精密加工
精密な手術器具が求められる脳外科手術において、自社の金属加工の最適化技術をベースに、精密加工を高度化させ、加工及び組み付けを自動化し、安定した製品提供を目指す
群馬県
共和産業株式会社
2022年1月25日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 新しい脳外科内視鏡手術のための精密鉗子の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(精度向上) |
キーワード | 高機能、小型・軽量、精度向上 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
現在、適切な手術器具が無いために行えない脳深部の脳腫瘍摘出術を行う為には、脳表面で使用する精密ピンセットと同様に鉗子の先端がハンドル部の動きに追従し、Φ2mm程度に細い脳外科内視鏡用鉗子が必要である。治具設計や加工全体のマネジメント、加工条件の最適化等の難切削材加工に関する知見を用い、本事業では、ステンレスの精密加工技術、精密部品の組立て技術を高度化させ、新しい脳外科内視鏡用鉗子を開発する。
開発した技術のポイント
内視鏡用鉗子の中心部材となる軸を作成するための長孔加工技術や、部品表面を滑らかにしてスムーズに動かすためのバリレス加工技術を獲得した。また、鉗子部の動きに遊びの無い、ハンドル部と連動した動きを獲得するための設計・組立技術を獲得した。これらの技術を用いた試作品を作成し、医師による評価やアドバイザーを交えた製品性の検討、耐久性の評価等を行った。
具体的な成果
・ステンレスの精密加工技術の獲得
-耐久性の課題はあるものの、L/D=110の長孔加工且つ同軸度0.09mmの加工精度を達成した
-機械加工によるバリ低減手法として電解研磨法を確立し、医師が求める鉗子の非鏡面化にも寄与した
・精密部品の組立技術の獲得
-リンク式及びワイヤー式の異なる方式の鉗子を本事業で試作した
-精密部品の接合にレーザ溶接を適用し、溶接条件と強度ならびに溶け込み具合の関係を把握した
・出来栄え評価の実施
-ハンドル部の板ばね20万回の耐久性を実現し、へたりなども無いことを確認した
-限界作動耐久の試験結果から問題となる箇所を事前に把握できた
研究開発成果の利用シーン
開発した新しい脳外科内視鏡用鉗子を利用することで、脳深部の脳腫瘍摘出術を始めとする脳外科領域でも内視鏡手術を行えるようになると見込んでいる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本事業で開発した試作品を群馬大学や日高病院に持参し要望確認を実施し、更なる開発を継続しつつ、コロナ禍でバーチャル展示会となったMEDICA2020にオンライン出展し、PRを行った。その結果、海外より問い合わせのメールが多数届き、事業の可能性を実感した。引き続き米国のMD&Mへの出展を検討しつつ、国内では医療機器の製造販売に向けて準備を始めている。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
新しい脳外科内視鏡用鉗子によって、現在は適切な手術器具が無いために行えない脳深部の脳腫瘍摘出術を行えるようになり、患者や術者の負担を軽減できる。また、放射線治療の減少により医療費削減にもつながる。
今後の実用化・事業化の見通し
医療機器の製造販売に向けて2019年医療機器製造所登録を済ませ、現在は製造販売業の許可申請中である。併せてISO13485認証取得に向けて準備を始めている。製造販売業の許可取得後には精密鉗子の登録を予定しており、登録完了後には複数の医師によるトライアルを計画している。今後も更なる技術開発の推進を図りつつ、国内外へのアピールと情報収集を加速させ早期に事業化に結びつける計画である。
実用化・事業化にあたっての課題
・L/D=1000の長孔加工技術を達成したものの、刃物の耐久性が課題として残った
・限界作動耐久試験で明らかになった部品の組付
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 共和産業株式会社 製造部 |
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事業管理機関 | 公益財団法人群馬県産業支援機構 工業支援課 |
研究等実施機関 | 群馬県立群馬産業技術センター 先端ものづくり係、材料解析係、生産システム係 国立大学法人群馬大学 医療法人社団日高会日高病院 |
アドバイザー | ミロク機械株式会社 株式会社栗原医療器械店 株式会社メディカルラボパートナーズ |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 共和産業株式会社(法人番号:4070001006630) |
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事業内容 | 精密金属切削加工 |
社員数 | 120 名 |
生産拠点 | 国内:群馬県高崎市島野町890 海外:アメリカシリコンバレーオフィス、アメリカデトロイト工場 |
本社所在地 | 〒370-0015 群馬県高崎市島野町890 |
ホームページ | http://www.kyowa-industrial.co.jp |
連絡先窓口 | 礒部 俊明 |
メールアドレス | toshiaki_isobe@kyowa-industrial.co.jp |
電話番号 | 027-352-1631 |
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