複合・新機能材料
電気刺激で剥離可能な粘着テープの開発
奈良県
ビッグテクノス株式会社
2025年1月22日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 高強度・高耐久な電気剥離粘着技術の開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | スマート家電 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 接合、易解体、電気剥離、リサイクル、リユース |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
ビッグテクノス株式会社は、電圧印加により粘着力を低下させる「電気剥離粘着テープ」を世界で初めて開発した。このテープは、強力な接合性と優れた易剥離性を持ち、従来の易解体性粘着テープの課題であった接合力の不足、貯蔵安定性の低さ、工程の複雑さを改善している。特許も同社が2008年に取得しており、他社の類似技術を凌駕している。電圧を数秒間印加することで粘着力が90%以上低下し、剥離が容易になる特性を持つが、耐久性や被着体の制限、複数回使用の課題があった。本事業では、これらの課題を解決し、量産化技術を確立することを目指している。特に、絶縁性被着体にも適用可能な高耐久性タイプの開発により、幅広い用途での活用が期待される。
開発した技術のポイント
・高耐久性付与技術
-25種類のサンプルを作成し、粘着力、保持力、電気剥離性、作業性の評価を行い、データベースを作成。
-高温試験(80℃×100時間)、高温高湿試験(60℃、95%RH×100時間)、ヒートサイクル試験(-20℃⇔80℃×100サイクル)を実施し、最適な粘着剤組成とテープ構成を決定。
-電圧印加によりイオン液体が被着体に染み出すことで粘着力が低下し、電気剥離性が向上することを確認。
・複数回使用技術
-低電圧での繰り返し使用性を向上させ、5回以上の繰り返し使用が可能な電気剥離テープを開発。
-印加電圧が高い場合に不可逆な酸化反応が発生し、繰り返し使用には適さないことが判明。
-大阪産業技術研究所での解析により、剥離界面のイオン液体成分が使用回数に応じて増加することを確認。
・絶縁性被着体への適応技術
-絶縁性被着体と電気剥離テープの界面に導電パターンを組み込み、接合性と電気剥離性を向上。
-各種導電材料を用いたパターンの形状や機械的強度、電気抵抗を評価し、最適な組み合わせを検討。
-絶縁性被着体に対して高い接合性を示す粘着剤の開発に成功し、粘着力の大幅低下を実現。
具体的な成果
・高耐久性電気剥離テープを開発
-直流10V印加で粘着力がゼロまで低下。
-高温試験(80℃)、高温高湿試験(60℃・95%RH)、ヒートサイクル試験(-20℃⇔80℃)後でも高い粘着力を維持。
・複数回使用可能な電気剥離テープを開発
-5回以上の繰り返し使用が可能。
・絶縁性被着体に適応可能な電気剥離テープを開発
-絶縁性被着体に対しても電気剥離可能。
-電圧印加によって粘着力がゼロまで低下。
知財出願や広報活動等の状況
・2025年大阪・関西万博に出展予定、世界へ発信。
研究開発成果の利用シーン
・スマートフォンやノートパソコンのバッテリー・ディスプレイ等の固定用途への採用に注力
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本事業の成果となる電気剥離テープは、100社以上の顧客へサンプルを提出している。電気剥離テープはリサイクル・リユース等で環境に優しく、また、生産性向上にも貢献できる製品であり、近い将来に社会実装され、サステナブルな未来生活に大いに貢献できる。現在では、特にスマートフォンやノートパソコンのバッテリー・ディスプレイ等の固定用途への採用に注力している。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
・接合性、易剥離性、耐久性に優れ、複数回使用可能。
・絶縁性被着体を含む様々な素材に対応。
・従来の微粘着テープや熱剥離テープ、UV剥離テープと比べ、接合強度や貯蔵安定性が高い。
・剥離作業のコスト(設備投資費、運用費)が低い。
・量産技術を確立し、安定した品質で大量生産が可能。
・大阪産業技術研究所との共同研究により性能を大幅に改善。
今後の実用化・事業化の見通し
本事業の出口の一つとして2025 年日本国際博覧会(大阪・関西万博)への出展を目指し、大阪産業技術研究所の『少し先の未来生活を支える「縁の下(E・N・NO・SHI・TA)」ものづくり企業たち』共同開発事業(万博出展を目指す開発テーマの募集)に応募し、採択された。その後、大阪ヘルスケアパビリオン「展示・出展ゾーン」での出展が決まり、万博での電気剥離テープの実物展示を通して本開発品を世界へ発信していく。
実用化・事業化にあたっての課題
【顧客開拓】
当社に協力的な商社、メーカーとともに国内・外の潜在顧客に対して、パンフレット、技術資料、デモンストレーション等を通じて効果的に開発品のPRを行っていく。
国内・外の有望な展示会に出展し、新たな用途探索や顧客開拓を実施する。また、 2025年大阪・関西万博では、電気剥離粘着テープに加え、電気剥離接着剤の展示を予定する。本開発品は、リサイクルや環境面でサステナブルな技術として将来実装される可能性が非常に高く、デジタル製品や自動車等の幅広い分野において、将来のサステナブルな生活に貢献できる。
デモンストレーション動画や製品の紹介資料を含んだホームページやユーチューブサイトを通しても新規顧客の開拓につなげる。
事業化に向けた提携や連携の希望
販路拡大のための連携を希望。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | ビッグテクノス株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人奈良県地域産業振興センター |
研究等実施機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
アドバイザー | 国立大学法人 群馬大学 リンテック株式会社 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | ビッグテクノス株式会社(法人番号:1150001014025) |
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事業内容 | 粘着剤および接着剤の製造販売 粘着テープ、粘着製品の製造販売 皮革用仕上剤の製造販売 印刷用インキおよび塗料の製造販売 |
社員数 | 100 名 |
生産拠点 | 奈良県御所市 |
本社所在地 | 〒639-2261 奈良県御所市大字城山台166-17 |
ホームページ | https://www.vigteqnos.co.jp/ |
連絡先窓口 | 技術本部 研究開発部 青木孝浩 |
メールアドレス | t-aoki@vigteqnos.co.jp |
電話番号 | 0745-66-2302 |
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