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複合・新機能材料

主な遮蔽材が異なる中性子線とγ線の二種類の放射線を最適かつ同時に減衰させる形状の自由度の高い一体型遮蔽材の開発

兵庫県

株式会社サンナノテクノロジー

2026年2月9日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 中性子線とγ線を同時に遮蔽できる実環境に応じたワンストップ型軽量複合遮蔽材
基盤技術分野 複合・新機能材料
対象となる産業分野 環境・エネルギー、航空・宇宙
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)
キーワード 加速器、核融合、原子力、宇宙航空
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 令和4年度~令和6年度

プロジェクトの詳細

事業概要

従来技術は、大型加速器業界の遮蔽材へのニーズの全ての点には対応しておらず、放射化により二次γ線を出す熱中性子線用の軽いポリエチレン等の樹脂材料とγ線用の重い鉛などの材料を別々に設置する必要があり、樹脂材料は放射線劣化が比較的早いため、長期使用はできなかった。これに対し、本高機能性複合遮蔽材料は、CNT等の特性を利用するとともに、密度制御等により実環境に応じて軽くて一体で対応できる遮蔽の高機能化を実現する材料開発を進めた。個々の材料の見直しや試料の大型化や量産化という事業化に必要な項目に応じても今までと同じ遮蔽効果の確認を確実に実施する手法を検討するとともに、遮蔽効果の見える化を提供し、コストの有効性を川下ユーザーに示せる検討を実施した。

開発した技術のポイント

・重い遮蔽粒子と軽いCNTの分散性向上技術
-IoT機器による量産化の際の再現性の要素探索により、圧力、温度、回転数等の主要パラメータを特定
-流体シミュレーション解析により密度制御に必要な要素を抽出し、30%以上の密度変化を確保

・複合材料機能性向上のための密度制御技術
-同一体での中性子線とγ線の遮蔽に必要な密度制御を多層化により実現
-施設毎の放射線実環境のマッピングによる手法を確立し、PHITS等による見える化を実現

・γ線遮蔽効果の機構解明技術
-10MGyでのコバルト線源γ線積算線量での照射後に遮蔽高価が不変であることを確認
-遮蔽機構を解明のため、極端紫外光研究施設(UVSOR)での陽電子計測実験を実施した

・低コスト化技術
-生産システム等の改善により50%強のコストダウンを達成
-3D型枠による形状自由性を確保

具体的な成果

・重い遮蔽粒子と軽いCNTの分散性向上: 製品のバラツキに50%以上の影響を与える要素として圧力、温度、回転数等を特定し、R6標準仕様のパラメータを決定して80%以上の再現性を実現
・複合材料機能性向上: 4層化による密度変化40%以上を実現し、中性子遮蔽効果も持ちつつ密度2.3g/平方センチメートル以下でγ線の減衰距離9.0cm未満を達成
・γ線遮蔽効果確認: R2標準仕様のγ線で10MGyまでの照射においてほぼ遮蔽効果の減衰がないことを確認、R6標準仕様では3.9MGyまでの照射でγ線の遮蔽効果にほとんど変化がないことを実証
・低コスト化: 生産システム等の改善、材料費見直し及び再現性80%以上の安定化により、R2標準仕様と比べて50%強のコストダウンを達成
・形状自由性: 3D型枠による複雑形状、薄型形状の実現と離型性の問題改善を実施。密度制御とともに、放射線遮蔽効率の向上と効果的な放射線遮蔽及びコストダウンを実現。

知財出願や広報活動等の状況

2017年に日本原子力研究開発機構(JAEA)と共同特許出願した基本特許は平成5年1月5日に特許として登録され(特許第7,204,133号)、基本特許の有効性が明確になった。現在米国および欧州特許は取得済みで、新特許についても令和7年度に申請する予定で進めている。また、広報活動については現在のところ論文等も含めて発表はしていないが、本件事業の成果を下にした特許を出願し、公開された場合には論文等の発表も含め検討していく。

研究開発成果の利用シーン

・国内外の主な大型加速器施設での中性子線及びγ線遮蔽材として利用
・医療従事者の粒子線治療装置等での放射線防護
・核融合実験施設での遮蔽材料
・福島第1での原子炉解体及びトリチウム海中放出作業環境での放射線遮蔽
・放射線作業従事者による高放射線下での各種作業時間の短縮及びそれによる被ばく量の低減
・個人病院への粒子線治療装置の普及に伴うニーズ対応
・放射線環境に応じた効率的な遮蔽効率性と後付けでも設置できる形状自由性を活用した現場対応
・鉛ブロックの解体、積み上げ等に代表される放射線作業従事者による高放射線下での作業代替

