接合・実装
半導体の樹脂剥離界面を制し、リードフレームパッケージ業界を制す!
岐阜県
日電精密工業株式会社
2022年1月25日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 高速・部分粗化技術を用いて樹脂との高密着化を実現させた次世代半導体リードフレームの量産技術開発 |
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基盤技術分野 | 接合・実装 |
対象となる産業分野 | 自動車、半導体、エレクトロニクス |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上) |
キーワード | 半導体、樹脂剥離、車載部品、高信頼性、部分粗化鍍金 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
半導体は小型・薄型化するとともに高周波特性、放熱性能も向上し自動車を始め様々な産業分野のイノベーションに貢献している。一方で、急激な温度変化を伴う使用環境での封止樹脂とリードフレーム界面の剥がれに起因した動作不良が半導体メーカーにとって大きな課題となっている。本開発では、めっき工法による高速&部分粗化処理技術を確立し、樹脂との高密着力を実現して次世代型半導体LF製造に係る量産化技術を開発する。
開発した技術のポイント
樹脂密着力が高くなるめっき工法を確立することができた。めっき粒子形状は瘤状になっており、他工法にて行われているめっき粒子と比較して特徴的である。樹脂密着力を高めるためにめっき粒子を瘤状にしてアンダーカット部分を作ることで物理的に強度を高めている。また、安定的に粗化めっきを行うための液分析をはじめとして、量産化を見据えたシステムの構築にも成功した。
具体的な成果
・高速めっき荒化処理技術の開発
-高速荒化めっき液の開発を行った結果、目標とする樹脂密着強度と表面積率を得られるためのめっき技術は、20~25秒であった。目標の15秒には届かなかったものの、量産性を考えた現実的なめっき時間でめっきを行うことに成功した。
-めっき品質の安定とめっき液の長寿命化に取り組んだ結果、銅めっき粗化を実現するめっき液は、1日1回添加剤を補充すればよく、生産性に影響を与えないことが分かった。
・部分めっき粗化リードフレームの量産化技術の構築
-部分めっき粗化の試験装置の仕様検討・導入・およびめっき粗化試験を行った結果、一貫で銀めっきと銅めっき粗化を行えるラインを構築した。
-部分めっき粗化リードフレームの評価を行った結果、表面積率1.2以上、せん断強度3MPa以上の目標に対し、表面積率は2.5~3、せん断強度3MPaを達成できた。
知財出願や広報活動等の状況
本研究で実現した、樹脂密着力が高くなるめっき工法技術について、新規性が高いため特許出願を行っている。
研究開発成果の利用シーン
自動車用など、劣悪な環境下でも高い信頼性が求められる電子部品において、樹脂密着強度を高めて樹脂剥がれによる不具合発生を防止するために用いることができる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本研究体制でアドバイザーとして参加している三昌商事株式会社より、川下企業へのアプローチを行っており、FLOSFIA、住友電工、ロームの3つの企業に対して具体的な活動計画を立てる段階にきている。
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理
製品・サービスのPRポイント
車載半導体を中心に、半導体パッケージの樹脂密着信頼性を向上させたいというニーズに対応できる。
今後の実用化・事業化の見通し
半導体業界の中でも今後大きく発展していくと言われているパワーデバイス業界に対し、積極的なアプローチを行っていく。今までの試験段階でも、パワーデバイスメーカーとの情報交換でも、本技術開発に非常に強い関心を持ってい頂いていることから、実際に半導体として組み立てられるリードフレームに対して粗化めっき加工を行い、半導体デバイスとしての評価で良好な結果を得て、新規受注を獲得していくような事業展開を考えている。
さらに、特許権利化を進めている技術であることと、本研究開発が樹脂密着信頼性に有効であることを説明する資料をホームページに記載したり、半導体関連の展示会への参加を行い、業界全体に広くPRしていき販路の拡大をはかる計画である。
実用化・事業化にあたっての課題
リードフレームは、チップとの電気接続を目的としてワイヤーボンディング接続するための銀めっきを行っているが、その銀めっき部分の樹脂剥離も大きな課題となっている。本研究の応用として、粗化粒子形状を損なわない形で粗化めっきの上に銀めっき加工を行うことで、銀めっき部分の樹脂密着信頼性を向上させ、更なる高性能リードフレーム製造技術開発に取り組んで行く。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 日電精密工業株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人岐阜県産業経済振興センター |
研究等実施機関 | 株式会社微小めっき研究所 |
アドバイザー | 三昌商事株式会社 国立大学法人名古屋大学大学院 工学研究科 物質プロセス工学専攻 材料複合工学研究グループ |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 日電精密工業株式会社(法人番号:8200001014095) |
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事業内容 | 精密プレス部品 |
社員数 | 350 名 |
生産拠点 | 岐阜県大垣市、神戸町、安八町、熊本県上益城郡、マレーシア |
本社所在地 | 〒503-8557 岐阜県大垣市三塚町336−1 |
ホームページ | http://www.nsk-cp.co.jp/ |
連絡先窓口 | 技術部 部長 石原隆雄 |
メールアドレス | takao_ishihara@nsk-cp.co.jp |
電話番号 | 0584-64-5522 |
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