材料製造プロセス
日本発の新材料であるPCP/MOFの社会実装、実用化の促進
兵庫県
株式会社Atomis
2026年2月9日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | 多孔性配位高分子の低炭素且つ低コストな製造プロセスの開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
| 対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、航空・宇宙、自動車、食品、電池、半導体、化学品製造 |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、環境配慮 |
| キーワード | PCP/MOF、ガス吸着、CO2回収、大気造水 |
| 事業化状況 | 事業化に成功 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
カーボンニュートラル、カーボンネガティブといった脱炭素が世界的な潮流となっている中、PCPはこれらの脱炭素の実現に寄与できる新規な材料として大いに期待されている。数多くあるPCPのなかでもCr3+とテレフタル酸からなるMIL-101(Cr)は2,500m2/g以上の高いBET比表面積を有することに加えて、原料が安価かつ耐久性が高いことから特に注目されている。本研究開発では、MIL-101(Cr)を対象として製造の各工程における課題の解決を目的として研究開発を行った。合成工程では生産性向上、精製工程では生産性・コスト・環境負荷の改善、乾燥工程では生産性向上、活性化工程では性能改善を目指し、低炭素且つ低コストな製造プロセスの開発を実施した。
開発した技術のポイント
・新規合成方法の確立
-添加剤を使用する新規な水熱法により、従来の200℃から150℃へ約50℃低い温度でMIL-101(Cr)を合成可能とした
-反応温度低下により反応容器内の圧力が約2.3MPaから約0.5MPaへ大幅に低下し、使用できる装置の選択肢が拡大
・精製プロセスの革新
-ソックスレーによる精製では有機溶媒を循環使用することで使用量を実質ゼロとし、従来技術と比較して100%低減
-超臨界二酸化炭素(SC-CO2)による精製では、CO2を回収して使用することで有機溶媒使用量を約93%低減
・パイロットスケール装置の導入
-500Lの蒸留器とコンデンサーを備えたパイロットスケール装置により、従来技術と比較してCO2排出量を60%以上低減
具体的な成果
・合成工程: 添加剤を使用する新規な水熱法を確立し、収率約70%、収量約55g/Lを達成、いずれも目標値を超過
・精製工程: ソックスレーによる精製で収率約85%、有機溶媒使用量100%低減を達成。SC-CO2による精製で収率約85%、有機溶媒使用量約93%低減を実現
・活性化工程: SC-CO2による活性化プロセスを確立したが、従来技術の加熱減圧による活性化のほうが優位な結果
・量産化: 精製工程用パイロットスケール装置を導入し、従来技術と比較してCO2排出量を60%以上低減した低炭素なプロセスを確立
・サンプル生産: 5Lスケールでの合成において、溶媒1L当たりの収量は約55g/Lを達成し、一般的な量産装置では30~50kg/バッチ以上の生産能力を実現できる見込みを得た
研究開発成果の利用シーン
MIL-101(Cr)は大気造水、ヒートポンプ、CO2分離回収といったアプリケーションでの利用が期待されている。PCPは二酸化炭素(CO2)やメタン、水素の貯蔵・分離をはじめとする様々な分野への利用が可能であり、カーボンニュートラル、カーボンネガティブといった脱炭素の実現に寄与できる新規な材料として注目されている。本研究で開発された低炭素且つ低コストな製造プロセスにより、これらの環境分野での応用が促進され、PCPの社会実装が進むことが期待される。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
研究開発を通じて、合成は添加剤を使用する水熱法、精製はソックスレー、活性化は加熱減圧という新技術と従来技術を組み合わせた最適な製造プロセスを確立した。精製工程に用いる500Lの蒸留器を試作し実証試験を実施し、従来技術と比較してCO2排出量を60%以上低減できることを確認した。5Lスケールでの合成実験から、一般的な量産装置を用いると30~50kg/バッチ以上の生産能力を達成できる見込みを得た。これによりPCPの社会実装に対する大きな障害となっている生産性、コスト、環境負荷といった課題を解決できる低炭素且つ低コストな製造プロセスを確立できた。マーケットアドバイザーからは用途メーカーの実証試験レベルでの検討を可能にするブレイクスルーとして高く評価された。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・従来技術と比較して3倍以上の収量を達成する高生産性な新規合成プロセス
・有機溶媒使用量を100%低減する環境負荷ゼロの革新的精製技術
・CO2排出量を60%以上削減する低炭素な製造プロセス
・反応温度を150℃まで低下させることで使用可能な装置の選択肢を大幅拡大
・30~50kg/バッチ以上の量産スケールでの生産能力を実現
・原料が安価で耐久性の高いMIL-101(Cr)を対象とした実用的な技術
・大気造水、ヒートポンプ、CO2分離回収など多様なアプリケーションに対応
・日本発の新材料であるPCPの社会実装を促進する革新技術
今後の実用化・事業化の見通し
研究開発により生産性の向上が見込まれることから、研究開発ひいては社会実装に貢献できるものと考えられる。今回得られた成果により、PCPの社会実装に対する大きな障害となっている生産性、コスト、環境負荷といった課題を解決できる製造プロセスを確立した。マーケットアドバイザーからも、MIL-101(Cr)の量産課題をブレイクスルーできると見込めたことは大きな進歩との評価を得ており、用途メーカーが実証試験レベルでの検討を行うことで社会実装の促進が期待される。
実用化・事業化にあたっての課題
添加剤を使用する新規な水熱法の確立により従来技術と比較して穏和な条件でのMIL-101(Cr)の合成が可能となったが、その合成温度は150℃であり、依然として高温である。そのため、より低温、穏和な条件の確立が必要と考えている。またPCPの社会実装を促進するためには、研究開発を十分に行えるだけのPCPを供給できるようになる必要がある。現在のスケールアップの知見を基に、さらなる大規模生産への対応と、より一層の低コスト化、環境負荷低減が求められる。
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | 株式会社Atomis |
|---|---|
| 事業管理機関 | 公益財団法人京都高度技術研究所 |
| 研究等実施機関 | 株式会社Atomis 国立大学法人京都大学 大竹 研一特定助教 |
| アドバイザー | 長瀬産業株式会社 |
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | 株式会社Atomis(法人番号:7130001054661) |
|---|---|
| 事業内容 | 分子設計から生産技術・工法開発までを一貫して行うマテリアル事業と環境エネルギーの分野で小規模分散型のプラットフォーム構築を目指すインパクトの二つの事業を行っている。 |
| 社員数 | 32 名 |
| 生産拠点 | 兵庫県神戸市にパイロットスケールの装置を保有 |
| 本社所在地 | 〒650-0047 兵庫県神戸市中央区港島南町7-4-9 |
| ホームページ | https://www.atomis.co.jp/ |
| 連絡先窓口 | 株式会社Atomis 研究開発部 佐伯卓 |
| メールアドレス | taku.saeki@atomis.co.jp |
| 電話番号 | 078-302-2870 |
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