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複合・新機能材料

航空機エンジンの省エネルギー化の為、これまで研究開発されてきたSiC/SiC複合材料より高耐熱な材料を低コストで製造する工法の開発を行う

石川県

丸井織物株式会社

2021年2月19日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 高効率航空機エンジン向けSIC/SIC複合材料製造工法の開発
基盤技術分野 複合・新機能材料
対象となる産業分野 航空・宇宙
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(省エネルギー)、環境配慮、低コスト化
キーワード CMC、プリプレグ、炭化ケイ素、高耐熱、液相焼結
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 平成29年度~令和1年度

プロジェクトの詳細

事業概要

航空機エンジンの省エネルギー化の為、高温領域に使用する次世代の材料として軽量・高耐熱性を有するSiC/SiC複合材料が有望視されている。これまで開発されてきたSiC/SiC複合材料より高耐熱な材料を低コストで作製することが可能となる京都大学檜木准教授の特許技術を実用化する為にSiC織物技術、プリプレグ製造技術、プリプレグの形状付与技術、最終製品形状を見据えた複合材作製・評価技術の開発を行う。

開発した技術のポイント

・⼯業レベルで作製可能な⽅法で、形状付与にも対応する柔軟性の⾼いプリプレグを開発
・焼結条件の最適化を⾏い、開発したプリプレグを⽤いて低気孔率と⾼強度を有する材料の開発に成功
・様々な形状のSiC/SiC複合材を作製。航空機エンジンで最も重要とされる⾼温疲労寿命評価では、耐環境被覆無しで1200°、175MPa、10万回を達成

具体的な成果

・耐熱性に優れた高結晶性、高弾性率のSiC 繊維の工業レベルでの織物技術を確立した。アプリケーションからのニーズに対応可能な連続的に織物構造やピッチを変える技術も確立した。
・微細組織評価、強度評価からプリプレグの作製条件の最適化を行い、工業レベルで作製可能な方法で、形状付与にも対応する柔軟性の高いプリプレグ技術を確立した。
・焼結条件の最適化を行い、プリプレグを用いて研究室レベルでのスラリーを用いて作製する複合材料と同等の気孔率と強度を有する材料の開発に成功した。L字型等の形状でもプリプレグを用いて緻密な材料の作製することができた。
・プリプレグ材を用いて作製した材料をASTM 規格に沿って、アプリケーションで要求される多様な強度特性評価を行った。航空機エンジンで最も重要とされる高温疲労寿命評価では、耐環境被覆無しで1200°、175MPa、10 万回を達成しており、従来の材料を大きく凌駕する特性が示された。

プリプレグ材とSiC複合材料
BN粒子分散SiC複合材料とCVI材の疲労特性の比較
知財出願や広報活動等の状況

檜木 達也、他、「耐酸化BN粒子分散SiC複合材料の開発」、日本セラミックス協会誌『セラミックス』、第55巻 6月号 423-426 (2020).

研究開発成果の利用シーン

開発したSiC/SiC複合材料用プリプレグ材を使用し液相焼結することで低コストで高性能なSiC/SiC複合材を作製することが可能となる。SiC/SiC複合材を高温、高圧、軽量化が求められるジェットエンジンの部材に使用することで燃焼ガス温度を高くすること、さらにエンジンの軽量化ができ、燃費の向上が可能になる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

現状として、基礎評価データを提供を行っている。データに興味を持っていただいた企業とはさらに共同での研究開発に取り組んでいる、その中ではCMC試験片の提供も行っている。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

開発したSiC/SiC複合材料用プリプレグ材を使用し液相焼結することで低コストで高性能なSiC/SiC複合材を作製することが可能となる。開発したプリプレグ材を使用したSiC/SiC複合材料は高温疲労寿命評価では、耐環境被覆無しで1200°、175MPa、10 万回を達成している。さらにL字型等の形状も作製可能である。

今後の実用化・事業化の見通し

エンジンでは、高温高圧化、軽量化を実現する材料への要求がさらに高まっており、米国GE社が、LEAP-1 エンジンやGE9X エンジンで、Ni 基合金の代替材料としてSiC/SiC 複合材料の適用を決めており、現在実用化段階にある。また、米国Pratt &Whitney 社、英国Rolls - Royce 社もSiC/SiC 複合材料の適用を検討しているなど、SiC/SiC 複合材料が最先端材料として注目されており、現在実用化されている技術と比較して様々な面で優位性を持つ本技術に対する関心も高いと考えられる。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 丸井織物株式会社 産業資材事業部 産業資材課
事業管理機関 公益財団法人石川県産業創出支援機構
研究等実施機関 株式会社神戸工業試験場
株式会社フジミインコーポレーテッド 先端技術研究所
国立研究開発法人物質・材料研究機構 構造材料研究拠点 表面界面キネティックスグループ 下田 一哉
国立大学法人京都大学 エネルギー理工学研究所 准教授 檜木 達也 
アドバイザー 石川県工業試験場
国内重工メーカ

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 丸井織物株式会社(法人番号:4220001015673)
事業内容 1.各種織物の製造販売、賃織並びに加工 2.ウェブサービスを利用した販売・通信販売・制作・情報提供等の各種サービスの企画並びに提供
社員数 308 名
生産拠点 石川県
本社所在地 〒929-1801 石川県鹿島郡中能登町久乃木井部15
ホームページ https://www.maruig.co.jp/
連絡先窓口 丸井織物株式会社 テキスタイル開発2課 金山
メールアドレス t.kanayama@maruig.co.jp
電話番号 0767-76-1228