 | 株式会社チュウリツ 日新製鋼株式会社 国立大学法人宇都宮大学 国立研究開発法人産業技術総合研究所 栃木県産業技術センター |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社共伸(法人番号:6060001011340) |
---|---|
事業内容 | 超精密連続金型設計製作、プレス部品加工樹脂金型設計製作並びに複合加工、医療機器の試作開発、注射針加工 |
社員数 | 145 名 |
生産拠点 | 栃木県那須塩原市埼玉1番地 |
本社所在地 | 〒325-0033 栃木県那須塩原市埼玉1番地 |
ホームページ | http://www.ksn-g.co.jp |
連絡先窓口 | 営業グループ営業課企画開発課 相馬一美 |
メールアドレス | soma@ksn-g.co.jp |
電話番号 | 0287-63-3238 |
研究開発された技術を探す