情報処理
非専門医のための、AIによる呼吸器疾患診断支援システム
京都府
株式会社ゴビ
2026年2月9日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | 呼吸器専門医不足を解消するAI聴診支援クラウドとAI聴診スコープの研究開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | 情報処理 |
| 対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上) |
| キーワード | デジタル聴診器、MEMSマイク、ノイズキャンセル、高音質 |
| 事業化状況 | 研究実施中 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本事業では、携帯性と操作性に優れたAI聴診スコープと、診断支援クラウドを開発した。聴診器で収集した音を忠実にデジタル化し、AIによる解析をクラウドで行うことで、非専門医でも副雑音を適切に検知・判断できる仕組みを実現する。フィルタリング技術で副雑音を抽出・可視化し、呼吸相情報を付加したデータを保存・共有する。さらに、専門医の診断シナリオを機械学習で知識化し、複数の判別器で患者の個人差に対応する。データ拡張技術で多様な呼吸音を生成・学習することで精度を高め、地方や海外、被災地などでも利用可能な診断支援基盤を目指す。
開発した技術のポイント
まず、聴診スコープの開発として、肺音を忠実にデジタル化できる聴診音センサを開発し、周囲から侵入する外部音を低減するノイズキャンセル機能を搭載した。また、チェストピースにMEMSマイクを内蔵することで、高音質化、小型化とともに優れたユーザビリティを実現した。次に、聴診音データから副雑音を抽出する技術の開発では、肺音を人間の聴感に合わせてmel-スペクトログラムに変換し、機械学習を用いることで副雑音の抽出を可能とした。さらに、データ拡張技術を導入することで、訓練データ不足の課題を解決した。最後に、診断シナリオと聴診結果を連携させる技術の開発として、アンサンブル学習を活用し、問診結果とAIによる聴診音判定結果を統合して診断結果を提示する仕組みを構築した。
具体的な成果
開発の結果、AI聴診スコープは縦80mm×横80mm×高さ30mm以内、重さ250g以下、連続稼働8時間以上という仕様を満たした。副雑音検知では笛音・捻髪音を対象とし、F1-scoreで0.7以上、再現率0.8以上を達成する性能を確保した。呼吸相検知もF1-scoreで0.7以上の精度を実現し、解析から提示まで10秒以内で結果を返すことに成功した。診断支援では決定木アンサンブル学習によりF1-score0.7以上を達成し、専門医の診断フローを反映した判定が可能となった。これらにより、従来困難であった呼吸音の保存・可視化、情報共有、診断支援が現実化し、非専門医や地方医療現場での診断精度向上に資する成果を得た。
研究開発成果の利用シーン
AI聴診スコープとクラウド診断支援技術により、非専門医が副雑音を正確に検知し、診断支援を受けられるようになる。これにより、地方の医療機関や専門医不足地域、被災地においても適切な呼吸器診断が可能となる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本事業では、AI聴診スコープの販売とAI聴診支援クラウドのサービス提供を中心に、基本技術のライセンス供与やクラウドAPI提供も想定している。事業展開にあたっては、複数の企業との連携体制を構築済みである。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
本開発成果の最大の特徴は、原音に忠実な肺音を小型デジタル聴診スコープで取得できる点にある。従来の電子聴診器に比べ、MEMSマイク内蔵方式によりノイズを低減し、クリアな肺音収音を実現した。また、XGBoostを用いた診断アルゴリズムにより、クラウドサーバを必要とせず、ノートPCレベルで捻髪音や笛音を検出できる。これにより、地方病院や診療所でも導入可能であり、患者データの外部送信リスクやコストを軽減できる点は大きなPR要素である。さらに、非専門医でも一定精度で判断可能な診断補助機能や、患者や家族にわかりやすい肺音の可視化機能は、医療現場での説明性や利便性を高める。
今後の実用化・事業化の見通し
AI聴診スコープは単独でも有効に利用できるため、先行して販売を開始する予定であり、補助事業終了後に追加研究や協力病院での試用を経て、2年以内に実用レベルの量産試作を開始し、3年後には量産・販売を開始する見通しである。並行して、聴診データの収集やデータ拡張によってAI機能を強化し、事業終了3年後に協力病院での試用を開始、4年後からの本格提供を目指す。市場展開においては、全国の約11万3千の病院・診療所を対象に、まずは100床以上の規模の大きな病院から導入を開始し、その後、地方病院や介護施設等へ拡大していく計画である。
実用化・事業化にあたっての課題
課題として、チェストピースの摩擦音問題が挙げられる。MEMSマイクを内蔵することで音質は改善されたが、シャツ越しなどで当てる際の摩擦音を大きく拾ってしまい、ユーザビリティ低下の恐れがある。この点はダイヤフラム構造の変更やデジタルフィルタリングによる対策が必要である。また、AI学習器の維持においては、現状では医師が手作業で対応することは現実的でなく、学習ツールの開発が不可欠である。さらに、差別化機能として新形状チェストピースの開発や、患者・家族に説明しやすい可視化機能の最適化も課題である。
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | 株式会社ゴビ |
|---|---|
| 事業管理機関 | 公益財団法人京都高度技術研究所 |
| 研究等実施機関 | 立命館大学 |
| アドバイザー | 京都府立医科大学 |
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | 株式会社ゴビ(法人番号:4130001017340) |
|---|---|
| 事業内容 | システム開発及びコンピュータ関連機器販売 |
| 社員数 | 16 名 |
| 本社所在地 | 〒600-8813 京都府京都市下京区中堂寺南町134番地 |
| ホームページ | https://go-v.co.jp |
| 連絡先窓口 | 株式会社ゴビ 島田 幸廣 |
| メールアドレス | shimada@go-v.co.jp |
| 電話番号 | 075-315-3653 |
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