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情報処理

量子力学を応用したニューラルネットワークAIによりセンサ情報の微弱変化から故障時期を予測

兵庫県

株式会社サニー技研

2024年12月5日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 製造装置の故障予兆を安価・軽量に検知する量子機械学習エッジコンピューティングの開発
基盤技術分野 情報処理
対象となる産業分野 自動車、ロボット、産業機械、情報通信、半導体、工作機械、エレクトロニクス
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(精度向上)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)
キーワード 予知保全、量子ニューラルネットワーク、故障予測、センシング、ポータブル
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

国内工場は、長期間使用された製造装置を抱える工場が多く、故障による生産損失金額も大きいことから、装置故障の予知保全が切望されている。この製造装置にセンサーを取り付けて情報を収集し、従来の機械学習に量子計算を組み入れた量子機械学習とブロック学習型自己組織化マップとを融合することにより異常予兆を検知する安価・軽量なエッジコンピューティングを開発する。

故障予測
開発した技術のポイント

・搬送部の故障部位であるリニアガイドのグリスへの異物混入に対し、ブロック型SOMにより異常検知精度95.8%を得た。
・スライドレールの異常音による故障検知では、アンサンブルk-近傍法によりAUC=0.94となり、0.9という目標を達成した。
・量子ニューラルネットワーク(QNN:Quantum Inspired Neural Network)による故障予兆検知の精度評価を行った。予測精度を2.5日先の予測誤差が実測値の10%以内に入る確率と定義し、予測精度100%を得ることができ、目標99%を達成した。
・量子ニューラルネットワークは従来のニューラルネットワークの12倍の高速処理時間を実現。FPGAに量子ニューラルネットワークを実装した結果、ARMマイコンの72倍の高速処理を実現した。

試験装置
エッジコンピュータの構成
QNN予測結果
具体的な成果

・予兆検知の対象となる成形機の搬送部分を模擬した試験装置を用いて振動や音、温度のデータ解析した結果、故障予兆を捉えるには振動センサが最良という結果を得た。
・量子機械学習とブロック型SOMを融合した故障予兆検知手法の開発
‐往復運動するリニアガイドの振動データを用いた試験により、ブロック型SOMによる異物混入異常の検知精度は95.8%という結果を得た。
‐異物混入した振動データを用いて、量子ニューラルネットワークによる予測評価を実施した。
‐スライドレールの異常検知によるArea Under Curveの評価で、目標0.9を上回るAUC=0.94という結果を得た。
・故障予兆検知の精度評価
‐成型機の搬送部において、故障した振動データをもとに故障予測精度の評価を実施した。
‐量子ニューラルネットワークにより故障予測精度100%を得ることができ、目標99%を達成した。
・小型基板を試作し、基板サイズ129mm×67mmを達成した。

知財出願や広報活動等の状況

・ものづくりAI/IoT展(2021年10月6日~8日@インテックス大阪)に出展
・論文発表
 -和氣諒太、礒川悌二郎、伊丹哲郎、松井伸之、森永和慶、上浦尚武、第19回コンピューテーショナル・インテリジェンス研究会講演論文集(2021)

研究開発成果の利用シーン

長期間利用された製造装置を抱える工場では、故障による生産損失が大きいため、AI技術により今まで検知できなかった故障予兆を検知する開発ニーズが出てきている。国内の製造業全体としても同様の傾向であり、コスト面の課題を解決できれば生産性向上が期待される。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・2022年11月にEdgeTech展示会(パシフィコ横浜)に出展し、ご要望のある川下企業2社、商社1社へ販売活動を実施。
・製品ブラッシュアップと成形機での実績づくりに取り組み中。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、製品製造、技術ライセンス、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

・異物混入した振動データからSOMによる解析で価値の高い周波数を絞り込み、ブロック型SOMにより異物混入の検知精度95.8%を達成。
・リニアガイドの状態が正常から故障に至るまでの振動センサデータを量子ニューラルネットワークで予測し、2.5日先の予測誤差が10%以内に入る確率が100%という結果を得た。
・複数のセンシング情報を組合わせた予測評価も実現可能。

今後の実用化・事業化の見通し

・1、2年目
‐T社において複数台ある成形機への展開を実施し、不足機能等を補いながら完成度を高める。
‐半導体デバイスメーカや車載分野の顧客等にサンプル提供し、川下ニーズの課題解決へ向けた活動を実施して販売数を増やす。
・3年目以降
‐製品のもつ有効性や先進性を商社へ紹介し、国内製造業を中心に拡販活動を実施する。
‐ホームページでの紹介や、FA/IoT・機械装置に関連する展示会に出展するなどの販促活動を強化し、拡販につなげていく。

実用化・事業化にあたっての課題

・小型基板を使ってT社成形機のリニアガイドの故障予兆検知に実用化した実績を作ること
・対象とする機械部品を変えて故障予兆検知ができること

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社サニー技研 本社
事業管理機関 兵庫県公立大学法人兵庫県立大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社サニー技研(法人番号:5140001078389)
事業内容 車載ECUソフトウェア受託開発、評価支援、FA/IoTシステム受託開発、保守、組込み機器開発支援ツールの開発・製造・販売、受託開発
社員数 79 名
本社所在地 〒664-0858 兵庫県伊丹市西台3丁目1番9号
ホームページ https://sunnygiken.jp/
連絡先窓口 株式会社サニー技研 執行役員 森永 和慶
メールアドレス morinaga.kazunori@sunnygiken.co.jp
電話番号 072-775-0339