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

令和7年4月現在国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)から当社製のR6標準仕様相当の中性子線・γ線のワンストップ型遮蔽材の調達の公告の他数点発注の話が出ており、応札する予定である(受注した場合は1350万円強の額になる予定。)。また、その他の公的研究機関からも調達の問い合わせが来ている。想定するサンプル出荷先はJAEAのJ-PARC、KEK他である。売上見込みとして、R6標準仕様(γ線用対応今回開発品)30cm×30cmを100万円/個として、令和7年度10個、8年度20個、9年度30個、10年度40個、11年度60個を計画。中性子・γ線一体型遮蔽体30cm×30cmを200万円/個として、8年度5個、9年度5個、10年度10個、11年度15個を計画している。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造

製品・サービスのPRポイント

・軽量化: 鉛の1/4の密度を達成し、クレーン等を使わずに持ち運び可能
・一体化: 従来別々に設置せざるを得なかった中性子線用とγ線用の遮蔽材を一体化
・放射化抑制: 6日でバックグラウンドレベルまで低下し、長期間の影響なし
・有害物質なし: 主要構成はW等の遮蔽粒子、CNT及びバインダーで有害物質やガスの発生なし
・耐放射線性: R2標準仕様において10MGyまでの照射でも遮蔽効果の劣化なし、R6標準仕様においても後述の通り3.9MGyまでだが、全く効果の減衰はないので、同様の耐放射線性があると結論。
・形状自由性: 3D型枠により現場の放射線環境に合わせた効率的な形状提供可能
・コスト優位性: R2標準仕様と比べて50%以上のコスト削減
・製造安定性: 再現性80%以上を実現し量産化に対応
・密度制御: 実環境に応じて密度を20%以上変化可能

今後の実用化・事業化の見通し

まずは固定概念の打破のために遮蔽のデータ等を加速器学会、原子力学会等で一部公開し、その固定概念を打破する。その上で国内の高エネルギー加速器、海外の高エネルギー加速器、国内の医療用加速器、国内の研究用原子力設備の順位で販売活動を行う。この場合に重要になるのが放射線環境の実態の把握である。このため実際の放射線環境で開発したマッピングによる手法に基づいた遮蔽性能の見える化により、最も適した遮蔽材の形状、仕様や配置を提案しその効果の評価を進めていく。国内の一般原子力産業施設も原子力発電の位置づけ等の政策が積極的に変化したことから、海外の高エネルギー加速器等への事業展開とパラレルに遂行していく計画である。コストの効果と製造の安定性が最終年度の目標どおり出せており事業化の見込みは高い。

実用化・事業化にあたっての課題

令和6年度における、R6標準仕様の10MGyでの80%以上遮蔽効果確認試験では、R6標準仕様のパラメータ決定が期中後半となり照射施設での照射料金の大幅な値上げと先方の照射可能時間の制約により、当該仕様の試料の遮蔽効果の確認は3.9MGyまでとなったが、効果の減衰はなくR2年度標準仕様の試験結果から、ほぼ目標に達しているが今後もフォローが必要と考える。また、特殊環境で利用するユーザーでは知りたいパラメータが用途によってあることが調査で分かってきたので、今後各パラメータについて試験方法も確認した上で実施する必要がある。製品化に向けては、放射線環境の実態把握のためのマッピングによる手法による見える化の確立と、各施設の具体的なニーズに応じた最適な遮蔽材の形状、仕様、配置の提案手法の確立が重要な課題となる。

事業化に向けた提携や連携の希望

本補助事業終了後も、γ線遮蔽材の開発のみでなく、本事業で研究開発に取り組んだ中性子線・γ線ワンストップ型遮蔽材の開発につき、JAEAの加速器部門や放射線計測部門と知見や研究成果を基本とした共同研究開発等を継続している。また、すでに問い合わせを受けている国の研究機関等のニーズを達成するための研究開発も継続を計画している。今後も、本事業において今まで協力してきたJAEAや大阪公立大学他の研究機関や計測関連機関等や製造において協力してくれた体制を中心に共同研究や開発、技術情報交換等を通じて遮蔽性能向上に取り組むとともに、対象を海外に拡大してマーケット情報の収集に努めたい。また、新たな問い合わせが来ている電力等にも積極的に情報を働きかけていく所存である。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社サンナノテクノロジー 本社
事業管理機関 株式会社サンナノテクノロジー 本社
研究等実施機関 株式会社サンナノテクノロジー 尼崎R&D工場 小泉欧児、那須昌吾、大坪道朗
公立大学法人大阪 大阪公立大学 大学院工学研究科 量子放射線系専攻 堀史説教授
アドバイザー 国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構
コミヤマエレクトロン株式会社
大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社サンナノテクノロジー(法人番号:1140001033100)
事業内容 ナノマテルアル複合材料・超高真空機器及びコンポーネンツの設計・製造・販売
社員数 2 名
生産拠点 尼崎R&D工場
本社所在地 〒658-0051 兵庫県神戸市東灘区住吉本町1-11-10-304
連絡先窓口 株式会社サンナノテクノロジー 大坪道明
メールアドレス michiro.otsubo@st-vac.com
電話番号 090-6006-9175